多様性と社会のシステム

今日の話題は、実に取り留めのない話になるかもしれません。結論もなく、話が飛んでしまう可能性があります。また、ちょっと過激なまたは不愉快な内容になる可能性もあります。不愉快になったり、面白くなさそうなら読まないでください。

では始めます。

人間は非常に高度な知能を持っています。そして、文化、文明を発達させ、様々なものを発明、開発しています。そして社会のシステムがどんどん成熟してきて、多様性が非常に認められようとしています。人権、命の尊厳、そして様々な考えを尊重する多様性はますます重要視されています。

しかし、その一方で我々人間は動物です。動物にとって種の保存は重要です。つまり、子供を産んで育てなければ絶滅していきます。子供を産むのはメスです。人間であれば女性しかできないことです。

オスとメスの2匹のつがいで子供を作るとして、種が存続するには2匹以上の子孫が必要です。1匹では先細りです。

人間以外のどんな動物も本能で子供を作り育てます。野生は残酷で厳しいので、多数の子供を産むでしょう。出産が可能になったメスは発情し、オスを受け入れ、子供を産みます。それが自然です。通常オスはメスよりも強く、家族を守ったり、狩りを行ったりすることもあるでしょう。ある意味、種としてオスとメスのそれぞれが役割を担って、長い歴史を生き延びてきました。もちろん何らかの理由で滅びたものもいっぱいいます。狩猟採集時代の人類も男が狩猟をして、女が採集や出産、子育てを担っていたと思われます。そもそも人類は多様性もなければ、男女の平等(機会均等)などもなかったので、動物として今まで生き延びてきたかもしれません。

その後の人間も社会が成熟する前は、ある程度の役割分担がありました。男尊女卑ではありませんが、多くの男女は一定の年齢になるころに結婚し、出産をしていました。主婦となって子育てに忙しい女性が普通でした。宗教も男女のあり方を一方的に決めたルールを持っている場合もあるでしょう。以前は多様性ではなく、決められた規律が存在しているようでした。しかし、男女平等、生き方の多様性の波が押し寄せ、女性が社会に進出することが当たり前になりました。そうすると、当然これまでの女性が妊娠し子供を産むということも、選択されない場合もあれば、後回しになる場合も多くなりました。当然、子供の数は減少します。種の保存という意味においては非常に危機的な状況です。

これまでの社会のシステムでは子供の出生数が多く、寿命もある程度今よりは短かったために、年老いていく人たちを支えることができましたが、人生が100年という時代になり、老人ばかりが増えて、子供は減るという時代に突入しています。ビックリするほど急速な人手不足となっています。しかし、老人が急増していいるので、老人の医療と介護で大量の人手が必要となりますし、税金もかかります。働く若者の数は減っていく中、これまでとは違う考え方が必要になるのではないでしょうか?

人権、命の尊厳という言葉に振り回され、他人の人権や命を無視する人の人権や命は守られようとしています。死刑は逃れたいのに人を残酷に殺し、裁判で無期懲役の判決を受けて万歳したヤツは、これからもずっと刑務所で我々の税金で食事や衣服などが与えられます。ずっと税金を使って生かされるのです。

非常に多くの命を奪った放火殺人犯は、自身も酷い火傷を負いました。そんなヤツを何日も集中治療を行い、生かそうと懸命に医療が行われるのです。この犯人を「生かす」ためにものすごい高額な医療費を使っています。現在も治療中です。健康保険に加入していれば、保険が適応され、医療費は自己負担分を除いて保険で支払われます。しかし、ご存じのように高額医療の場合自己負担は非常に少なく数万円です。集中治療を受けていたならば、その治療費は何百万、何千万でしょう。

保険で支払われた場合、その財源はみんなが支払っているお金です。高齢者ではないので税金ではないでしょうが、みなさんから集めた貴重なお金です。それを36人を殺した殺人犯を「生かす」ために使うことに意味があるのでしょうか?この殺人犯は罪のないのに殺された36人やその家族が自分の給料から支払っていたお金を使って治療され、「生かされている」のです。

保険に加入しておらず、さらに支払い能力がなければ、事実上は国や県が支払うことになるかもしれません。つまり税金が使われるのでしょう。

人権や命の尊厳という考えを守るために、大勢の命を奪う、「人」とも言えないヤツを助けなければならないのです。しかも、現在はこの犯人に対して「リハビリ」が行われています。リハビリは社会復帰のために必要です。こいつを社会復帰させるつもりですか?

高齢者にもどんどん医療資源が使われています。動物の中で医療を行うのは人間だけです。食べられなくなった人でも、死なせてもらえません。病気やけがの人を助けることは必要だと思いますが、高齢で意識がなくなった、食べられなくなったという状態では何らかの基準が必要かもしれません。

生活保護も一部の人は不正にもらっています。また、生活保護を食い物にする人たちもいます。医療関係でもいます。

働く人たちの絶対数が減ったこの社会で税金をどのように使っていくかは非常に重要でしょう。

人間が今後も生き残っていくうえで、やはり子孫を残す必要があります。人生がたとえ100年になっても、生殖年齢が長くなったわけではありません。40代で出産する女性が増えたのは確かですが、リスクも高くなりますし、妊娠しても出産まで至る割合もどんどん年齢とともに低下します。多様性の中で晩婚化は必然かもしれませんが、人間は人間である前に動物です。人生が伸びたのは、人生に終盤が伸びただけで、若いころの年数が伸びたわけではありません。一般の人は40歳になっても何の問題もなく子供ができると思っている人も結構いるのではないでしょうか?

