また出た!低炭水化物という名の糖質過剰摂取の研究 しかもハーバード大学

以前の記事「糖質制限の情報は何を信じたら良いの?」でも書きましたが、低炭水化物、糖質制限という言葉を使いながら、糖質の割合が摂取エネルギー量の40%~45%未満という、糖質過剰摂取の研究というのがいっぱいあります。

最近出た低炭水化物食と低脂肪食の死亡率についての研究でも、この間違った糖質割合であるのに低炭水化物という名前を使っています。要約だけ読んでも、そこには炭水化物の割合は書いておらず、隠されています。

しかも、またもや(?)ハーバード大学です。さらに、誰がどう決めたかわかりませんが、健康的な低炭水化物食(低品質の炭水化物の量が少なく、植物性タンパク質と不飽和脂肪の量が多い)と不健康な低炭水化物食(高品質の炭水化物が少なく、動物性たんぱく質と飽和脂肪酸の量が多い)、健康的な低脂肪食(飽和脂肪酸の量が少なく、高品質の炭水化物と植物性タンパク質の量が多い)と不健康な低脂肪食(不飽和脂肪酸の量が少なく、低品質の炭水化物と動物性タンパク質の量が多い)と勝手に定義して、分析しています。高品質の炭水化物は、全粒穀物、全果物、マメ科植物、および非デンプン質野菜からの炭水化物として定義され、低品質の炭水化物は、精製穀物、追加された砂糖、フルーツジュース、ジャガイモ、およびデンプン質野菜からの炭水化物として定義しています。

ハーバードでは動物性たんぱく質や飽和脂肪酸は不健康な栄養素と断定しているようです。勝手にコンセンサス得たようです。それらの栄養素の摂取量に応じてスコアリングをして分析しています。もちろん摂取量は食事アンケートという低品質のものです。

もう結論は見えていますね。(図は原文より)

 

上の図は、不健康な低炭水化物食と低脂肪食のスコアの20パーセンタイル増加あたりの総死亡率のハザード比(HR)です。簡単に言えば不健康な低炭水化物食も低脂肪食もスコアが高くなるほど死亡率が上がるということです。

 

同様に上の図は、健康的な低炭水化物食と低脂肪食のスコアの20パーセンタイル増加あたりの総死亡率のハザード比(HR)です。簡単に言えば健康的な低炭水化物食も低脂肪食もスコアが高くなるほど死亡率が下がるということです。

 

上の図は低炭水化物食および低脂肪食スコアでスコアが低い方から高い方まで5群に分けたときの特徴です。不健康な低炭水化物食の炭水化物の総エネルギー摂取量に対する割合ですが、最もスコアの低い群で56.2%(高品質の炭水化物12.4%、低品質の炭水化物43.8%)、最もスコアが高い群で48.0%(高品質の炭水化物5.71%、低品質の炭水化物42.3%)です。一方、健康的な低炭水化物食の炭水化物の総エネルギー摂取量に対する割合ですが、最もスコアの低い群で56.8%(高品質の炭水化物6.41%、低品質の炭水化物50.4%)、最もスコアが高い群で47.9%(高品質の炭水化物10.4%、低品質の炭水化物37.5%)です。

どこにも低炭水化物が見つかりません。全く理解不能です。

 

上の図は、低炭水化物食スコアと総死亡率との関連です。もう説明不要ですね。不健康な低炭水化物食のスコアが高いほど死亡率が高いのです。健康的な低炭水化物食スコアが高いほど死亡率は低いです。

 

同様に、低脂肪食スコアと総死亡率との関連です。説明する意味もないほどです。

ハーバード大学の結論は、全体的な低炭水化物食と低脂肪食のスコアは総死亡率と関連していないけれども、不健康な低炭水化物食と低脂肪食のスコアは総死亡率の上昇と関連していたのに対し、健康的な低炭水化物食と低脂肪食のスコアは総死亡率の低下と関連しており、これらのことは、低炭水化物および低脂肪食と死亡率との関連は、主要栄養素の品質と食物源に依存する可能性があることを示唆しているということです。

この結論だけを取り出して、また一部の糖質制限反対派やマスコミが騒ぐ可能性があります。この研究は低炭水化物、糖質制限の危険性を示すものでもなんでもありません。そもそも低炭水化物食のスコアが最も高いものでさえ、48%の炭水化物の割合です。糖質制限反対派の研究、記事が出たときは必ず炭水化物(糖質)の割合の確認をする必要があります。

ハーバード大学は必死に糖質制限と戦おうとしているみたいです。酷い研究ですね。

 

「Association of Low-Carbohydrate and Low-Fat Diets With Mortality Among US Adults」

「米国の成人における低炭水化物および低脂肪食と死亡率との関連」(原文はここ

3 thoughts on “また出た!低炭水化物という名の糖質過剰摂取の研究 しかもハーバード大学

  1. 低炭水化物と一言で言ってもその糖質量は千差万別で、私の例で言うと
    糖質量が30g/日未満を続けると明らかにケトン体(β-ヒドロキシ酪酸)が増えます(2000~5000μmol/L以上)。
    そして50g/日以上が続くと明らかに少なくなります(300~400μmol/L程度)。
    同じスーパー糖質制限の範疇でも明らかな差が感じられます。

    個人差も大きいと思われるのでどの程度の糖質量が良いのかは分かりませんが、以上の事から、中途半端な糖質制限では、ケトン体エネルギーが利用できない(当然、摂取量が少ないので糖新生以外の糖エネルギーも利用できない)状態が発生するのではないかと考えています。
    階段の上り等で感じますが、1000μmol/Lを超えると非常に体が楽になります。それ以下では、疲労の軽減効果などはあまり感じられません。

    以上のような経験を踏まえて考えると、糖質摂取量と死亡リスク等の関係は直線的ではなく、ある範囲(糖質ゼロの場合はどうなるかは分かりません)で3次曲線を描くのではないかと想像しています。
    要するに低糖質のある範囲において少ないほどリスクが上がる(=ケトン体も糖も少ない状態)場合があるのではないかと考えています。ただし、それ以下だとまたリスクは下がり始める(=有意にケトン体が増える)のではないかと予想しています。
    多くの論文で採用されている「低糖質(低炭水化物)」とは、一般的な量よりも少ないと言う程度で、ケトン体が有意に高値になる低糖質である場合はほとんどないのではないかと思います。

    糖質量20g/日でのデータを見てみたいところですが、低炭水化物と謳っていてもそこまで少ないデータはめったにないので何とも言い難いですね。

    ※以上は、私の経験に基づく素人の考察であり、科学的根拠は乏しいです。

    1. 西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      また、貴重な経験とデータありがとうございます。確かに糖質摂取量とリスクは直線的な関係ではないと思います。
      また、非常に個人差も大きいと思います。早く低炭水化物、糖質制限の糖質量や割合の定義を決めるべきでしょうね。

  2. ハーバード大学卒業生の糖尿病や認知症など糖質過剰症候群の発症状況が
    知りたい、と思ってしまいました。

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