新しい骨粗しょう症の薬イベニティは発売半年で死亡16例

イベニティ(ロモソズマブ)という薬をご存じでしょうか?イベニティはアメリカのアムジェン社が開発した骨粗しょう症の治療薬です。画期的な治療薬として、世界的に注目を集めていたのですが、アメリカでは未承認の状態の時点で、日本では承認されました。

日本のメーカーであるアステラス・アムジェン・バイオファーマとアステラス製薬は医薬品医療機器総合機構(PMDA)にイベニティの承認申請を行ない、昨年12月に承認されました。世界に先駆けて発売されることは良いことなのか?といえばそうではなかったのです。

アメリカのFDAはこの薬の試験で、重篤な心血管系有害事象が有意に増加するという結果が出て、承認を見送っていたのです。その後、日本での承認から4カ月後に承認になったのですが、そこには心血管系有害事象に関して非常に厳しい条件を付けての承認になったのです。一方、欧州医薬品庁(EMA)は今年6月、心血管に対する安全性への懸念が払拭できないとして、承認申請を却下しているのです。

ヨーロッパでは承認さえされない、アメリカでも厳しい条件付きの承認となったこの骨粗しょう症の薬は日本では野放しにされました。その結果はどうなったでしょうか?

発売後3か月4か月5か月6か月
重篤な心血管系事象例11194368
死亡例371116

発売後6カ月の報告では、重篤な心血管系有害事象は68例にもなりました。内訳は脳梗塞、脳出血、心不全、不整脈、心筋梗塞などです。そして、死亡例は16例のもなってしまったのです。骨密度を増やすためには命がけにならなくてはならないのでしょうか?

私の見た限り日本整形外科学会や日本骨粗鬆症学会から何の声明も発表されていません。添付文書は改定されたようですがどうなっているのでしょうか?

添付文書の警告文には赤い文字で次のように書かれています。

警告
海外で実施されたアレンドロン酸ナトリウムを対照とした比較試験において、心血管系事象(虚血性心疾患又は脳血管障害)の発現割合がアレンドロン酸ナトリウム群に比較して本剤群で高い傾向が認められている。また、市販後において、本剤との関連性は明確ではないが、重篤な心血管系事象を発現し死亡に至った症例も報告されている。
本剤の投与にあたっては、骨折抑制のベネフィットと心血管系事象の発現リスクを十分に理解した上で、適用患者を選択すること。
また、本剤による治療中は、心血管系事象の発現がないか注意深く観察するとともに、徴候や症状が認められた場合には速やかに医療機関を受診するよう指導すること。[「効能・効果に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」、「その他の注意」及び【臨床成績】の項参照]

と書かれています。整形外科の医師がはたして、「骨折抑制のベネフィットと心血管系事象の発現リスクを十分に理解した上で、適用患者を選択する」ことができるでしょうか?また、「本剤による治療中は、心血管系事象の発現がないか注意深く観察する」と書かれていますが、1か月に1回の薬をどうやって注意深く観察するのでしょうか?心血管イベントはほとんどが病院外で起きてしまうのです。「徴候や症状が認められた場合には速やかに医療機関を受診する」のは当たり前のことでありますが、起きてしまってからでは遅いこともあるでしょう。

添付文書の別の欄には次のように書かれいます。

重要な基本的注意の欄

虚血性心疾患又は脳血管障害のリスクが高い患者への投与は、本剤の骨折抑制のベネフィットと心血管系事象の発現リスクを考慮して判断すること。少なくとも、過去1年以内の虚血性心疾患又は脳血管障害の既往歴のある患者に対して、本剤の投与は避けること。

「少なくとも、過去1年以内の虚血性心疾患又は脳血管障害の既往歴のある患者に対して、本剤の投与は避けること」と目立たないように書かれています。この文をもとに処方した医師に責任を押し付けるのでしょうか?このような重大な文であれば、先ほどの警告に入れるべきです。

アメリカでは過去1年以内の心筋梗塞や脳卒中既往者への投与は禁忌なのです。ヨーロッパでは発売さえ認められていないのです。命と引き換えに骨密度を増やしたいでしょうか?1年以内にこのような心血管疾患が無くても、骨粗しょう症の薬を使う人は通常糖質過剰摂取であり、動脈硬化が進行している状態が多く、心血管疾患の発症のリスクは高いでしょう。

処方する医師は適切にこのような心血管疾患のリスクを患者に説明しているのでしょうか?まずはしていないでしょう。説明したら患者さんはこの薬を使わないでしょうから。

不思議なことに、発売半年で16人もの死亡例があるにも関わらず、マスコミは全く報道していないのです。すべてのマスコミにもお金が流れているか、裏の力が働いているのでしょうか?抗がん剤のように非常にリスクのある薬でならまだ死亡例があることを理解できますが、たかがと言ったら語弊があるかもしれませんが、骨粗しょう症の薬です。新たな薬害の犠牲者が増えないことを祈るしかないのでしょうか?

もしかしたら、国も学会も整形外科医もマスコミも「たった16人」の死亡例、とでも思っているのかもしれません。

日本は利益相反を軽視しすぎです。日本の医療のガイドラインやこのような薬を承認する委員会のメンバーに対する製薬会社などからの金品の授与をもっと透明にすべきです。そして利益相反がある人は委員会から排除すべきです。そうしないと、犠牲者はこれからも増えるばかりでしょう。

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