日本人の低身長化

先日の夏井先生のホームページの記事に取り上げられていましたが、日本人の平均身長が近年低下しているようです。(ここ参照)

18~19歳男子の身長が直近2年(2016年~2017年)連続低下し、170㎝に達しないという低身長化が見られたそうです。もちろん女子も低下傾向のようです。

実はかなり以前から身長の伸びは止まり、横ばいであると言われていました。(ここ参照)

なぜ、日本人の身長は低身長化に向かっているのでしょうか?わかりません。下の図は1996年生まれまでの人が18歳になったときの身長の推移を示したグラフです。つまり最新のデータとしては2014年の18歳の人の平均身長です。(データはここから)

男性は1970年代後半にピークになって、少しずつ低下してきています。女性の方は低下傾向ですが横ばいに近いですね。現在40歳前後の人たちが最も背が高いようです。

では、他の国はどうでしょうか?

例えば、アメリカは?

不思議なことにアメリカも横ばいか、または1970年代後半あたりでピークですね?アメリカは様々な人種がいるので、日本と違う傾向化と思ったのですが、そうでもないようです。

お隣韓国はどうでしょうか?

韓国は順調に身長が伸びています。日本人男性とは平均で5cmほど上回っています。ただ、北朝鮮のデータを見ると、首をかしげたくなります。

なんと北朝鮮の平均身長は日本人よりも高いではありませんか?北朝鮮のデータの信ぴょう性はどうなのかはわかりません。食糧事情を考えると、眉唾に感じてしまいます。都合の良いデータを出しているのかもしれません。

先進国の他の国はどうでしょうか?

イギリスは横ばいです。

ドイツは男性は緩やかに上昇し、女性はやや低下しています。

世界でも最も背の高い国であるオランダはさすがに横ばいです。男性の平均は182cmを超えているのですから。

フランスはまだ伸びています。

オーストラリアは男性は横ばい、女性はやや増加でしょうか。先進国でも身長の伸びが認められる国と、横ばいまたは低下している国があります。

それ以外の様々な国はどうでしょうか?

インドはずっと身長の伸びが少なく、最近でも横ばいですね。これはもしかしたら肉の消費量と関連しているのではないでしょうか?

上の図は世界各国の食肉の消費量です。(ここ参照)左端のインドは世界最低レベルです。そうすると、最も牛肉消費量の多いアルゼンチンを見てみましょう。

アルゼンチンでは男性は上昇していますが、女性はやや低下傾向です。

鶏肉の消費量の最も多いイスラエルを見てみましょう。

イスラエルはほぼ横ばいでしょうか。男性がやや増加という程度です。

豚肉の消費が最も多いベトナムはどうでしょう。

ベトナムは緩やかに増加しています。

なんとも言えない結果です。インドやベトナムなどはまだ食糧事情が良くなく、肉からのトータルのタンパク質摂取量が少ないので、身長の伸びが良くないのだと思われますが、肉を大量に食べているという印象のあるアメリカやオーストラリアの伸びはほぼ止まっています。

民族、人種など遺伝的背景も大きな要素だと思われますが、日本人はどうして低身長化しているのでしょうか?やはり若者たちの食料事情が悪いのでしょうか?

日本人の身長の伸びは恐らく脚の長さの伸びが大きかったのではないでしょうか?実は日本人の17歳の男女の身長と座高を調べてみると、平均身長はやはり上の結果と同様に横ばいですが、座高に関しては近年増加している、つまり脚の長さが短くなっているのです。成人の脚と体幹の長さは、親の身長や出生体重にも大きな影響を受けると思いますが、脚の長さは母乳育児と4歳児のエネルギー摂取と明確に関連しているという海外のデータもあります。(これについてはまたいつか記事にします。)

高度経済成長とともに日本人の平均身長は伸びてきたのかもしれません。1970年代後半では、その時代の女性が結婚し子供を産むことが多いと思われる25~34歳の女性の就業率は45%前後でした。しかし、1975年を最低にその後はその年代の女性の就業率はどんどん上昇しています。

子供を産んだ後に仕事復帰をする女性もどんどん増えたのではないでしょうか?それとともに母乳育児が低下し、乳幼児期の食事が何かそれまでとは質が低下したものに変化したのであれば、この日本人の低身長化は説明がつくかもしれません。本当かどうかはわかりません。

日本人のお米信仰が強すぎて、乳幼児期にタンパク質が少なく、お米を中心とした食事を摂っていることも影響していると思いますが、それは昔からずっとのことなので、近年の低身長化に関連しているかどうかは不明です。何か筋肉や骨のインスリン感受性を低下させる要素が関係しているかもしれません。

高身長化が全て良いわけではありません。格好は良いですが。(私はちんちくりんなので背の高い人はうらやましいです。)

しかし、このような変化が他の多くのことに繋がっている可能性はあるでしょう。

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コメント

  1. やまもと より:

