アポリポタンパク質B(apoB)はVLDLやLDLを構成しているものです。血中には通常VLDLはほとんど存在せず、LDLが圧倒的です。一つの粒子に1つのapoBということを考えると、LDLコレステロールとapoBの比を考えることは意味がありそうです。
つまりLDLコレステロール値がある程度高くても、apoBが低ければ、LDL1粒子当たりのコレステロールが多いことになります。つまりその分粒子の大きさが大きいと考えられるのです。
もちろん、VLDLやカイロミクロンのレムナントが残っている可能性があるので、完全な予測ができるかはわかりませんが、このLDLコレステロール/apoBの比に注目した研究があります。
123人の2型糖尿病の人を調べたものです。(図は原文より)
図の左のaは中性脂肪とLDLの粒子サイズとの関係です。中性脂肪2.1mmol/L、日本の単位では186mg/dLを境界として、それ以下だと大きなLDLで、それ以上だと小さなLDLが多くなるということを示しています。意外と中性脂肪値は高めですね?
右のbはLDLコレステロール/apoBの比とLDLの粒子サイズの関連です。LDLコレステロール/apoBの比が1.3、日本の単位では0.5以上だと大きなLDL、それ以下だと小さなLDLが多くなります。ちなみに私のLDLコレステロール/apoBの比は1.48で十分0.51.3をクリアしています。
もちろんこれは糖尿病の人を調べたものなので、一般的に当てはまるかどうかはわからないかもしれませんが、十分使える指標だと考えます。しかし、なぜか普通の医師はLDLコレステロールに固執しているので、apoBまで測定しないかもしれません。
もし測定していたら、一度計算してみてください。
「LDL-cholesterol/apolipoprotein B ratio is a good predictor of LDL
phenotype B in type 2 diabetes」
「LDLコレステロール/アポリポタンパク質Bの比は、2型糖尿病におけるLDL表現型Bの良好な予測因子である」(原文はここ)
清水先生、いつも勉強させていただいています。
以前の記事を読み返している中で、LDLとリポタンパク質Bの比を見て、私も3月にリポ蛋白分画を測定していたことを思い出しました。
糖質、脂質そしてリポ蛋白分の検査結果は次のようでした。
・血糖:87 mg/dL
・HbA1c:5.3%
・TG:31 mg/dL
・HDL-C:96 mg/dL
・LDL-C:217 mg/dL
リポ蛋白分画(基準値)
・α:46.1%(26.9-50.5%)
・Preβ:8.9%(7.9-23.8%)
・β:44.1%(35.3-55.5%)
血糖関係は全く問題ないです。
脂質関係は、LDLが高いですが、TGが低いですし、HDLが高いので、糖質制限の典型的なパターンのように思います。
リポ蛋白分画は、少し調べたのですが、どういう意味なのか、よくわかりませんでした。この結果がいいことなのか、脂質代謝に問題があるということなのか、どうなのでしょうか?
αがHDL、PreβがVLDL、βがLDLに関係しているようですが、清水先生が説明されている「LDL-C/アポリポタンパク質B」と「LDL-C/β」は同じことなのでしょうか?
リポ蛋白分画と脂質関連の検査値との関係の臨床的な意味についてご指導いただければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
じょんさん、コメントありがとうございます。
コメント欄に書くには分量が多すぎるので、記事にさせていただきます。
清水先生、どうもありがとうございます。