新型コロナウイルスと血栓症 その9 緊急事態宣言解除と肺塞栓

やっと大して意味のない緊急事態宣言が解除になりました。安倍首相は「日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができた。まさに『日本モデル』の力を示したと思う」と述べたようです。(この記事参照)日本モデルって何?海外にどうやって説明するのでしょうか?

以前、専門家会議の尾身氏は欧米と比べて日本では重症者や死亡者が急激に増加していない理由について、「医療体制や初期段階でのクラスター対策、国民の健康意識の高さ」と言っていました。

欧米各国には「あなたの国は医療体制もなってないし、クラスター班ちゃんと作ったの?何より国民の健康意識が低すぎるから、感染爆発したんだよ。」とでも説明するのでしょうか?

日本モデルというのであれば、このモデルを使って他の国が感染を抑え込めるのでしょうか?再現性ある?どこの国も真似できないモデルは意味がありません。第一にモデルの中身も説明できませんし。政府も専門家も、なんで感染が収束したかはちゃんと説明できないでしょ?自粛ではありませんよ。(この記事参照)

せっかく政府が解除したのに、北海道の鈴木直道知事は、政府の緊急事態宣言の解除の方針を受け、「国が緊急事態宣言を解除しようとも、今月末までは外出自粛、休業要請、札幌との往来自粛は続けていく」と言っています。鈴木知事は北海道が第1波の後緩んで、第2波に苦しんだと思い込まされているようです。

…鈴木さん、第1波のときは北海道が独自に緊急事態宣言を出して終息したと思わされているけど、違います。宣言出した次の日から感染者が減るのはおかしいでしょ?第1波の武漢のウイルスは感染力が弱くって自然に収束したんですよ。その後、ちょっと間があいてヨーロッパ系の感染力の強いウイルスの第2波が来たけど、鈴木さんが宣言を解除して道民が緩んだから第2波が来たのではないですよ。ただのタイミングの問題です。第1波と同じように緊急事態宣言出したのに、今度はなかなかうまく行かなかったでしょ?これはただウイルスの違いです。最初のやつよりちょっと強かっただけです。でも、何となく収束に向かいました。北海道はまだ朝方は気温が一桁で寒いし、北海道はものすごくでっかいから、本州の県のようにうまくはいかないけど、十分収束しています。鈴木さんが悪いのではありません。鈴木さんはカッコよかったですよ。トラウマになるのはわかりますが、もう解除しましょう。(25日から飲食店の酒類提供の時間短縮要請は解除しています。)北海道や札幌の経済はすでにボロボロですよ…

と、ひとりごとを言う私です。

感染が減少傾向ですが、まだまだ続いているイギリスでは、ちょっと前に政府の重要な人物が2人、新型コロナウイルスに感染しました。一人はボリス・ジョンソン首相(55)で、もう一人はマット・ハンコック保健相(41)です。ご存知のようにジョンソン首相はICU治療まで行き、一時危険な状態ではと思われました。一方ハンコック保健相は比較的軽症でした。

実はハンコックさんは糖質制限により約3か月で約13kgの減量をしています。(この記事参照)イギリスの肥満の増加は激しいので、保健省(日本の厚労省?)のトップが糖質制限をしていることは非常に意味のあることです。

一方のジョンソン首相のBMIは36を超えているそうです。そして、新型コロナから復活した後は、国民の肥満対策として自転車通勤させるアイデアに取り憑かれているそうです。(この記事参照)

ハンコックさんが順調に回復し、ジョンソン首相が一時危険な状態になった、その差はハンコックさんが糖質制限で減量したからだ、という記事もあります。(この記事参照)アフターコロナではイギリスで糖質制限が広がるかもしれませんね。

さて、今回の新型コロナウイルスの重症化は血栓症と非常に強く関係していることがやっとはっきりしてきましたね。様々な報告が出てくるようになりました。病態のメインが血栓であれば、急激な呼吸不全の進行、突然死、脳梗塞、心筋梗塞などが起きることも十分説明できますし、糖尿病や高血圧、心血管疾患、肥満などが重症化リスクであることも、これまで記事にしてきたように、十分に説明可能です。

ドイツからの報告はものすごいものです。新型コロナウイルス陽性で亡くなった連続12人を調べたところ、非常に高い割合で血栓症が見つかったのです。(図は原文より)

上の図でPEというのは肺塞栓、DVTは深部静脈血栓症です。

4例(1、3、4、12)では、大量の肺塞栓症が死因であり、血栓は下肢の深部静脈に由来していました。別の3例(5、8、11)では、肺塞栓症のない状態で新鮮な深部静脈血栓症が見られました。深部静脈血栓症のすべての症例で、両脚が関与していたました。58%の患者に深部静脈血栓塞栓症を認めたことになります。男性9人のうち6人は前立腺静脈叢にも新鮮な血栓が存在していたのです。

組織学的に血栓塞栓症が認められたのは4例(1、3、4、5)でした。微小血栓は小肺動脈に高頻度に検出され、前立腺に認められた症例もありましたが、その他の臓器からは見つかりませんでした。

肥満(BMI30以上)は12人中5人、過体重(BMI25以上30未満)は4人でした。凄い割合で血栓ができていますね。

血栓を作りやすい体にならないように気を付けていきましょう。

BCGで免疫ブーストされ、通常の体重で、糖質制限で食後高血糖にならず、アジア人でO型の私。とりあえず新型コロナの重症化リスクや血栓のリスクにとっては良い要素ばかりです。

糖質過剰症候群

 

「Autopsy Findings and Venous Thromboembolism in Patients With COVID-19」「COVID-19患者の剖検所見と静脈血栓塞栓症」(原文はここ

4 thoughts on “新型コロナウイルスと血栓症 その9 緊急事態宣言解除と肺塞栓

  1. 清水先生はどのようにお考えになるかお聞きしたいです。

    新コロナウイルスはまだ分かってない事もあるとは思います。
    医学的な事は素人ですからよく分かりませんが、肥満、高血糖がかなりリスクがあるとは理解できます。
    現在の食生活環境を考えた時、これも素人ですが、子供、若者も、高インスリン血症だと思います。これが間違っていないとするなら、もし将来、仮に高インスリン血症をターゲットにしたウイルスが出現した場合は、
    夏井睦先生の「炭水化物が人類を滅ぼす」が違った形で現実味を帯びて来ると考えますが、荒唐無稽でしょうか?

    1. 太田さん、コメントありがとうございます。

      質問の意味が今ひとつわかりませんが、今回のウイルスも高インスリン血症ではありませんが、
      糖質過剰症候群をターゲットにしているように思えてなりません。
      子供が助かっているのは今回はよくわかりません。本当に感染者も重症者も少ないのですから。
      若者は通常はまだ血管が健康なので助かっているのでしょうが、力士のような無謀な食事をしていれば、助からない場合もあるということでしょう。

      仮の話をあまり考えてもしょうがないのでは?荒唐無稽ですね。仮の話は映画や小説で…

  2. 二年前に行った北海道また行きたかったんですけどね、残念です。余市で限定ウィスキーを楽しんだり、ジンギスカン食べたりしたかったなあ。
    手術は成功した患者は死んだでは意味がないですよね、コロナウィルス制圧は成功したが経済が死んで自殺者多数は意味がないどころじゃありませんね。

    交通事故で年間3000人死んでるからって車の使用自粛とは誰も言いませんよね。我が国は中学レベルの義務教育すら忘れちゃってる人が大勢いるみたいです。

    1. 不肖森さん、コメントありがとうございます。

      人は忘れる生き物ですので、喉元過ぎれば、で早く経済が戻ってほしいですね。

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