男性も精子が作れれば、何歳でも子供を作れると思っているかもしれませんが、男性の高齢出産も非常にリスクが高くなります。男性自身がリスクを負うわけではありません、それは母子にリスクになるのです。

アメリカの40,529,905人の2007年から2016年までの出生の記録の分析によると、男性が45歳以上である場合には、様々なリスクがあるようです。(図は原文より)

上の図は、母親の年齢層別に層別化された父親の年齢別の問題のある出産の確率の図です。母親の年齢を問わず、45歳以上(特に55歳以上)の父親の子供は何らかの問題のある出産で生まれてくる可能性が高くなるのです。

25歳から34歳までの父親と比較して、45歳以上の父親に生まれた子供は、NICUに入院する可能性が14%、早産になる可能性が14%、てんかん発作を起こす可能性が18%、低出生体重になる可能性が14%高くなります。父親が55歳以上の場合、子供が出生時に補助換気(つまり自分では十分な呼吸、酸素化ができない)を必要とする可能性が10%増加し、新生児集中治療が必要になる可能性は28%増加しました。また、父親が45歳以上の場合、新生児は、出生時の子供の健康状態を評価するために使用されるアプガーテストのスコアが低く、55歳ではさらにスコアが低くなる可能性が高くなっていたのです。

さらに、45歳~54歳の父親の場合、母親は妊娠糖尿病を発症する可能性が25〜34歳の父親に比べて28%高く、55歳以上では34%高かったのです。

もちろん、母親の年齢も重要です。(この論文より)

問題全体
OR
≥3535–39≥4040〜49≥45≥50
SGA1.161.22
(0.86–1.73)
1.06
(0.86–1.31)
1.20
(1.07–1.33)
0.97
(0.96–0.98)
1.57
(1.17–2.10)
NS
低出生体重(2500g未満)1.371.44
(1.09–1.88)
1.10
(0.83–1.46)
1.46
(1.18–1.80)
1.40
(1.38–1.42)
2.05
(1.67–2.52)
1.33
(1.02–1.74)
超低出生体重(1500g未満)1.591.42
(0.93–2.18)
1.47
(1.21–1.79)
1.81
(1.37–2.39)
3.09
(0.50–18.97)
1.62
(0.97–2.71)
1.07
(0.59–1.94)
早産
(37週間未満)
1.451.52
(1.26–1.83)
1.28
(1.17–1.40)
1.52
(1.44–1.61)
1.28
(1.26–1.30)
2.01
(1.50–2.68)
1.17
(0.90〜1.54)
新生児死亡1.482.29
(0.93–5.66)
1.21
(1.04–1.41)
1.41
(1.14–1.75)
1.62
(1.38–1.90)
1.95
(1.24–3.06)
10.26
(5.85–17.97)
新生児集中治療1.491.85
(1.09–3.17)
1.18
(1.11–1.25)
1.38
(1.31–1.47)
NS1.81
(1.40–2.33)
NS
子癇前症(しかんぜんしょう)1.991.18
(0.86–1.60)
1.63
(1.09–2.44)
2.42
(1.85–3.55)
1.65
(1.09–2.48)
3.67
(1.12–11.97)
2.47
(1.83–3.34)
胎盤早期剥離1.521.17
(0.73–1.86)
1.38
(1.13–1.69)
2.02
(1.54–2.65)
1.44
(1.09–1.91)
2.29
(0.93〜5.65)
1.55
(0.64–3.74)
妊娠糖尿病2.851.87
(1.65–2.12)
1.95
(1.27–3.02)
3.76
(2.99–4.73)
3.82
(2.89–5.04)
4.81
(2.65–8.72)
NS

上の表は35歳未満の母親と比較した、35歳以上の母親の周産期の問題や、生まれた新生児の問題の起こりやすさ(オッズ比)です。
もちろん、医療の発達により、様々なリスクを抱えていても、無事に出産する可能性は高くなっています。

父親も母親も高齢になるほど、不妊症、流産、染色体異常、小児がん、自閉症、統合失調症のリスクが高くなると考えられています。卵子も精子も年齢と主にどんどん質が低下するからです。
一部のお金持ちであれば、若いころの精子や卵子を凍結保存しておくことも可能でしょうが、年間数十万円の維持費がかかるでしょうから、みんなができるわけではありません。

やはり、人間は動物ですので、いくら医療を発達させて寿命を延ばしたとしても、生殖に適切な時期は変化しておらず、今でも35歳未満です。40歳から妊活では非常に難しいのです。産むのであれば早く産むべきなのです。

