2020東京オリンピックのマラソン問題 東京都の悪あがき?

2020年の東京オリンピックのマラソンと競歩を東京都から札幌市に開催地を変更する案が急浮上しています。

しかし、まだ東京都は悪あがきをして、新たな提案をしているようです。マラソンはオリンピックを象徴する競技でもあるので、当然なのかもしれません。(その記事はここ

その記事によると、

「午前5時半としていたマラソンのスタート時間を、午前5時前にする未明開催案を示していた」

「競歩については、現在よりも日陰の多いコースに変更するなどといった提案を行う予定」

だそうです。今年の世界陸上のマラソンは真夜中のレースにもかかわらず、リタイヤが続出しました。(「2020東京オリンピックも他人ごとではない 酷暑の世界陸上」参照)つまり、スタート時間を問題視しているのではなく、酷暑の場所でのマラソンや競歩の開催を危険だと考えているのです。IOCはわかっていたはずですが、東京都は何か良い対策でもあるのかと淡い期待をしていたのでしょうか?

競歩についても「日陰の多いコースに変更」という、お茶も濁せない提案を今更受け入れられるとでも東京都は思っているのでしょうか?

それにしても、東京都はお金持ちですね。地方の自治体が財政難で苦しんでいるのに、たかが2回使うだけのマラソンの暑さ対策のために300億円という大金を使って、道路の舗装を変えたのですから。(関連記事はここ)これまでに東京都は約300億円をかけ、暑さ対策としてマラソンコースを含めた都道約136kmに「遮熱性舗装」を整備してきたのです。しかし、この「遮熱性舗装」に対しある専門家は、その効果に疑問を投げかけています。(図は東京新聞Web版の2019.8.30の記事より)

この記事によると、路面温度は確かに通常のアスファルトよりも10度低下していたのですが、人間の顔の高さほどの150cmで測定すると、気温よりも2.6度も高く、気温や熱中症の指標となる暑さ指数(WBGT)も1.3度上昇、赤外線は20倍、紫外線は4倍にもなっていたのです。実は国土交通省の2015年の調査でも、遮熱性舗装のWBGTは通常のアスファルトより平均0.21度高かったのですが、「大きな差ではない」と整備を推進した経緯があります。

大切な税金のかけ方が狂っているような気がしてなりません。ちょっと話が違うかもしれませんが、天皇の即位の礼のパレードが延期になりましたが、延期にするぐらいなら中止にして、その分のお金や人員を災害の復旧に注ぐべきだと思います。

話は戻りますが、暑さの危険は他の競技にもあります。トライアスロンは今年のプレ大会で暑すぎて距離を短くしました。そのうち東京都はマラソンや競歩も距離を短くするという提案をするのかもしれません。東京都が暑さ対策に自信を持っているのであれば、今年の夏のオリンピックと同時期に東京でマラソンや競歩のプレ大会をやればよかったのです。MGCは暑さのピークを過ぎた9月15日に行われました。(「2020年東京五輪のマラソン代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」」参照)8月の酷暑とは比べられません。

東京都の暑さ対策は本当に笑えます。(笑えませんが)

カヌー・ボート競技が開催される会場では人工雪の実験が行われました。約300kgの氷を使い、約5分間人口雪を降らせたのです。(記事はここ

記事によると、目的は、気温や湿度が下がるかどうかを確認することだったようです。真面目にやったとは、信じられません。気温が低いから雪が降るのであり、雪を降らせれば気温が下がるはずがありません。

実際に人工雪の降雪開始前は25.1度だったの気温は、降雪後も変わらなかったのです。ものすごいお金の無駄使い。しかも、この実験結果に対して、組織委の岡村MOC統括部長は、「観客に清澄感を与え、一つのイベントとしても楽しめる」と述べたそうです。この人たちの頭は大丈夫なのであろうか…?

さらに話題を集めた「かぶる傘」(写真の記事はここ

小池さんは、オリンピック・パラリンピックに向けた暑さ対策として、かぶるタイプの傘を試作していることを記者会見で発表しました。かぶらされている男の人もなんともかわいそうです。2020年の夏は東京中でこのファッションが流行しているでしょう。(?)

さらに、打ち水や風鈴や朝顔など、万全の対策を小池さんはとっています。それなのに、なぜ?マラソンが札幌へ?

日本人の知能指数はここまで低下してしまったのでしょうか?

しかし、最も問題なのは「アスリートファースト」と言いながら、実際には選手を無視した「スポンサーファースト」のIOCなのです。東京の8月に屋外競技ができるわけがないのです。IOCはそのことを知っていたのです。10月にやれば全く問題ありません。もちろん、今回のような台風の被害は起きる可能性がありますが、それは不測の事態です。8月の酷暑は誰でも知っています。IOCの責任が一番重いのです。

新国立競技場は冷房設備もないようです。観戦する観客の人も命がけですね。一番の英断はマラソンや競歩を札幌に移すことではなく、開催時期を秋に移動させることです。まあ、無理ですが。

そういえば、今回の台風被害で、オリンピックの自転車コースも崩落して、復旧の目途はたっていないようです。(記事はここ)どこにどれだけのお金をかけるか?オリンピックやスポーツよりも大切なものがあるような気がしてなりません。お金、人員、時間、国はどこを向いているのでしょうか?2020年のオリンピックで人的被害が起きないことを祈ります。

私は個人的に、オリンピックのマラソンや競歩が札幌で行われることが楽しみである反面、毎年行われている北海道マラソンが中止になる可能性があるのではないかと危惧しています。そんなに毎週のように交通規制を行っていたら大変です。ラグビーのワールドカップとは違い、それほどの経済効果もないでしょう。そうすると、北海道マラソンは中止せざるを得ません。正直時期をずらして東京でやってほしいというのが本音です。

2 thoughts on “2020東京オリンピックのマラソン問題 東京都の悪あがき?

  1. そうですよね。
    私も時期をずらして10月に開催出来れば一番いいと思います。
    そもそも、8月が暑いのははじめからわかっていた事ですからね。
    時期がずらせないのであれば札幌開催はやむを得ないのかな?とも思います。

    ただ、我が家的にはオリンピックの唯一の当選チケットがマラソンだったものですから、
    残念としか言いようがありません(涙)

    1. カーコさん、コメントありがとうございます。

      まだ、東京都は悪あがきをしているようですが、今日の報道では東日本大震災の被災地でやろうと提案してはどうかと考えているようです。
      IOCが決めた札幌ではやりたくないのでしょう。札幌でも被災地でも東京ではないことは確かなのかもしれません。
      チケットせっかく当選したのに、こんな直前に酷い話ですね。

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