前回の記事「2018年3月の検査データ」で推算糸球体濾過量(eGFR)が低下していることを〇福さんからご指摘いただきました。ありがとうございました。
私のeGFRが72mL/minだったのですが、腎機能区分としては正常または軽度低下の範囲(90>GFR≧60)にあります。
先生の検査結果を見て一言eGFR:72mL/minの値に引っかかりました。この値は慢性腎臓病予備軍の範囲に入るそうです。
私もご多分にもれず、糖質制限を行っているとLDL-Choが230mg/dlと高くなって約1年が経ちました。一応医者に相談して、スタチン適用拒否で物は試しということでEPA製剤の投与を受けています。TGは、EPA製剤 投与前で70mg/dlなのでEPA製剤を投与してもこれ以上は下がらない状況でした。ひょんなことから慢性腎臓病早期発見プログラム(IKEAJ-KEEP)を受診したところ要治療の判定が下りました。
Cre、BUN、シスタチンC、TG、HDL-Cho健常者域、尿中微量アルブミン陽性、LDL-Cho230mg/dl、T-Cho330mg/dlで異常域となりました。
通常ならば、シスタチンCも異常値を出すはずですが、健常者域なので、私としてはCKD予備軍として認定されても別に医者の診療を受けようとは思いません。ただ脂質代謝異常が腎機能異常を発生する。もしくはその逆、腎機能の異常が脂質代謝異常を引き起こす機序を考えると前者の可能性が高いと思います。シスタチンCが健常者域なのは、分子量13.3kDaと小さいので近位尿細管で再吸収されてしまい、アルブミンは再吸収されないので尿中に漏れ出したのだと考えています。
ではどうしてアルブミンは漏れ出したのか
慢性腎臓病で脂質の代謝異常が発生するのは、まれな事では無く合併症として認知されておりますが、その作用機序は、まだ判明していないそうです。
そこでお願いなのですが、先生はお医者様でいらっしゃり、また低糖質食を実践していられる第一人者として先生の腎機能を調べていただきたいのですが項目は、シスタチンC、尿中微量アルブミン、GFRです。
血液は、腎糸球体で濾過され、近位尿細管で再吸収されます。血中リポタンパク質が多いと物理的に膜にぶつかり濾過時に膜を広げアルブミン等が漏れ出す可能性がないか知りたいのです。ご承知のように腎臓は、毎日何千Lの血液を濾過しております。また濾過に必要な因子として血圧、浸透圧、糸球体嚢圧がありますが圧力を掛けて濾過する際に、リポタンパクの大きさ20~200nmの粒子が、例えばT-Choとして300mg/dl 0.3%もの量が物理的にぶつかっていると、尿中に微量アルブミンが漏れ出してもおかしくはないと考えております。
シスタチンCが正常なのに、尿中微量アルブミン陽性だったということですが、尿中の微量アルブミンは、運動、発熱、体位などでもみられますので、1回の測定だけでは何とも言えないでしょう。eGFRがいくつだったかはわかりませんので、腎機能低下かどうかは不明です。
リポタンパク質が増加すると、アルブミンが漏れ出るかどうかは私には知識がありません。
慢性腎臓病で脂質の代謝異常が発生するのは、まれな事では無く合併症として認知されております
脂質代謝異常の定義が実際には私の中では曖昧です。それは現在の脂質代謝異常症の診断基準は
高LDLコレステロール血症 | LDLコレステロール値 | 140㎎/dl以上 |
境界域高LDLコレステロール血症 | LDLコレステロール値 | 120~139㎎/dl以上 |
低HDLコレステロール血症 | HDLコレステロール値 | 40㎎/dl未満 |
高トリグリセライド(中性脂肪)血症 | トリグリセライド値 | 150㎎/dl以上 |
だと思いますが、これはLDLを悪玉と決めつけた、スタチンでの治療ありきの診断基準です。この診断基準に当てはめれば、私のLDLコレステロール値は182なので完全に異常です。様々な研究でわかっているように、LDLコレステロールは全くあてにならない数値です。LDLコレステロール値が高い方が長生きであることを考えれば、こんな診断基準は無視したいと思います。
〇福さんがおっしゃっているように、慢性腎臓病と動脈硬化を招くような脂質代謝異常症の合併は、当然糖質過剰摂取では一緒に起こって不思議ではないです。糖質過剰摂取状態での病態をそのまま糖質制限に持ち込むのは難しいので、まだまだ不明なことも多いです。
