心臓のステントの治療で、プラセボと比較するなんて…ステントもウソか?

このような研究が発表されたのには驚きでした。通常日本では倫理的に許されないような研究です。心臓の動脈の狭窄が起こり、それに対して、ステントを入れる治療を行う場合がありますが、このステントを入れる治療と、入れたフリをして、本当は入れず、薬物治療だけで経過を見たプラセボとの治療後の比較をしているのです。

新しいランセットの論文では、安定狭心症で少なくとも1つの狭窄した冠状動脈を有する230人の患者を対象として、6週間、ベータブロッカーや長時間作用性のニトログリセリンのなどの薬物治療を行いました。6週間後2つの群、狭窄した動脈内のステントを受ける群と偽ステントの手順を受ける群に分けられました。研究は二重盲検であったと言っています。つまり、ステントを行う医師も、治療を受ける患者も自分がどっちの治療を受けているかわからないのです。

そしてさらに6週間後、患者はトレッドミル(ランニングマシーンのようなもの)で運動し、それがどれぐらいできるか、胸痛発作を発症するかどうかを調べました。

その結果、本当にステントを入れた群と偽ステント群(実際にはステントを入れていない群)の間に臨床的に重要な違いは認められなかったのです。

血管が狭窄することにより、胸の苦しさが起こると誰もが思っていると思います。私も思っていました。しかし、ステントで血管が拡張しても、実際には胸の苦しさは薬物治療と変わらないのです。運動できる時間も違いがないのです。ということは、ステントで症状が改善した人はプラセボ効果の可能性が高いということです。

恐るべしプラセボ効果!

しかし、本当にこれまで循環器の医師は、ステントが狭心症の症状を緩和すると信じてやっていたのでしょうか?

実際にはこれまで、安定した冠動脈疾患での治療で、ステントと薬物治療を比較した研究では、死亡、非致死的心筋梗塞、狭心症などのリスクを低減しないという結論のものがいくつも存在します。にもかかわらず、高価なステントを入れ続けていたのかもしれません。

もちろんすべてのステントが無駄だとは思いませんし、将来的に長期的な目で見れば恩恵はあるかもしれません。しかし、まずは薬物治療、そして食事をちゃんと変えて糖質制限をして、アテローム性動脈硬化を改善するようにすればステントはいらない可能性があります。

このような研究が、何でもかんでも、入れる必要のないような症例まで、どんどんステントを入れて荒稼ぎしている循環器の医師も実際にいるので、その歯止めになれば良いですね。

医療は本当に難しいです。このような研究の結果を見ると、自分がやっていることが本当に患者さんのためになっているかどうか、疑わなければならないと思います。あまりにも現在の医療ははっきりした効果もないのに高額な薬や医療行為が多いような気がします。どれもこれも製薬会社や医療機器の企業の戦略勝ちなのでしょう。そのセールスマンに自分がならないように気をつけたいと思います。

「Percutaneous coronary intervention in stable angina (ORBITA): a double-blind, randomised controlled trial」

「安定狭心症における経皮的冠動脈インターベンション(ORBITA):二重盲検ランダム化比較試験」(原文はここ

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