心血管疾患のリスクをグローバルに比較して見えたもの やはり糖質はダメ

1950年代にアメリカで発表された、「脂肪悪玉説」は現在否定されつつあります。私の中では完全に否定していますが。そして現在、心血管疾患の原因として炭水化物、つまり糖質の役割が非常に注目されており、それが糖質制限食の広がりにつながっています。

グローバルな視点で見てみると、それぞれの国の習慣や環境、宗教などの違いがあり、単純な比較は難しいかもしれません。今回、そのようなグローバルな環境での比較をした研究が発表されました。世界158か国の健康と食糧の統計を用いて、分析しています。(図は原文より)

まずは血圧上昇と心血管疾患による死亡率です。左が男性、右が女性です。もちろん血圧が高い方が死亡率が高くなっています。ただ、高血圧の男性統計は、アメリカおよびサハラ以南のアフリカで心血管疾患死亡率と相関していません。食糧消費との関係もかなり弱く、高血圧に関しては男性の統計は信頼性が低いようです。これは男性がアルコール消費量が多いことと関連があるかもしれません。

女性の場合、高血圧とコレステロールの上昇、動物性タンパク質の摂取量は負の関連があります。コレステロールが高いほど血圧の上昇は少ないのです。血圧上昇と平均余命の間にも強い負の関係があり、それは間接的に、女性の血圧上昇に関する統計は全世界の死亡原因である心血管疾患の有病率を非常によく反映していることを示しています。対照的に、男性においてこのような強い関係は見出されませんでした。

男性のコレステロールの上昇は動物性脂肪とタンパク質の摂取量の増加と関連し、植物性の食事とは負の関連があります。

女性の食事で、穀類とでんぷん質の割合が高いと心血管疾患の死亡率が高くなり、脂質全体と動物性タンパク質の割合が高いと心血管疾患の死亡率が低くなっています。

コレステロールの上昇と心血管疾患の死亡率は負の関連があります。男性では弱いですが、女性は中等度の関連が認められます。

血糖値の上昇はBMI、穀類の摂取量や割合と関連し、総エネルギー摂取量とは関連がありません。

血糖値の上昇と血圧の上昇は弱い関連があり、動物性脂肪の摂取量は血糖値の上昇と負の関連があります。

上の表は心血管疾患の指標である血圧上昇、心血管疾患の死亡率、血糖値上昇と関連している因子を示しています。上が正の相関を示し、下が負の相関を示しています。

一貫して、糖質である穀類やでんぷん質の摂取が正の相関を示しています。負の相関は意外にもアルコールが登場しています(違う要因があるようですがここでは割愛します)が、やはりコレステロールの上昇は負の相関を認めます。

女性の心血管疾患の指標と食事の関連を見てみると、やはり正の相関は穀類やでんぷん質が並び、肥満も正の相関を認めます。負の相関では魚介類や卵やフルーツの摂取、意外にも精製した糖が書かれています。

まあ、かなり限界のある統計と分析の研究であることは確かです。それでも、すべての統計的比較において、心血管疾患の指標は、特に高グリセミックの穀類、特に小麦の形態で、高炭水化物消費との最も一貫した関連を示すと言えます。他の疑わしい変数はアルコール(特にその蒸留法である)およびヒマワリ油です。

この中で、女性での食事の主な穀物として米を消費するアジア諸国の血圧上昇がなぜか低いことは不思議です。小麦などに比べて何か血圧に作用するものがあるのか興味があるところですが、認知症のデータを知っていれば、お米を食べる気にはなれません。

いずれにしても心血管疾患のリスクとして、脂肪の摂取やコレステロールの上昇は時代遅れであり、現在は糖質がメインであると考えた方が適切であるということです。

「Global Correlates of Cardiovascular Risk: A Comparison of 158 Countries」

「心血管リスクのグローバル相関:158カ国の比較」(原文はここ

要約

この研究の目的は、グローバルな環境における心血管疾患の発生率と潜在的に関連する栄養およびその他の環境因子の大規模な生態学的分析であった。158か国の心血管疾患の指標は、1993年から2011年までの60食品の平均摂取(供給)、肥満率、医療費、平均余命の統計で比較した。この比較が示すのは、心血管疾患の指標(上昇した血圧、心血管疾患での死亡率、血糖上昇)とグローバルな環境における独立変数との間の関係が、短い平均余命、宗教的に調整された食事習慣、いくつかの統計の不正確さ、そして栄養不足のような様々な因子により影響を受けることである。しかし、使用される統計的方法にかかわらず、結果は常に非常に類似した傾向を示し、心血管疾患のリスクと最も一貫して関連する食物因子として、高炭水化物(特に穀類および小麦)の消費を特定している。これらの知見は、心血管疾患の原因に対して変化している見解に沿ったものである。血糖上昇の統計には、投薬を使用する人々のみが含まれ、医療とは関係のない真の有病率を反映しないため、これらの観察された傾向を確認するために、心血管疾患の有病率に関するより客観的なデータが必要である。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする