大量のコレステロールを摂るとどうなるか? その1

卵は最もコレステロールを多く含む代表的な食べ物です。

卵100gあたり、420mgのコレステロールを含んでいます。

卵1個当たりの栄養成分はタンパク質7.74g、脂質6g、糖質(炭水化物)0.18gです。

その卵を今回10個一気に食べました。一個当たり60gと考えると、10個で600gです。600gの卵に含まれる栄養素を見てみると、

タンパク質77.4g、脂質60g、糖質1.8g、コレステロール2520mg

ビタミンA 840μg、ビタミンD 10.8μg、ビタミンE 6mg、ビタミンK 72μg、ビタミンB1 0.36mg、ビタミンB2 2.4mg、ナイアシン 0.6mg、ビタミンB6 0.42mg、ビタミンB12 5.4μg、葉酸 210μg、パントテン酸 8.1mg、ビオチン 150μg

ナトリウム 780mg、カリウム 780mg、カルシウム 306mg、マグネシウム 66mg、鉄 10.8mg、亜鉛 7.8mg、ヨウ素 90μg

飽和脂肪酸  16.2g、一価不飽和脂肪酸  21.3g、多価不飽和脂肪酸  9.78g(オメガ3 1.02g、オメガ6  8.76g)

ビタミン系ではナイアシンが少ない以外は栄養満点です。脂肪酸では飽和脂肪酸もたっぷりですが、オメガ3は少ないです。

昔であればコレステロールの1日摂取量の基準は、男性で1日当たり750mg、女性で600mg未満としていました。2015年にはこれが撤廃されています。しかし、いまだに一部の病院では「卵は1日1個まで」という栄養指導や、医師からの助言が行われているのが実際のところです。

以前であれば上限値である750mgを大きく超え、3倍以上のコレステロールを1日目に一気に摂り、2日目と3日目は朝と晩に分けて10個の卵を食べ、4日目の朝に血液検査をしました。

まずは今回は1日目に卵10個食べた後の脂質の変化を見てみましょう。卵を10個も一気に食べるのは意外としんどく、7個目からはもうお腹いっぱいの感じで、食が進まなくなりましたが、なんとか食べきりました。

グラフは卵を食べる前の空腹時、食べた後1時間後から4時間後までの脂質の変化を見ています。コレステロールはどれも変化はありませんでした。中性脂肪だけが上昇しています。これは食後当たり前の反応です。吸収された脂質はカイロミクロンに乗って運ばれていきます。

超短期的に見て、これほど多くのコレステロールを一気に摂っても、血中のコレステロール値は全く変化を受けないことがわかります。カイロミクロンは中性脂肪だけでなく、当然コレステロールも運んでいますので、コレステロール値に変化がないということは、もしかしたらほとんど食事中に含まれるコレステロールは吸収されていないのではないかとも思えます。

私の体には十分なコレステロールがあるので、食事中のコレステロールはほとんど吸収されず便中に捨てられているのではないかと考えます。そうだとすると、全く食事中のコレステロール量は気にしなくても良いことになります。

脂質を60g一気に摂取したにもかかわらず、中性脂肪値は33から105と72しか変化していません。一気に大量の脂質を摂ったので、吸収率が悪かった可能性はありますが、脂質が大量に吸収されない場合、下痢を起こしてもおかしくはないのでは?と思いますが、下痢は起こさずいつもと変わりませんでした。私の中の優秀なカイロミクロンがせっせと仕事をして、エネルギーをどんどん様々な組織に運んで行って、どんどん消失したと考えるのが妥当ではないかと思います。糖質を摂っていなければ、組織は脂質からのエネルギーを求めるため、貪欲に脂質を受け取るのでしょう。ちなみに脂質60gというのは和牛サーロインステーキで120~130g、赤身の牛肉のもも肉であれば340~350g、豚バラで170~180g、豚もも肉で580~590g、鶏もも肉で420~430g、鶏むね肉で510~520g程度です。

通常食後の中性脂肪値のピークは4時間前後といわれていますが、今回では1時間後が最も高く、その後はやや低下するものの横ばい、そして4時間後では明らかに低下してきています。このように中性脂肪値のピークが早く、低下するのも早いのも、同じように組織にどんどん脂質が運ばれているからだとおもいます。

また、脂質は吸収が遅いとよく言われますが、1時間後にすでに中性脂肪が最も高くなっていることを考えると、それほど吸収が遅いとも言えません。

今回の血液を肉眼で見ても私の目には「乳び」という白く濁った状態は認めませんでした。しかし、出た結果では1時間後だけが「乳び(1+)」でした。

BML社の中性脂肪の項目のところでは、「食餌の影響を大きく受け、血中濃度が400~800mg/dL以上になると“乳び”といわれる血清が白く混濁する状態を呈する。」と書かれています。

実は以前の私の血液は空腹時で白濁した「乳び」を認めていました。その時の中性脂肪値は400を超えていたのです。そこから私の糖質制限生活が始まるのですが、詳しくは拙著「
運動するときスポーツドリンクを飲んではいけない (廣済堂健康人新書)」を読んでいただけると嬉しいです。

血液検査で空腹時にもかかわらず乳びを認めた場合はかなり危険な状態だと考えて間違いないと思います。それが食後6時間後程度であっても、同様だと考えます。私は現在は脂質を60g一気に摂取しても、中性脂肪値は100程度までしか上がりません。

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コメント

  1. いつも有益かつ詳細な情報を御提供頂き有難うございます。
    糖質制限系ブロガーのたがしゅうです。
    卵10個負荷試験、大変興味深く拝見しました。
    私の方でも追試をしてみたいと思います。
    結果が分かり次第、当ブログで紹介させて頂きます。
    きっかけを与えて頂き感謝申し上げます。

    • Dr.Shimizu より:

      たがしゅう先生、コメントありがとうございます。
      こちらこそいつも示唆に富んだ記事を読ませていただいています。
      先生もなかなか思うような自分自身の実験は難しいかもしれませんが、
      先生の追試楽しみにしております。