糖化LDLとアテローム性動脈硬化症の関連

以前の記事「LDLコレステロールは本当に動脈の血管内腔から血管内皮を通って、アテローム性動脈硬化を起こすのか? その7 酸化LDLを犯人と考える前に」で書いたように、糖化したLDLなどのリポタンパク質はアテローム性動脈硬化症と深く関連していると考えています。

急性心筋梗塞を起こした群と、健康なコントロール群を比較しました。(表は原文より改変、図は原文より)

急性心筋梗塞群コントロール群
中性脂肪 mg/dL120.499.1
総コレステロール mg/dL170.7191.1
HDLコレステロール mg/dL43.256.0
LDLコレステロール mg/dL103.5117.8
空腹時血糖 mg/dL141.492.8
HbA1c6.15.7

上の表を見ると、中性脂肪値は両方の群で有意差はありませんでした。しかし、総コレステロールやHDLコレステロール、LDLコレステロールはコントロール群で有意に高い値となりました。空腹時血糖、HbA1cは急性心筋梗塞群で高くなりました。

上の図は左が糖化LDL、右が糖化HDLの値を示しています。それぞれのグラフの左側が急性心筋梗塞群、右がコントロール群です。糖化LDLはコントロール群で22.95ng/mLに対し、急性心筋梗塞群では30.08と有意に高くなりました。

糖化HDLはコントロール群で3.61ng/mLに対し、急性心筋梗塞群では6.26と有意に高くなりました。

分析すると、糖化LDLはLDLコレステロールとは関連が認められず、空腹時血糖とHbA1cとは関連が認められました。コレステロールはコントロール群の方が高く、中性脂肪も差がないとすれば、アテローム性動脈硬化症と脂質の状態は関連していないと考えられます。冠動脈のアテローム性動脈硬化症の人ではリポタンパク質の糖化が有意に高くなるのですが、それは当然、高血糖によるものと考えられるのです。

急性心筋梗塞群では総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールが全てコントロールよりも低値であるのですが、糖化したリポタンパク質は高値です。もちろん、HDLが低値であることも原因になっている可能性があります。しかも、その少ないHDLの内、糖化しているHDLがコントロールより多くなっています。糖化したHDLは機能障害となってしまいます。(「HDLの糖化は機能障害を起こす」参照)

コレステロールを低下させるのではなく、糖化を防ぐ、つまり高血糖を起こさないことこそアテローム性動脈硬化症を進展させない方法ではないかと考えられます。

「Study on the levels of glycosylated lipoprotein in patients with coronary artery atherosclerosis」

「冠動脈アテローム性動脈硬化症患者における糖化リポタンパク質値に関する研究」(原文はここ

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