トライアスロンのような過剰な運動は男性の心臓を危機に陥れるかもしれない

運動をすることは健康的であると考えられていますが、実際には程度問題です。以前の記事「トライアスロンでの死亡はまれではない!」でも書いたように、死因の4割以上が心血管系のものです。そして、女性に比べて男性の方が圧倒的に死亡率が高いのです。

北米放射線医学会年次総会で発表された研究によると、トライアスロンを行っている男性はの、心筋線維症と呼ばれる、潜在的に有害な心臓の状態のリスクが高いそうです。しかし、女性ではリスクの増加は明らかではありませんでした。リスクの高さは選手の運動量と直接関連していました。

心筋線維症は心臓筋肉の瘢痕です。それが心室と呼ばれるポンプの働きをする場所に影響を及ぼします。そして心不全に進行することがあります。これまでの研究では、エリート選手に心筋線維症の存在が示されているそうです。

実際にはまだ、この瘢痕と臨床的な関連性については明らかではありません。しかし、将来の心不全や不整脈の基盤となるかもしれません。

今回の研究では男性55人、平均年齢44歳、女性30人、平均年齢43歳のトライアスリートを対象に検査を行いました。

その結果、男性の55人のうち10人(18%)において心臓の重要なポンプである左心室の筋肉に明らかな心筋線維症を認めました。しかし、女性ではいずれにも認められなかったのです。

これらのアスリートは、トータルのスイミング、サイクリング距離が大幅に長く、心筋線維症のないアスリートよりも運動時のピークの収縮期血圧が高かったのです。

アスリートの生涯競技歴では、完走したアイアンマントライアスロンの数と中距離トライアスロンの数が、男性トライアスリート集団では女性トライアスリート集団に比べて有意に高く、線維化リスクが運動レベルに関連する可能性が高いことが示唆されました。

運動テストの結果を比較すると、女性のトライアスリートは、男性ののトライアスリートと比較して運動時のピークの収縮期血圧が低く、最大のパワーが低いことが明らかになりました。さらに、女性は男性と比較して短い距離を完走する傾向があることが示されました。これは、血圧および競走距離が心筋の線維化の形成に影響を及ぼす可能性があるという概念を支持しています。

運動量と心筋線維症のリスクとの間には、いくつかの要因が考えられます。運動によるより高い収縮期血圧は、より大きな心筋質量をもたらし得ることや、運動量が多いほどアスリートが心筋炎や心筋の炎症の高いリスクにさらされる可能性があると考えられます。これらの要因は、運動による左心室壁に対して繰り返し増加したストレスと合わさって、心筋を傷つける可能性があるのです。

男女のリスクの顕著な差は男性ホルモンの存在など他の要因が原因である可能性があります。

トライアスリートでの心筋線維症の発症の正確なメカニズムを証明することはできませんが、極端な運動の繰り返しは誰にとっても有益ではないかもしれないのです。

(元の記事の原文はここ

私にとっても他人ごとではありません。今年の最後のレースが終わった後は以前よりもさらに心拍数を落とした練習を行っています。マフェトン先生の「The 180 Formula」です。

「180-年齢」を練習中の最大の心拍数として、ほとんどの練習を行っています。実にゆっくるとしたペースです。しかし、この年齢であまり心臓に無理はかけられません。

そして、もちろん「ケトラン」です。糖質制限をして、ケトン体を出すことにより、抗炎症作用、抗酸化作用を得ながら走ることができます。もちろんケトランで心筋の炎症が抑えられたという証拠はありませんが、通常の食事に比べたら格段に炎症は少ないでしょう。心筋線維症も恐らく心臓の筋肉が炎症を繰り返した結果だと考えられます。

持久力や運動そのものに糖質がエネルギーだと思い込んで、運動前や運動中、さらに運動後と過剰な糖質摂取で体に炎症や害を与えてはいけません。できる限り炎症を起こさない食事に切り替えるべきです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 砂川伸彦 より:

    清水先生、はじめまして。
    ここ5年ほど糖質制限肉食裸足で走っております、沖縄在住の砂川伸彦と申します。
    いつも清水先生のBlogを興味深く拝見しております。

    11/6「駅伝に見るランニングシューズ 以前の高速水着を思い出す」10/21「所詮、スポーツのシューズのクッションなんてこんなもん」などで述べられている、シューズのクッションのことですが、私は、過剰、依存、病気・怪我の増加、ヒトの正常な生理から遠ざかることなどから「糖質=クッション」と考えていて、走る時は裸足か裸足に近いシューズで走っています。

    清水先生は「マラソンシューズは軽いものを選びます。クッション性はほとんど必要ないと思っています。厚底のマラソンシューズは逆にケガをもたらすとも考えています。」と記していますが、裸足ランニングと裸足感覚のシューズ(Vibram FiveFingersや無敵、ルナサンダルなど)に対する見解をお聞きしたく、コメントいたしました。

    北海道では裸足ラン推奨の中学の校長先生もいらっしゃって、精力的に活動をしております。
    https://ameblo.jp/rxq03350/

    お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

    • Dr.Shimizu より:

      砂川伸彦さん、コメントありがとうございます。
      足の裏の感覚は非常に重要だと思っていますし、足には生まれながらのクッションがあるので
      厚底シューズは人間の性能をどんどん低下させると思っています。
      しかし、全くの裸足で道を走るのは、どうしても足裏のケガの心配があるのでやろうとは思いません。
      Vibram FiveFingersはずっと興味を持っていますが、なかなか踏み切れずにいます。
      また、なかなか札幌では売っていないことと、私は足の形が変な形なので合うものがあるかどうか
      心配しています。
      おすすめのものがあれば教えてください。
      サンダルについては昔の鼻緒が痛い思い出があり、ダメです。

      北海道の情報もありがとうございます。子供たちに裸足で運動させることは非常に良いことだと思います。
      本来靴や靴下を履く動物はいませんから。

  2. 砂川伸彦 より:

    清水先生、こんにちは。
    返信いただき感激です。
    清水先生の見解と同様に、裸足か薄いソールのシューズ、足の動きを妨げない裸足感覚のシューズが人間本来の動きを取り戻すと考えていて、僕も「靴を履く動物はいない」とよく話しています。

    ご存知かもしれませんが、裸足ランの第一人者・吉野剛さん(http://hadashirunning.com/)、裸足フルマラソン日本記録(2時間45分)保持者・高岡尚司さん(https://www.takaokashoji.com/)のBlogをご紹介します。

    Vibram FiveFingersですが、足の形が違うようであれば通販でのサイズ選択が難しいかもしれません。
    問い合わせ欄からmailにてご連絡いたしますので、よろしければご連絡ください。
    失礼します。