子供の肥満は親次第

例外はもちろんたくさんありますが、多くの子供の体型は親によって決まると思っています。子供が勝手に食事を作ったり買ったりして食べているのではなく、親が食事を作ったり何かを買い与えたりしているのです。また、子供は親の行動を見て、それを手本にします。さらに子供は遺伝を受け継ぎます。

今回の研究では母親の健康的な習慣と子供の肥満の関連を調べています。

5つの低リスク生活習慣の因子(高品質食、正常体重、定期的な身体活動、適度なアルコール摂取、禁煙)の内、母親がいくつ当てはまるかによってその子供の肥満のリスクを調査しました。(図は原文より)

上の図の上のグラフは男の子と女の子に分けています。下のグラフは9~11歳と12~14歳に分けています。横軸は母親の低リスク生活習慣因子の数です。グラフが下に行くほど肥満のリスクが低下することを表しています。母親の低リスク生活習慣因子の数が0と比較して、低リスク生活習慣因子の数が5つ全て満たしている母親の子供は肥満発症リスクが75%低く。母親と子供の両方が健康な生活習慣に従うと、子供の肥満のリスクは82%低下しました。

5つの低リスク生活習慣因子を個々に見てみましょう。

今回の内容で、食事に関しては同意しかねる部分はありますが、一般的には健康と思い込まれている食事です。つまり、健康的な食事として、野菜のより高い摂取量、果物、ナッツ、全粒粉、多価不飽和脂肪酸、長鎖オメガ3脂肪酸、赤肉および加工肉・砂糖甘味飲料・トランス脂肪酸およびナトリウムの低摂取としています。食事に関しての評価は「Alternate Healthy Eating Index 2010」というダイエットスコアを使用しているようです。(詳しく知りたい方はこの論文を読んでください。)このスコアの上位20%と下位20%のグループを比較すると、相対リスクは0.99(0.82〜1.19)でした。つまり、食事単独ではあまり肥満リスクとは関連していないとも言えます。かなり疑問ですが、もしかしたら学校や親と一緒にいない時間の食事がかなり影響しているかもしれません。アメリカでは家以外で摂るエネルギーが全体の30%を超えるようです。

食事に関する研究はどうしてもアンケート式の方法になってしまいます。体に良いものは多めに申告し、体に悪いものは少なめに申告することがよくあると思います。大人も同じですが、子供は恐らく親の見ていないときの健康的ではない食事などに関しては、控えめに申告するでしょう。大胆にウソをつく子供もいるでしょう。ここが食事に関する研究の難しさです。

アメリカの小学校ではスナック菓子を学校で食べていることが普通のようです。(一部かもしれませんが)また、学校の給食もファストフードのようです。さらに、親と一緒にいない時間帯に好きなものを食べていれば、いくら親がちゃんとした食事を与えていても無駄なのかもしれません。そこらへんは普段の食育でしょう。私自身は食事内容がほとんどだと思います。

最も影響が大きかったのはBMIです。母親のBMIが30以上の場合、正常なBMIと比較して子供の肥満リスクは3.1倍にもなります。逆に痩せすぎの母親(BMIが18.5未満)の子供のリスクは0.23と非常に低くなります。体型は遺伝的な要素もかなりあるのかもしれませんし、妊娠中にすでに胎児にプログラミングがされているので、このような結果になったのかもしれません。(「やはり中高生から「食育」をしなければならない 「成人病の胎児起源」仮説その1」など参照)胎児のプログラミングの考えでは、妊娠中の母親の栄養不足が生まれてからの肥満のリスクを高めます。痩せすぎの母親は栄養不足で痩せているという時代ではないので、どのようなプログラミングがされるかはよくわかりませんが、勝手に想像すれば、自分が痩せていることにより、赤ちゃんは元気に大きく生まれてくるように頑張ってたくさん良い栄養を摂っているのでは、と思います。

アルコールに関しては少し興味深い結果です。全くアルコールを飲まない母親と比較して、軽度摂取(1.0〜4.9g/日)、中等度摂取(5.0〜14.9g/日)、もっとたくさん摂取(15g/日以上)と飲む量に反比例して、子供の肥満リスクが0.89、0.80、0.70とどんどん低下しました。もちろんもっと過度に飲酒する場合は違う結果だとは思いますが。

当然親の喫煙は子供に悪影響を与えています。現在の喫煙は子供の肥満リスクを55%増加させます。母親の運動習慣も子供の肥満リスクを26%~42%低下させます。

いずれにしても、子供に対して食育をしっかりする必要があるでしょう。今回の研究の結果では食事に関しては反映されていませんでしたが、それが基本だとは思います。そうしないと、将来大人になったときに困るのはその子供です。

「Association between maternal adherence to healthy lifestyle practices and risk of obesity in offspring: results from two prospective cohort studies of mother-child pairs in the United States」

「母親の健康的な生活習慣への遵守と子における肥満リスクとの関連性:米国における母子ペアの2つの前向きコホート研究の結果」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 登山好きランナー より:

    こんにちは。
    親次第とはまさにそうですね。息子の肥満改善に取り組み始めて2週間経過しました。
    朝はサラダとヨーグルト、お昼ははマンナンヒカリごはんを半膳程度にして肉、野菜、卵たっぷりの弁当、夜も少なめのマンナンヒカリごはんとサラダ、高タンパクなおかずにしました。ジュース、お菓子すべてやめました。麺類はパスタマシーンを使って低糖質うどんを作ったり糖質ゼロ麺を使ったり工夫しています。息子自身も決心したのかできるだけご飯を口にしないようにがんばってます。まだ平均してマイナス1kgラインを微減傾向な感じですが。
    フードコーディネイターの友人に相談したら湯取り法という米の調理法を教えてもらいマンナンヒカリごはんを作る時に実践してます。重湯を捨ててしまう方法なので話題の糖質カット炊飯器と同じ効果が期待できるんじゃない?と言われてやってます。
    これから夏休みに入って毎日サッカーの練習もありますので相乗効果で減量できたらと思っています。

    • Dr.Shimizu より:

      登山好きランナーさん、コメントありがとうございます。

      空腹は我慢できないので、糖質ではないものでお腹いっぱいになれば、十分満足感があると思います。
      友達との付き合いもあるので、その時は割り切って友達に合わせるくらいの方が続けやすいかもしれません。

      良い効果が得られると良いですね。