私の今回のeGFRは腎機能の低下なのかどうかは尿検査をしてみないとわからないことではありますが、これはあくまで推定値であり、クレアチニンの値から計算で求めます。しかし、私は普段からランニングを行っていて、しかもたくさんの肉を食べています。このことによってクレアチニン値に影響がないとも言えません。空腹時なので肉の影響は最低限でしょうし、最後にランニングをしてから1日以上たっているので、恐らく影響は少ないでしょうが、運動している人としていない人では違いはあると思います。
また、クレアチニンの値も実は結構変動しています。これは私のデータですが、
状況 | ウルトラマラソン前 | ウルトラマラソン後 | 1か月の運動休止後 | 60時間絶食後 | 脂質100g負荷前 | 脂質100g負荷後 | 今回 |
クレアチニン値 | 0.83 | 0.70 | 0.78 | 0.87 | 0.82 | 0.97 | 0.89 |
様々な状況で、様々な値を示しているので、クレアチニンはあまり正確な値ではないと思います。もし、クレアチニンが0.7のときにeGFRを求めれば93ですし、0.97のときのeGFRは65です。30近い差があります。気にするほど腎機能に問題はないと考えています。
ウルトラマラソン後が一番低下しているのはなぜでしょうか?脂質負荷のときはチーズを結構大量に食べていたので、同時にタンパク質負荷にもなっていたかもしれません。3日間脂質100gを負荷したのですが、それでクレアチニン値は0.15も変動しています。絶食でも0.09増加です。
だから、クレアチニン値はもしかしたら空腹時であっても、その検査の前の数日間の食事に大いに左右される可能性があります。できることなら毎日採血すると面白い結果が出るかもしれませんが、それはストレスになりますし、その内貧血になってしまうでしょう。
実際にはマラソンは腎臓にとっては良くないと言われています。(「マラソンは腎臓にダメージを与える!」参照) でも、楽しいのでちょっとのダメージでは止めようとは思っていません。そして、このような腎臓に負担をかけるスポーツを行っている人がもし腎機能低下を起こしたとして、同時に糖質制限をしていると、あたかも糖質制限が原因で腎臓が悪くなったと考える人もいるかもしれないので、注意が必要です。私は現在のところ、全く糖質制限が腎機能に影響はないと考えています。
ご指摘のようにシスタチンCを測定すると良いかと思います。シスタチンCは運動や食事などに影響を受けないようなので、今度機会があれば測定したいと思います。
申し訳ありませんが、GFRを直接測定することは私にはできません。
興味深い記事をありがとうございます。
尿アルブミン検査ですが、T2D夫の場合、9年前発覚時4、TCは正常範囲(血圧も)でした。
発覚後から糖質制限で、TCは300越えていますが、尿アルブミンは毎年測定し、4から3に、その後3以下の検出不能レベルが数年続いています。少なくとも夫では<リポタンパク質が増加すると、アルブミンが漏れ出るかどうか>はありません。
ルバーブさん、貴重なデータありがとうございます。
私も糖質制限をした方が腎機能が良くなると考えています。
先生のおしゃられるとおりCreの値でeGFRを推定計算するのですが、eGFRを計算してくれるWebでCreの値を色々変えてやるとeGFRの値が変動します。江別先生は、クレアチニン:0.62mg/dl(0.6~1.1) eGFR:97.9/min./1.73m2(60以上はOK)を測定していらっしゃり、また同時に血清シスタチンC:0.58、尿アルブミン定量精密・クレアチニン補正値:8.3も測定されており、どれも健常者範囲内です。この結果からは、リポ蛋白の機械的通過によるアルブミンの漏出は、否定されます。エビデンスの積み重ねでデータには信憑性がでてきますので、低糖質食を実践されている方は、腎機能検査 尿中微量アルブミンもしくはシスタチンできればペントシジン(この2項目を測るとNIHpointが査定でつきませんが)自費ということで調べてみたらいかがでしょうか
なにしろ腎臓は、日に何千Lもの血液を濾過しているのですから