スタチンを服用するとどれくらい長生きできますか?

スタチンは多くの医師が推奨して処方していますし、医師自身も服用している人も多い薬です。医療の世界全体がコレステロール悪玉説に完全に洗脳されてしまっている証拠でしょう。

スタチンはどれほどの死亡を延長する効果があるのでしょうか?以前にも書いたのですが、どこに書いたのか覚えていないのでもう一度記事にします。

スタチンが心血管疾患の予防効果が絶大であれば、スタチンを飲んでいれば、かなり長生きできるはずです。治療必要数(NNT)よりも死亡がどれほど延長するかの方が人によってはわかりやすいかもしれません。

今回の研究では、1,000人以上が参加したランダム化試験で、スタチンと無治療またはプラセボを比較した、追跡期間が2年以上の11件の研究を分析しています。もちろん利益相反バリバリの研究ばかりです。

下の表はスタチン療法と無治療またはプラセボを比較した11の試験における死亡の延期の推定です。(表は原文より改変)

対象者数介入/比較カットポイント、年相対リスク(95%信頼区間)NNT延長日数(SD)the quick methodで計算した延長日数
10355プラバスタチン(40mg)と通常治療60.99(0.89から1.11)250−4.96 (0.06)−5.48
19,342アトルバスタチン(10mg)対プラセボ3.50.87(0.71から1.06)2001.99 (0.04)1.94
2838アトルバスタチン(10mg)対プラセボ4.80.73(0.52から1.01)66.718.66 (0.04)17.21
17,802ロスバスタチン(20mg)対プラセボ40.80(0.67から0.97)317.26 (0.01)7.25
7832プラバスタチン(5~20 mg)と無治療50.68(0.46から1.00)1824.42 (0.01)4.47
6595プラバスタチン(40mg)対プラセボ50.78(0.60から1.00)1119.33 (0.10)8.29
4444シンバスタチン(10~40 mg)とプラセボ5.80.7(0.58から0.85)27.827.18 (0.26)31.96
4631ロスバスタチン(10mg)対プラセボ4.41.00(0.90から1.12)−143−9.51 (0.01)−10.44
4271プラバスタチン(20mg)と無治療2.00.84(0.61から1.14)1321.76 (0.07)2.53
9014プラバスタチン(40mg)対プラセボ6.10.78(0.69から0.87)32.322.05 (0.21)26.59
5011ロスバスタチン(10mg)対プラセボ2.70.95(0.86から1.05)714.09 (0.04)4.16

追跡期間2.0~6.1年の一次予防研究が6件(表の上の6件)、二次予防研究が5件です。全体を見てわかるように、死亡リスクがスタチンで低下したのは11件中5件です。他は有意差なしです。そしてNNTで見ると200を超えるものが2件もありますね。

一次予防研究では死亡日が‐5~19日、二次予防研究では-10~27日延期されました。一次予防研究と二次予防研究における死亡延長日数の中央値はそれぞれ3.2日と4.1日でした。

最も長い延長日数で、不安定狭心症または心筋梗塞の既往歴を持つ人において、シンバスタチン療法を5.8年間受けた結果、27日でした。

フォローアップの期間は2~6.1年であり、一次予防だけを見るとおよそ5年なので、5年間スタチンを飲み続けてやっと3日程度、命が延長するということです。30年飲めば、18日くらい命が延びる計算です。ほとんど誤差範囲ですね。

つまり、30年スタチンを飲んでも、1か月も余分に生きられないのです。利益相反バリバリの研究でさえ、この程度の効果ということは、実際には効果はほとんどないと思った方が良いでしょう。

そして、スタチンには有害な副作用がいっぱいです。マッチポンプ薬の代表ですからね。

製薬会社は誇大広告を平気で広めます。多くの医師は、それを鵜呑みにして、多くの処方の必要がない患者を脅して、スタチンを飲ませようとするでしょう。

自分自身でよく考えて薬を飲みましょう。

「The effect of statins on average survival in randomised trials, an analysis of end point postponement」

「ランダム化試験におけるスタチンの平均生存率への影響、エンドポイント延期の分析」(原文はここ

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