子供のおやつにスナック菓子を与えることを見直そう

医師や栄養士などは実際、50年以上にわたって異なるカロリー源の体重に関連する生理学的効果の違いを認識しているはずです。つまり、カロリーが同じでも体重や体脂肪に対する効果は全く違うということです。100%タンパク質、100%脂質、100%糖質の同じカロリーのものを摂取したと仮定しても、同じ体重、体脂肪にはなりません。当然なのです。

しかし、いまだにカロリーで減量や健康について議論することが普通に行われています。食品業界も「低カロリー=ヘルシー」という図式を崩していません。

カロリーという言葉で、議論することは良くないと思っているのですが、面白い研究があったので、ご紹介します。これは子供の間食に与える種類によって、どれぐらいのエネルギー(カロリー)を摂取すれば満足するかという調査です。そこには家庭環境なども影響します。

 

「Association of nutrient-dense snack combinations with calories and vegetable intake」

「栄養素濃度の高い間食の組み合わせとカロリーと野菜摂取の関連」(原文はここ

要約

背景:
一般的な食事や不十分な運動などの他の要因により、ポテトチップスのような非栄養素の高濃度スナック食品を摂取することは、小児期の肥満に寄与する。我々は、非栄養素の高濃度スナック(すなわち、ポテトチップス)を提供された子供よりも、チーズと野菜からなる栄養価の高い間食を提供すると、子供がより少ないカロリーを消費したかどうかを調べた。

方法:
(1)ポテトチップスのみ、(2)チーズのみ、(3)野菜のみ、および(4)チーズと野菜の組み合わせ、のうちの1つにランダムに割り当てられた。子供たちは、45分間のテレビ番組を見ながら自由に間食を食べた。満腹感は、間食を食べ始める前と研究の途中、間食を食べ終わってから20分後に測定した。両親は家族の環境に関するアンケートを完了した。

結果:
ポテトチップスのみを食べた場合と比較して、チーズと野菜の組み合わせを食べると、子供は72%も少ないカロリーを消費した。チーズと野菜の組み合わせを食べた子供は、ポテトチップを食べた人よりも満腹感を得るために必要なカロリーが有意に少なかった。間食の状態がカロリー摂取量に及ぼす影響は、過体重または肥満の子供および家族の関与が低い子供の間でより顕著であった。

結論:
野菜とチーズの組み合わせの間食は、間食のカロリー摂取量を減らすための効果的な手段となり得る。この効果は、過体重または肥満の子供と家族の関与が低い子供の間でより顕著であった。

 

栄養価の非常に低いポテトチップスと栄養価の高いチーズ、野菜を比較しています。(図は原文より)子供たちに45分間自由に間食を食べさせます。そうすると、

摂取したカロリーで考えると、ポテトチップスはダントツの600kcal越えです。チーズの群の3倍ものカロリーを摂取しています。野菜だけの群の10倍です。

カルビーの「ポテトチップスうすしお味」の85g当たりの栄養成分は

カロリー:476kcal タンパク質:4.4g 脂質:30.6g 炭水化物(糖質):45.7g

です。つまり、一袋では物足りず二袋目の4分の1ぐらい食べた計算です。600kcal分の栄養成分は、タンパク質:5.5g 脂質:38.6g 炭水化物(糖質):57.6g となります。

チーズ200kcalは「雪印北海道100 カマンベールチーズ」で考えると100gあたりの栄養成分は

カロリー:311kcal タンパク質:18.5g 脂質:26.1g 炭水化物(糖質):0.6g

です。64g分ぐらいのチーズの量です。200kcal分の栄養成分は、タンパク質:11.9g 脂質:16.8g 炭水化物(糖質):0.4g となります。

ポテトチップスとチーズのこの摂取カロリーの差を生み出すのは、タンパク質の量によるものか、糖質によるものかはわかりません。

次に、満腹感を得るのに必要なカロリーです。これを見ると、ポテトチップスは300kcal以下ですでに満腹感を感じているようですが、結果的に自由に摂取させると倍以上の量を食べてしまうことになります。チーズでは満腹感を得るカロリーと実際の摂取カロリーはほとんど変わりません。野菜やチーズと野菜の組み合わせでは満腹感を得るカロリーの2~3倍実際に摂取しています。しかし、満腹感を得る絶対量がポテトチップスとは大きく異なり、かなり少ない量で満腹感を感じ得ることがわかります。

満腹感を得るのに必要なポテトチップスのカロリーを280kcal程度と考えると、その栄養成分は、タンパク質:2.6g 脂質:18.0g 炭水化物(糖質):26.9g となります。どうやら、特定の栄養成分を何グラム程度摂取すれば満腹感を感じるようではなさそうです。

やはり、私は糖質摂取によりインスリンが分泌されることが、空腹感を促進してしまうのではないかと思っています。それが満腹感をも抑えたりしてしまうのでは?とも考えますが、野菜や組み合わせの場合にはちょっと説明がつきません。いずれにしても野菜を摂取することは満腹感につながるように考えられます。

 

次の図は、体重による違いです。標準体重と過体重や肥満とを比較すると、面白いことに、ポテトチップスだけが過体重や肥満の子供の摂取量が非常に増加しています。しかし、チーズや野菜は増加していません。逆にやや少ないくらいです。食べ物の嗜好が完全に糖質に偏っていることが、体重増加に繋がっているように感じます。

 

そして、最後は子供の置かれている家庭環境です。その日にあった出来事を家族で話したり、お互いに褒めあったり、夕食の時間を共にするような家庭環境では、ポテトチップスの摂取量が少なくなるのです。逆に家族の関わりが少ない子供は質の悪い栄養素からエネルギーを得ている割合が多くなってしまっているのです。

食育は親の仕事です。食育をする最も適した時間は食事の時間です。そこでの関わりが子供を変えることになるのです。また、親自らスナック菓子をいつも食べている様子を子供に見せれば、当然子供もスナック菓子を悪いとおも思わず食べるでしょう。

おやつ=スナック菓子、ではありません。食欲旺盛な子供の時期に、必要な栄養素はエネルギーにしかならない糖質ではなく、体を作るタンパク質と良質な脂質なのです。それは食事でも間食でも同じです。飲み物でも同じです。カロリーでも栄養を議論すれば、糖質のカロリーも人間にとって必要なタンパク質や脂質のカロリーも同じ扱いです。しかし、それは全くの別の栄養なのです。意味のないエネルギーばかり子供に与えていては問題が起こります。たまにスナック菓子を食べることは良しとして、おやつにチーズやナッツ、ゆで卵などを取り入れてはいかがでしょうか?

カロリー神話をそろそろ止めにしませんか?

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