新型コロナウイルスとイベルメクチン 治療薬となりうるのか?

イベルメクチンという寄生虫に対する薬が新型コロナウイルスの重症化を防止するかもしれません。イベルメクチンは2015年ノーベル医学生理学賞の大村智氏が土壌の微生物から分離したアベルメクチンという物質からできた薬です。

犬を飼っている方であればおなじみの「フィラリア」の予防薬がイベルメクチンです。

新型コロナウイルスに対して、現在までに様々な薬が試されてきました。抗HIV薬のカレトラは重症化に対して標準治療よりも利益が認められませんでした。(ここ参照)ただ、使うタイミングによっては死亡率を下げるのではないかとも考えられています。

抗マラリア薬のクロロキンは悲惨な結果です。消毒薬を注射しては?と提案するトランプさんは、クロロキンに希望を持っていましたが、明らかにクロロキンは死亡率を高めてしまいました。パンデミックという非常事態では平気で人体実験が許されてしまいます。(図はここから)

HCはヒドロキシクロロキン投与群、HC+AZはヒドロキシクロロキンと抗生物質アジスロマイシン投与群、No HCは投与を受けなかった群です。標準的な治療に加えてヒドロキシクロロキンを投与群97人の死亡率が27.8%、投与を受けなかった群158人の死亡率はこれよりも低い11.4%でした。ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンを併せた投与さ群113人の死亡率は22.1%でした。

上の図はリスク比です。上がHC群、下がHC+AZ群で、投与を受けなかった群との比較をしています。そうすると投与を受けなかった群と比べて、ヒドロキシクロロキンを投与群は死亡するリスクが2.61倍に高くなっていました。クロロキン投与と投与なしで人工呼吸が必要になった割合もほとんど違いありませんでした。

エボラ出血熱の治療薬の「レムデシビル」もどうやら失敗のようです。(ここ参照)

そして、日本の抗インフルエンザ薬の「アビガン」ですが、マスコミは著名人たちがアビガンを使って改善したことなどを報道していますが、いまだに試験の結果は公表されていません。アビガンも使うタイミングが早くないと効果はないと考えられていて、重症化した人に使っても死亡率は下げない可能性もあります。

日本感染症学会のシンポジウムでは、「投与開始14日後に重症患者の6割が改善、軽症や中等症では9割の患者で改善が認められた」と報告されています。(ここ参照)

対象は346例(男性:262例、女性:84例)で、年代は50代(25%)、60代(22%)、70代(20%)、40代(13%)でした。軽症では投与開始7日後に70%、14日後には90%に改善が認めら、中等症(酸素投与)では投与開始7日後では66%、14日後では85%、重症(人工呼吸)でも投与開始7日後に41%、14日後には61%が改善したそうです。ただし、重症例では悪化した人が投与開始7日後で34%、14日後では33%だったそうです。

日本人の現在のところの(重症+死亡)/陽性者は80歳以上でも16.1%で、死亡率も12.7%です。70代も(重症+死亡)/陽性者は11.7%、死亡率5.9%でしかありません。もちろんこの中にはアビガンを使った人も含まれているでしょうし、そうではない人も含まれていますが、今回のアビガンの試験に40代や50代の人も4割近く含まれているのに、そこまでの改善率とは思えません。

そんな中、抗寄生虫薬の「イベルメクチン」が注目を浴びています。

まずは、実験データで、ベルメクチンを使ってから24時間後に新型コロナウイルスのRNAが93%減少し、48時間後には99.98%減少したことを観察しました。(図はここより)

 

そこで人に投与した研究が行われました。死亡率を下げる効果があるとする報告を、米国のチームが報告しました。

新型コロナウイルスに感染し、治療を受けた人のデータを収集し、イベルメクチンを使った704例と、使わなかった704例とを比べました。イベルメクチンの投与はたった1回です。(図は原文より、ただ縦軸の目盛りが間違っているようです)

上の図は左が全体の死亡率、右の図が人工呼吸をしている人の死亡率です。グレーがイベルメクチンを使わなかった群、青色がイベルメクチン使用群です。その結果、人工呼吸器を必要とした患者のうち、イベルメクチンを使わなかった患者は死亡率が21.3%だったのに対し、使った患者は7.3%でした。患者全体では、イベルメクチンを使用群の死亡率が1.4%で、使用しなかった群が8.5%でした。つまり、患者全体の死亡率を約6分の1に低下、重症患者の死亡率を約3分の1に低下させたことになります。これはかなり劇的な効果だと思います。

イベルメクチンはこれまで致命的な副作用はほとんど報告されていないと思います。しかもすでに30年ほどの使用期間がある薬で、特許も切れているはずです。人体実験を行うのであれば、この副作用が非常に少ないと考えられる薬の方が害が非常に少ないでしょう。

日本は効果がはっきりしていないアビガン量産するよりも、イベルメクチンを量産した方が、副作用などの面や価格の面を考慮しても有益ではないかと思います。それとも、また一部の企業と何か関係でもあるのかな…?

不良品のマスク配るくらいなら、イベルメクチンを全員に配ってみては?政府はアビガンに舵を切っているので、世界中でイベルメクチン争奪戦には遅れをとってしまっているでしょうね。

私が新型コロナに感染したら、我が家の愛犬から譲ってもらおうかな…?なんてことは考えていませんよ。

 

「Usefulness of Ivermectin in COVID-19 Illness」

「新型コロナウイルスにおけるイベルメクチンの有用性」(原文はここ

2 thoughts on “新型コロナウイルスとイベルメクチン 治療薬となりうるのか?

  1. イベルメクチンには死亡率低減のデータが出ているんですね。
    COVID-19の治療薬候補の臨床試験にはアウトカムとして全死亡率の低減を求めたいです。
    レムデシビルについては「回復期間の短縮」を示す比較試験データはあっても、重要アウトカムである(死因を問わない)全死亡の低減が示されていないようです。
    レムデシビルには重大な腎機能障害の副作用の頻発が危惧されているので、全死亡率の低減というアウトカムの評価は重要だと思います。

    https://wired.jp/2020/05/02/early-remdesivir-data-for-covid-19-is-finally-here/

    https://twitter.com/nana7770214/status/1256832359938195456?s=20

    1. NANAさん、コメントありがとうございます。

      レムデシビルはエボラで効果が認められず、アメリカが何とか新型コロナに有効だという結果を出したかったのではないでしょうか?
      本当に有効なのかどうかは怪しいですが、緊急事態なのでどさくさで承認して、死んでももともとと言わんばかりに見切りは発車だと思います。
      副作用の腎障害がどの程度あるのかデータを見ていないのでわかりませんが、新型コロナの病態のメインが血栓であるとすれば、感染自体で腎障害は不思議ではありません。
      未知のウイルス感染で混乱状態であれば、倫理はどこかに吹き飛んでしまい、人体実験も容易なのでしょうね。
      個人的には、どこかの機関でケトン食でのデータを出してほしいですね。

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