糖質を制限すればいいってもんじゃない!MEC食の選択は慎重に!

糖質制限がかなり浸透してきた感じがしますが、糖質制限食にもいろいろなものが出てきています。様々な経験や様々な論文などから、独自の仮説や理論を唱えている方も増えています。その中で今回はMEC食について触れたいと思います。MEC食は結構古く、2014年にMEC食を提唱する渡辺信幸先生が出版された「日本人だからこそ「ご飯」を食べるなー肉・卵・チーズが健康寿命をつくる」という本で読みました。

非常にわかりやすい内容で、MEC食は非常にとっつきやすい糖質制限です。

MEC食は1日の摂取量として肉200g、卵3個、チーズ120gを推奨しています。そして弱点のビタミンC補給として少量の野菜摂取をプラスしています。私は肉200g、卵3個までは同じですが、そこに魚1切れ(1匹)とたっぷりの野菜(特に葉物野菜、できるだけ多種)と少量の果物を推奨しています。

なぜ、たっぷりの野菜を推奨するかというとまずはやはりビタミン摂取です。少量(どれぐらいを少量というのかわかりませんが)の野菜では十分なビタミンCは摂れないと思います。調理の過程でずいぶん減少してしまいます。ビタミンCを大量に摂ることを推奨している方も大勢いますし、多く摂りすぎても害がないことや体外に自然に排出されるのでたくさん摂った方が良いと考えています。

もう一つの野菜の推奨の理由は食物繊維です。MEC食では食物繊維を否定まではしていませんが、便秘を悪化させるなどという考えから足り過ぎないように注意躍起をしています。しかし、食物繊維は我々人間の食事ではありません。人間と一緒に生活をして、人間を助けてくれる腸内細菌の食事です。近年どんどん腸内細菌に関する新しい研究が出てきていますが、腸内細菌の重要性もどんどん高まっています。

チーズには菌が含まれている可能性がありますが、プロセスチーズでは菌は恐らくゼロでしょうし、その他のチーズでもスーパーで普通に売られている賞味期限が非常に長いものはダメでしょう。また、MEC食は食材の多様性が乏しく、食材の多様性が乏しいということは腸内細菌の多様性も乏しくなります。ただでさえ現代人の腸内細菌の多様性は少なくなっているのです。

狩猟採集の時代のことを考えて、糖質制限食が人類の本来の食事だという理由にもなっています。しかし、そう考えるなら食物繊維ははずせないでしょう。逆に現代よりもっと大量の食物繊維を撮っていたはずです。狩猟によって肉を食べていましたが、毎日肉にありつけるかどうかはわかりません。もう一つの食料の確保の術である、採集によって様々な果実、野菜(野草)を取ってきては食べていたことでしょう。そして、その果実も野草も繊維質たっぷりのはずです。今のように食べやすいジューシーなフルーツなどではなかったはずです。

ですから、人類本来の食事に食物繊維は外せません。大量に必要だと考えています。

ちょっと前の研究ですが、MEC食に近い高タンパク、低糖質、低食物繊維の食事によって腸内細菌が変わり、腸内環境が変わり、健康を悪化したり、がんのリスクを高める可能性を指摘したものがあります。原文はここ

もちろん、この研究の対象の人数が少ないこと、脂質量がグループによってかなり違うことなど問題点はありますが、食物繊維の必要性の一部はわかるのではないでしょうか?HPLC群の食事はまさにMEC食です。

維持群は摂取カロリー当たり13%のタンパク質、50%の炭水化物(食物繊維は1日約22g)、37%の脂質で、高タンパク、低糖質群(HPLC)は29%タンパク質、5% 炭水化物(食物繊維は1日約9g)、66%脂質、高タンパク中糖質群(HPMC)は28%タンパク質、 35%炭水化物(食物繊維は1日約13g)、37%脂質でした。

HPLC群とHPMC群では分岐鎖脂肪酸の比率、フェニル酢酸、N-ニトロソ化合物が増加しました。さらにHPLC群では腸内のバクテリアのRoseburia / Eubacterium rectale群の減少に伴い、腸内の短鎖脂肪酸濃度における酪酸の割合を減少させ、フェルラ酸およびその誘導体のような食物繊維由来の抗酸化フェノール酸の濃度を大幅に低下させました。

赤肉が結腸(大腸)がんを増加させるという報告がありますが、糞便中のニトロソアミンなどは、赤肉消費が増えることによって増加し、これらの濃度は結腸がんリスクの増加に関与していると言われています。逆に食物繊維や難消化性炭水化物は結腸直腸がんの予防に重要な貢献をしていると言われています。短鎖脂肪酸へ発酵することにより、腸内環境と腸粘膜に影響し、炎症反応の制御をしています。特に酪酸は結腸上皮の重要なエネルギーですし、結腸直腸がん細胞のアポトーシスを促進するようです。また、腸内細菌は食物繊維の発酵により抗酸化作用や抗がん作用を示すフェノール化合物を出します。

論としてこの論文では、「4週間後タンパク質が多いが総炭水化物および食物繊維が減少した食事は、有意に腸内のがんの防御的代謝産物を減らし、有害な代謝産物を増やしましたことにより、このような食事を長期間続けると、結腸疾患のリスクが上昇する可能性があります。適量の食物繊維および他の形態の繊維、例えば難消化性デンプンを摂取することが、高タンパク、低糖質の食事の有害な代謝の影響の一部を相殺することができることを示しています。したがって、腸の健康を促進するのに十分な食物繊維と難消化性炭水化物摂取量を含む食事を優先する方が賢明であるようです。この結論は最近の疫学的証拠と一致しています。」と述べています。

つまりMEC食は体重減少には良いのですが、腸の健康には悪い食事と考えられます。腸内細菌を飢えさせると良いことはありません。我々人類は腸内細菌をはじめ様々な微生物と共に生きているのです。大切にしなくては。

MEC食の選択はご自身でよく考えて、慎重に検討した方が良いのかもしれません。ちなみに私は赤肉の大腸がんリスクは糖質過剰摂取が影響していると考えています。糖質制限をして、食物繊維をたっぷり摂っていればリスクの上昇はないと思っています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする