マラソンとカーボローディング

糖質制限をしていると、マラソンのレースのときになんでみんなカーボローディングなんてやっているんだ?と疑問に思ってしまいます。雑誌やネットの情報を鵜呑みにしても良いことなんてないのに。

もちろんカーボローディングを支持する研究があることも事実です。

でも、それらは最初からマラソンには糖質が必要だという前提で研究が行われているものがほとんどです。

私はいつも通りの食事の方が良いと思いますが。

というか、私自身はレース前はさらに糖質制限を厳しくしています。

カーボローディングに対する疑問

1.カーボローディングすればグリコーゲン量は本当に増えるんですか?

2.もしグリコーゲン量が増えたとして、それはマラソンに有利なことなんですか?

3.カーボローディングは安全なんですか?

かなり以前の研究データを示して、カーボローディングによるグリコ―ゲン量の増加を示しているものはよく見ますが、

一般の市民ランナーが古典的なものではなく、直前3日間ぐらいいつもよりも多めの炭水化物を食べて、どれだけのグリコーゲンが増えるのでしょうか?ちょっと私にはわかりません。データを持っている方は教えてください。

さて、グリコーゲンは肝臓に100g、筋肉に300g程度あり、それが全部で400g、1600kcalで

フルマラソンを走る場合は2400~2600kcal必要なので800~1000kcal足りない。

だから、カーボローディングしてグリコーゲン量を増やさなければ走り切れない、グリコーゲンの枯渇が30kmの壁だ、なんてこと書いてありますが本当ですか?

これも、古いデータによればグリコーゲンと脂肪のエネルギーの比率はだいたい50%、50%。

だったら、フルマラソンの消費エネルギーの半分1200~1300kcalなら、最初からあるグリコーゲンでも足りますよね。

カーボローディングして、グリコーゲン量が倍になれば3200kcalですから、余裕でゴールできますね。

めでたしめでたし、とはなりませんよね?

そもそも肝臓のグリコーゲンは血糖値維持のためのものであり、筋肉のグリコーゲンはその筋肉を動かすために使われます。

筋肉にトータルで300gだとしても、マラソンで主に使う下肢の筋肉にはいったいどれぐらいグリコーゲンがあるのでしょうか?下肢の筋肉は多いので70%ぐらいとみても、210g。

しかも個々の筋肉を考えたとき、その筋肉のグリコーゲンが枯渇したら、その筋肉のパフォーマンスはがた落ちですよね?

そうするとトータルのグリコーゲン量を考える意味がないと思いませんか?

それとも、ある筋肉のグリコーゲンが不足したら他の筋肉からグリコーゲンが運ばれて、復活するなんてことがあるのでしょうか?聞いたことないですよね?

ある研究ではグリコーゲン量が少ないほど脂肪をエネルギーにする割合が高くなるという結果が出ています。

せっかくグリコーゲンをカーボローディングで増やしても、それを使う比率が高くなったら、メリットはないと思います。

また、疲労困憊で走れなくなったランナーのグリコーゲンは枯渇しておらず、まだ数十%残っていたなんて書いてあるものもありますよね。

また、中枢の疲労に関係のある物質が増えると、脂肪をエネルギーにする割合が多くなるなんていう研究もあります。

つまり、複雑すぎてわからないことばかりなんです。

個々の人それぞれでも違います。

それをわかったことかのように説明している人はいっぱいいます。信じるかどうかはあなた次第ですが。

さらに、直前までカーボローディングしている人は、インスリンが出てしまいますので、走り始めるときに低血糖になってしまったり、脂肪をエネルギーにすることを抑制してしまうので、やっぱり糖質をエネルギーにしなければ走れないので、エネルギー切れの可能性が高くなります。

だから、グリコーゲン量を増やすより如何に脂肪をエネルギーにして走るかが大切なのではないでしょうか?

人間の体は適応力が素晴らしいので、先ほど書いたようにグリコーゲンが少なければ、高い割合で脂肪をエネルギーにします。「糖質制限とフルマラソン その2」を読んでください。糖質制限では90%近い割合で脂肪をエネルギーにできるんですから、お得ですよね?

途中でも、糖質を摂るとグリコーゲンを消費しやすくなるなんていう研究もあります。スポーツドリンクの飲み過ぎに注意ですね。藤原新選手も糖質制限をしていますし、今井正人選手も途中に糖質の入ったドリンクを止めて調子が良くなったとインタビューで答えています。

私自身も、今はできる限りスポーツドリンクを飲みません。飲むとしたら水で半分に薄めます。

何となく甘みを感じて脳を騙すだけです。

体重が重くなることもカーボローディングのデメリットですよね。

まあ、でも今までカーボローディングをやって上手くいっている人はそれでいいと思いますが、

必ずやるべきことではなく、むしろ私はやらない方が良いと思います。

そして、最後の疑問、カーボローディングは安全なんでしょうか?

例えば、カーボローディングで1日に400gの糖質を摂ったとします。1食に100g以上です。

若い方なら問題ありませんが、40歳以上の方は注意して下さい。

食後高血糖になっている可能性があります。100g以上の糖質を摂れば、血糖値が200以上になっている可能性があります。これは、非常に危険な状態です。

カーボローディングをしている方は普段の食事でももしかしたら炭水化物多めかもしれません。

一度、通常の食事の食後1時間の血糖値を測定してみてください。

測定する機器は個人で購入可能です。180、できれば160以下であれば大丈夫でしょう。

しかし、180を超えている方は絶対にカーボローディングは危険です。

運動していれば健康だというのは間違いです。

食後高血糖は糖尿病になりやすいだけでなく、がんや認知症など様々な危険をもたらします。

安易にカーボローディングするのは止めた方が良いと思います。

いずれにしても、あなたはどちらのエネルギーで走りたいですか?糖質?脂肪?

身体にどれだけ貯まっているかわからないグリコーゲン、糖質と、どんだけ走っても余裕の脂肪、どちらを優先的に使いたいですか?

糖質と決めたなら、どうぞカーボローディングをして下さい。年に数回めちゃくちゃな食後高血糖になっても

いいでしょう。直前まで食べてインスリンがどれぐらい出るかはわかりませんし、血糖値の変動もわかりません。

しかし、そうと決めたらレース中も糖質をガンガン摂らないと…。グリコーゲンが枯渇するかもしれません。

でも、運動中は消化吸収が極端に低下しますから、レース中に口に入れた糖質が果たしてエネルギーになるのやら?

胃にたまって吐き気との戦いかも…。

糖質を摂るためにスポーツドリンクもいっぱい飲みます。でも、飲んでも飲んでも逆にのどが渇きます。

ああ、もうすぐ30kmだ!計算ではグリコーゲンが枯渇するところだ!でも頑張ってカーボローディングしたし、

途中の補給も十分だ…。

その後はどうなりますか、お楽しみです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. やまもと より:

    >身体にどれだけ貯まっているかわからないグリコーゲン、糖質と、どんだけ走っても余裕の脂肪、どちらを優先的に使いたいですか?糖質と決めたなら、どうぞカーボローディングをして下さい。・・・そうと決めたらレース中も糖質をガンガン摂らないと…。グリコーゲンが枯渇するかもしれません。でも、運動中は消化吸収が極端に低下しますから、レース中に口に入れた糖質が果たしてエネルギーになるのやら?

    古い記事にコメント、すみません。
    2019年9月15日のマラソン大会の前日に放送されたNHKの有吉弘行のバラエティ番組内で給水所で受け取る新型ドリンクが話題となっていました。糖質をゼリーで包んで吸収を遅らせ、エネルギー効率を高める。500mlで1000円ほど、お高いですが、一流選手はほとんど愛用しているという。開発メーカーの担当者が得意げに語っておりました。当たり前ですが、「脂肪からのエネルギー補給」の方向性については一切触れずじまい。

    僕はだいぶ昔、寺沢、君原、円谷の時代にはよくマラソンを見ていましたが、今はまったく知りません。日本のマラソン代表選手、オリンピックでメダルを取れるのでしょうか

    • Dr.Shimizu より:

      やまもとさん、コメントありがとうございます。

      そんな新型ドリンクがあるのですね?吸収を遅らせるとエネルギー効率が高くなるというのは、ちょっと意味が分かりません。
      脂肪からのエネルギーは必要ですが、エリートでは恐らく糖質も必要でしょう。
      だって、3分/kmでずっと走るのですから。私なら数100mで走れなくなるスピードです。
      「寺沢、君原、円谷の時代」は私は知りません。瀬古、宗兄弟くらいからでしょうか。
      日本のマラソンは、普通に考えればメダルは無理ですが、暑さが味方をする可能性はあるでしょう。
      過酷すぎて走る選手はかわいそうですが。