太っていない脂肪肝の方が危険!

脂肪肝は非常に重要だと思っています。大して肥満になっていない人でも脂肪肝と思われる方はたくさんいます。そして、この太っていない脂肪肝の方が心血管疾患のリスクが高いという報告です。

その違いは非常に大きく驚くほどです。今回の研究では過体重をBMI23以上としており、これぐらいの過体重の方はいっぱいいるでしょう。逆に言うとBMI23未満の方は通常、いわゆる「正常」の体型です。しかし、その一見正常でも、そこに脂肪肝があると非常に心血管リスクが高くなるのです。

脂肪肝もなく、過体重もない人と比べて、過体重ではないけれども脂肪肝のある人の心血管疾患のリスクは10倍以上となるのです。過体重であっても脂肪肝のない方は2倍ですし、脂肪肝もあり過体重もあるという、最もリスクが高そうな人でも3倍ほどなんです。

日本人は肥満が少ないから、欧米人より健康だ、というのはやはり誤った考えです。インスリン分泌能が日本人は低いですから。しかし、果糖の摂りすぎで肝臓に脂肪が蓄積し、慢性炎症状態になり心血管リスクを上げていると考えられます。体型で健康かどうかは判断できません。糖質制限をすればリスクを低下できます。太っていなくても糖質制限は基本ですね。

 

 

(図は原文より、原文はここ

太っていない非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者で心血管リスク高い

2017/06/22 ケアネットより

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は心血管疾患(CVD)発症のリスク因子として知られている。NAFLDの約20%は非肥満者に発症するが、過体重でないNAFLD患者とCVD発症リスクとの関連はまだ解明されていない。今回、京都府立医科大学の橋本 善隆氏らが、わが国のコホート研究の事後解析で調査したところ、過体重でないNAFLD患者でCVD発症リスクが高いことが示された。著者らは、さらなるCVDイベントを防ぐために、過体重でなくともNAFLDに注意を払うべきとしている。Medicine誌2017年5月号に掲載。

本研究は、日本人1,647人の前向きコホート研究の事後解析である。腹部超音波検査を用いてNAFLDを診断した。過体重はBMI≧23と定義し、参加者をNAFLDおよび過体重がどうかによって4つの表現型に分類した。これらの表現型におけるCVD発症のハザードリスクを、ベースライン時の年齢、性別、喫煙状況、運動、高血圧、高血糖、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロールについて調整後、Cox比例ハザードモデルにて算出した。

主な結果は以下のとおり。

・CVD発症率は、NAFLDでも過体重でもない人で0.6%、NAFLDだが過体重ではない人で8.8%、NAFLDではないが過体重の人で1.8%、NAFLDかつ過体重の人で3.3%であった。

・NAFLDでも過体重でもない人と比較したCVD発症の調整ハザード比は、NAFLDだが過体重ではない人で10.4(95%信頼区間:2.61~44.0、p=0.001)、NAFLDではないが過体重の人で1.96(同:0.54~7.88、p=0.31)、NAFLDかつ過体重の人で3.14(同:0.84~13.2、p=0.09)であった。

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