    「オランダ人がでっかい」
    ホント、これは体験的にわかります。今から20年近く前、オランダ・ベルギー・ルクセンブルグを旅した際、アムステルダム空港内のトイレに入ったときのビックリ体験。

    大便器に座ると足が地面につかない。小便器では背伸びしないと的を外す。街ゆく男性は小さい人でも余裕で180センチは超えている。190センチの大男もざらにいる。女性は、冬なのにいやに薄着で、半そで、へそを出して歩いている。寒くないのか。国の領土は小さいが、ひとは大きい。

    明治初期の日本人の身長が日本の歴史のなかでは一番小さかったと、何かの本(糖質制限の先生の誰かの本)で読んだことがあります。やっぱり食生活が関係あったのでしょうね。

    ところで、明治の大官で、初代の司法卿として名高い江藤新平は、一日3食をすべて洋食として、なかでも牛肉を大いに好む。彼の言うことがふるっていて、「日本人は塩菜で米飯を口腔にかきこみ、それでもって食事なりとしてきたがために骨柄が矮小・ひ弱になり、すべての点で西洋人に劣る。洋食に切り替えねば、世界の中で自立していくことはできぬ」と。独立国家建設のために洋食を食らうというわけです。

    近代的な司法権の独立の基礎を作った江藤のバイタリティの秘密は肉食にあった、ということができるかもしれませんね。すみません、余談でした。

    • Dr.Shimizu より:

      やまもとさん、コメントありがとうございます。

      江藤新平さんについては、全く知りませんでした。非常に先見の明がある方ですね。
      ちなみに私はオランダでなくて、アメリカでも背伸びをしてトイレをしました。オランダに行ったら大便器で小便をするほかないですね。
      逆にオランダ人は日本に来たら小便器が小さすぎて困るでしょうね。

  2. NANA より:

    「日本人の低身長化」については、「若い女性の痩せ指向」との相関を示唆する研究報告があります。
    痩せた妊婦の増加→低出生体重児の増加→その子どもの将来的な低身長化····という関係ですね。
    以下、ご参考までに。

    『日本人の平均身長低下と女性の痩せ指向との相関関係 一流科学誌「サイエンス」が憂えた「日本人の未来」』
    https://doors.nikkei.com/atcl/wol/column/15/082800197/101500010/

    この日経の記事で紹介されている国立成育医療研究センター社会医学研究部ライフコース疫学研究室長の森崎菜穂氏の論文を取り上げたScienceのニュース記事はこちら↓

    https://www.sciencemag.org/news/2018/08/staying-slim-during-pregnancy-carries-price

    JapanTimesでもニュース記事になっていました↓

    https://www.japantimes.co.jp/news/2018/02/12/national/science-health/average-height-japanese-born-1980-later-declining-study-finds/#.XfExZURcW2d

    肝心の森崎菜穂氏らのソース論文はこちら↓

    「Association between women’s perceived ideal gestational weight gain during pregnancy and pregnancy outcomes」

    https://www.nature.com/articles/s41598-018-29936-z

    「Ecological analysis of secular trends in low birth weight births and adult height in Japan」

    https://jech.bmj.com/content/71/10/1014

    researchmapによる森崎菜穂氏のプロフィールと論文一覧はこちら↓

    https://researchmap.jp/nahomorisaki/

    日経の記事で森崎氏が、「日本の妊婦が痩せている要因の一つに、産婦人科の先生たちが、妊娠高血圧などの予防のために、妊婦さんの体重を増やし過ぎないようにと行ってきた体重指導の影響もあります。しかし、妊婦の体重制限が妊娠中の合併症の予防に与える効果が、長年信じられていたほどは高くないかもしれないことや、妊娠中の体重増加が足りないことのマイナス面も明らかになってきた」と語っていたのは、医学的知見の科学的正しさや確かさは、新しい発見や研究によって大きく変わり得るという意味でも、教訓的な指摘です。

    私は、若い女性の「痩せ指向」の実態については、より掘り下げた検討の必要性があるのではないかと感じています。

    低身長化の原因とされる低出生体重児の増加の要因には、商業的に煽られたダイエットやファッション趣向に影響された若い女性の「痩せ指向」があるだけではなく、「母子家庭」や「子どもの貧困」といった言葉に象徴される格差社会の進行による若い貧困層の栄養環境の悪化も、その大きな一因になっているのではないかと考えています。

    • Dr.Shimizu より:

      NANAさん、情報ありがとうございます。

      非常に面白い情報ですし、半分同意します。
      ただ、痩せた女性が増加した、または妊婦の体重制限が問題というよりは、やはり栄養の質の問題でしょう。
      痩せているというよりは必要な栄養が足りないことが問題です。いまだに痩せるためには摂取エネルギー量を減らすことが重要だと考えられています。
      糖質を減らさずにエネルギーを減らし、結局は重要なタンパク質や脂質の摂取量が減ってしまうことが問題なのでしょう。