OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)はかなり適当な検査

私が専門とする麻酔では、手術の時に体重を基準に薬の投与量を決めることがほとんどです。(もちろん年齢なども加味しますが)

抗がん剤でも体表面積で投与量が決められます。

しかし、普段の病気の治療薬では、大きな人も小さな人も同じ量の薬を飲んでいることが少なくないと思います。本当はおかしいですよね?

このことは検査の時にも起こっています。糖尿病の診断に使われるOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)は75gのブドウ糖を飲んで、その後の血糖値などを測定します。高血糖を認めたときに、糖尿病型か境界型か正常なのかはOGTTと空腹時血糖値の結果から判断されます。

しかし、100㎏の人と50㎏の人が同じ量のブドウ糖を飲んで、同じ条件の検査なのでしょうか?当然の疑問であり、当然同じではありません。

今回の研究では、この当然のことを示したものです。しかし、当たり前なのに糖尿病専門医は知らないふりしてこの検査の結果を踏まえて診断しています。(図は原文より)

上の図は体表面積とBMIと身長との関連を示しています。体表面積は身長と体重から導かれるもので、いくつかの計算式がありますが、 例えば
デュポア式:身長0.725×体重0.425×0.007184

という式で求められます。(今回の研究ではMosteller式です。)ちなみに私の体表面積は約1.6です。その体表面積で5つのグループに分けたときOGTT2時間値との関連は次のようになりました。

横軸は体表面積でのグループ分け、右に行くほど体表面積が大きいグループです。左のグラフは2時間値で日本の単位に直す場合は18をかけてください。そうすると、■の2型糖尿病と診断された人では小さなグループほど2時間値は高く、大きな体表面積のグループほど2時間値は低くなっています。

右のグラフは2時間値と空腹時血糖値の比です。これも同様に小さな人ほど大きな比になっています。つまり、空腹時血糖値は変わらなくても、OGTTの2時間値は小さい人では高く出てしまうために2時間値と空腹時の比は小さい人ほど大きくなるのです。

上の図は縦軸が新たに2型糖尿病と診断された人の割合です。横軸が体表面積です。小さな人では30%近い割合ですが大きな人では5%以下です。

OGTTによる2型糖尿病の診断は、比較的小さな人では偽陽性であり、比較的大きな人では偽陰性になる可能性が高くなります。

OGTTは、体の大きさに関係なく、すべての成人に対して75 gの均一なブドウ糖負荷で標準化されていること自体がおかしいのです。身長と2時間値の逆相関を示した研究もあります。

また、以前の研究「身長が低いほど糖尿病になりやすい?」で書いたように、身長と糖尿病のなりやすさの関係の中に、ひょっとしたらOGTTによる過剰な診断が含まれている可能性もあります。(その記事で私が言いたいことは違うことですが)

さらに欧米人より日本人の糖尿病が多いのも、もしかしたら非常に体の大きな人が多い欧米人と同じ量のブドウ糖を負荷して検査をする方法自体が大きな影響をもたらしている可能性があります。

ただ、本当に耐糖能に異常がなければ、欧米人並みの75gのブドウ糖でも、血糖値は異常に高くなることはないでしょう。だから、検査の意味がないわけではないでしょう。しかし、かなり適当な検査であることは確かです。本来は身長なのか体重なのか、今回の研究のように体表面積などで補正して、ブドウ糖の投与量を決めるべきでしょう。

OGTTが必要と判断された時点で、すでに耐糖能異常が起きているのです。糖尿病型なのか、境界型なのかの微妙な判定はこのように、体型に左右されてしまうので大きな意味はありません。「糖尿病診療ガイドライン2019」でも、当然OGTTの検査でブドウ糖の量を調整することは全く触れていません。

夏井先生の新刊「患者よ、医者から逃げろ  その手術、本当に必要ですか?」に書かれているように、ガイドラインというのは当てになりません。



空腹時高血糖が認められたらもちろん、食後高血糖がわかったらこんな適当なOGTTなんかで糖尿病かどうかを確かめるよりも、糖質制限を始めて自分の体を守った方が良いと思います。

「Body surface area and glucose tolerance – the smaller the person, the greater the 2-hour plasma glucose」

「体表面積と耐糖能-小さい人ほど、血糖値の2時間が大きくなる」(原文はここ

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