糖質制限でケトン体質になればパフォーマンスが向上する

以前から気になっていた研究です。非常に少ない人数ですが、12週間という長期間、ちゃんとしたアスリートを研究したものはほとんどなく、貴重な論文です。

糖質制限をしてケトン体質になると、パフォーマンスが向上します。

 

「Keto-adaptation enhances exercise performance and body composition responses to training in endurance athletes」

「ケトン体質への適応は、持久力アスリートのエクササイズパフォーマンスおよびトレーニングに対する体組成反応を向上させます」(原文はここ

要約
低炭水化物ダイエットは、最近持久力アスリートの間で人気が高まってきた、しかしまだ長期(4週間以上)の低炭水化物高脂肪ケトン食(LCKD)を消費する良くトレーニングされたアスリートのパフォーマンスについての関連はほとんど知られていない。

方法:
20人の持久力のトレーニングをされている男性アスリート。そのうち11名は高炭水化物(HC)群で、自己選択した炭水化物ベースの食事(炭水化物:タンパク質:脂肪= 65:14:20)、9名が低炭水化物高脂肪ケトン食(LCKD)群(炭水化物:タンパク質:脂肪=6:17:77)を習慣的に摂取した。両群とも同じ訓練介入(持久力、強さ、高強度間隔訓練(HIIT))を行った。12週間の食事と訓練の前と後に、参加者は体組成の評価、100kmタイムトライアル(TT)、6秒(SS)スプリント、およびクリティカルパワーテスト(CPT)を行った。介入後のテストの間、HC群は30-60g / hの炭水化物を消費したが、LCKD群は水および電解質を消費した。

結果:
LCKD群では体重(HC -0.8 kg、LCKD -5.9 kg)の体脂肪率(HC -0.7%、LCKD -5.2%)の有意に大きな減少を認めた。空腹時のケトン体の一つ血清ベータ-ヒドロキシブチレート(βHB)は12週間で、LCKD群(ベースラインで0.1から0.5mmol/L)で有意に増加した。100kmタイムトライアル(TT)は有意な変化はなかった(HC -1分13秒、LCKD -4分07 秒)。SSスプリントのピーク出力は、LCKD群では体重1kgあたり0.8ワット(w / kg)増加したが、HC群では-0.1(w / kg)減少した。CPTのピーク出力は、HC群で-0.7(w / kg)減少し、LCKD群で1.4(w / kg)増加した。LCKD群における脂肪酸化(脂肪燃焼)は、100km TTにわたって有意に大きかった。

 

 

結論:
HC群と比較して、12週間の期間のケトン体質への適応および運動トレーニングは、体組成、運動中の脂肪酸化および競技を行う持久力アスリートに関連する特定の計測値を向上させる。

ケトン体質になるには数日では難しく、1~2週間はどうしてもパフォーマンスが低下することがあります。しかし、1か月前後でケトン体質になると、元のようなパフォーマンスに戻るか、それ以上になります。糖質たっぷりの食事では炎症を起こしやすく、AGE(終末糖化産物)もどんどん蓄積して、筋肉や骨や腱などの機能や柔軟性の低下、質の低下を起こします。

3 thoughts on “糖質制限でケトン体質になればパフォーマンスが向上する

  1. 先生、責任取ってください(笑)

    シミズ先生に触発されてこれまで最も毛嫌いしてきたジョギングを一か月前から始めました。ケトン体の力を実感したかったからです。

    実は半年ほど前にウォーキング(これもすぐに止めてしまったのですが^^;)用にと腕時計型の心拍計を購入しました。

    その時からちょっと表示される心拍数が高すぎるとは感じていたのですが。

    詳細は以下です。計測はその心拍計によるものです。

    安静時心拍数はジョギングを始める前の段階で58-60ぐらい、約一か月後の2、3日前に測ってみたら54ぐらいでした。平均週2、3回、5㎞以上を基準にしています。
    普通の歩行で100ぐらい、早歩きを意識して105-120ぐらいのようです。

    この辺までは妥当な数値かなと思っているのですが、いざちょっと走り出すと途端に急上昇します。

    主観的にはこんなスローペースで楽して効果あるのだろうかと感じるほどの負荷で
    心拍数130台表示、1㎞あたり9分前後、下手すると10分近いペース。
    割と頑張ってそれなりの負荷を感じて、でもまあ5㎞ぐらいは走れるというのがキロ7分前後あたりです。
    ですが、そのあたりのペースだと心拍数表示は160後半から170台です。数値的には最大心拍数に近いはず(計算では172-175あたりらしいです)ですが、感覚的にはそんなに高強度には感じていません。

    運動経験、特に有酸素運動の経験はかつてほとんどなく、日常もかなり活動量が低い生活です。
    2ヶ月ほど前に血液検査と同時に心臓のエコー検査も受けていて異状はありませんでした。ただし負荷検査はしていません。もちろん過去に心肺に疾患を疑われたことはありません。シミズ先生のご助言でPPIを止めて以降、気が付けば逆流性食道炎の症状は皆無となり、最近はのどに感じていた違和感もほとんどなくなりました。
    尿酸値とLDL-Cは共に一般的な医師なら即座に投薬される数値ですが、ケトジェニックに近い糖質制限をしているので特に不安もありません。

    心拍計は他の人に試してもらったところ、異常でも故障でもないようです。
    ですが、「もう限界」というほどまではいかなくても、かなりきついときの表示は200前後になります。

    やはり積年の運動不足によって心肺機能が低いだけなのか、それとも何らかの疾患が疑われるのか気になるところです。
    それから、今後のトレーニングとしては一般的な数値を基準に、たとえば175の60-80%あたりを目安にすべきか、それとも自分自身が感じる主観的強度に従えばよいのか迷っています。

    ネットを徘徊してみたのですが、どうにもしっくりくる解答を得られていません。
    ご助言いただけましたら恐悦至極に存じます(笑)

    ちなみに、先生の御本は当然読ませていただきました。
    よろしくお願いいたします。

    1. ねけさん、コメントありがとうございます。
      非常に良いチャレンジだと思います。私も40歳を過ぎてからマラソンを始めましたから。

      ただ、過剰な運動は酸化ストレスの増加のリスクがありますので、無理をなさらずに。
      私はマフェトン理論を採用していますが、ほとんどこれまで運動をしていないのであれば、
      とりあえず「175-年齢」の心拍数を最大として運動を始めるのが良いと思います。
      運動に慣れてきたら180-年齢まで最大値を上げます。
      ほとんどのランニングはこの程度にとどめて、時折速いペースを取り入れても問題ないと思います。
      しかし、体が適応するまではゆっくりと。心拍数200を超えるのは、最大心拍数が200以上ということにもなりますが、
      正確ではない可能性もあるので、判断が難しいですね。

      いずれにしても40歳を過ぎた体で心拍数200を超える運動はあまりお勧めできません。

  2. いつもご丁寧な返信ありがとうございます。

    想像していたよりも筋肉や関節へのダメージは今のところ感じていませんが、
    しかし心肺機能だけはこれまでの自分を”正しく”反映しているように思います^^;

    自分の心臓を過信せず(笑)、心拍数目安を基準に焦らず進めていきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です