動物としての人間の生き方と、社会のシステムの乖離が非常に大きくなりすぎてしまっています。多様性があまり認められていない国の方が人口増加が大きいかもしれません。中国は多様性が認められていないかもしれませんが、人口抑制のために「一人っ子政策」を行ってきました。現在では「二人っ子政策」になっていますが、その効果はすぐになくなり、出生数はどんどん低下しています。(この記事参照)
恐らく中国はものすごい高齢化社会になり、経済状態も非常に悪くなるのではないかと思われます。
しかし、日本も同じです。社会を支える世代がどんどん減少しているのです。
地球は人間が多くなりすぎて、非常に問題になっていますが、経済という社会システムを作ってしまったために、それを維持しなければなりません。

どんな解決法が良いのかなんて私にはわかりませんが、増えた高齢者を利用するほかありません。つまり、年齢を問わず、労働者になってもらうことでしょう。そして、健康に年をとることも必要です。現在は不健康な高齢者があふれて医療経済を圧迫しています。それに輪をかけて薬剤の価格が考えられないほど高額になっています。
生まれてくる子は母親のお腹の中ですでに様々なことが決まってきます。それは当然、母親から受け取る栄養の問題も大きいでしょう。妊娠中に体重が正常だった母親の男児と比較して、妊娠中に過体重、肥満だった母親の男児は、IQテストで5点以上低いスコアだったという研究もあります。(この論文参照)妊婦さんの食事、栄養は、次の世代に関係しています。

高齢者を見捨てるわけではありませんが、今のように手厚い医療や介護は持続可能なのでしょうか?例えば80歳以上になったら薬は3種類までとして、それ以上は自己負担にしてもらうなどして、その分を若い世代に回していくというやり方もあるでしょう。

結婚しなければ子供を持てないという状況をやめて、未婚の状態でも子供を持てる制度を作ることも必要でしょう。20代の女性に何とか多くの子供を産んでもらう必要があります。女性を子供を産む機械だと思っているわけではありません。しかし、子供を産んでもらわないと社会は持続しないのです。高齢者医療、介護を縮小し、20代の女性が安心して子供を産めるような支援を充実させる必要があるのではないでしょうか?3人以上子供を産んだ女性は一生無税にする、公共交通機関も無料にするとか。子供をたくさん産んだ女性は仕事に就きたいときに優先的に雇用される枠組みを作るとか。子供を作らない人や子供ができない人に対する差別ではありません。しかし、思い切った対策をしないと子供は増えないでしょう。子供を産む母親が増えなければ子供も増えません。

また、地方はこれからどうなるのでしょうか?子供は少なく高齢化がどんどん進んでいます。人口が減り交通機関の維持も難しくなるでしょう。一人や二人しか乗らない電車やバスを存続させることは難しいでしょう。当然、医療も維持できなくなるでしょう。若い働き手はどんどん都会向かいます。故郷を捨てるわけにはいかないと思いますが、小さな村や町に人が散らばっていても、経済的に成り立たなければ生活さえできません。市町村の吸収合併などがいっぱいありますが、住む場所の合併も必要かもしれません。

殺人犯の刑務所の食事は全て自給自足にしてもらうのも一つかもしれません。飢え死にしたくなければ一生懸命に作物を作って食べれば良いのです。

人類が増え続けることは非常に問題が大きいですが、もう今の時点で増えた人間を支える方法が簡単に見つかるでしょうか?それとも今のままにして、社会のシステムが壊れたら壊れたで、その時に新しいシステムを考えれば良いのでしょうか?国を維持するために多くの移民を受け入れる方法も一つかもしれませんが、移民は多様性が非常に限られた社会で生きてきた人が多いでしょう。結局は多様性を限りなく認めることは難しいのかもしれません。

どのように生きるのも自由です。どこに住むのも自由です。多様性は尊重されるべきです。しかし、多様性はこの社会を維持するためにはある程度の制限が必要かもしれません。
もちろん私は多様性を否定するつもりはありません。しかし、好ましく思えない生き方もあります。多様性を全て認めるのであれば、多様性を否定する考えも認める必要があるという矛盾にぶつかるでしょう。

人類はどっちの方向に向かったら良いのでしょうか?

(今日は誹謗中傷がいっぱい来るかもしれないな…)

「Association of paternal age with perinatal outcomes between 2007 and 2016 in the United States: population based cohort study」
「米国における2007年から2016年までの周産期転帰と父親の年齢の関係:集団ベースのコホート研究」(原文はここ

6 thoughts on “多様性と社会のシステム

  1. 最近は何かと炎上しやすい、お互いに監視しあっているような世の中になってしまいましたが、先生のご意見至極ごもっとも、と、わたしも思います。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      スマホ、SNSなどの良い面、悪い面、これからどうなるのでしょうかね?

  2. 誤解を恐れず言えば日本の社会保障制度の世代間格差は国家的詐欺みたいなものです。
    https://www.huffingtonpost.jp/2016/07/06/generational-accounting_n_10848950.html
    自分は海外在と言う事もありますが、日本の健康保険にも国民年金にも入っていません。どちらも入ろうと思えば入れますが自分には意味が無いと思っています。
    現在は個人で金融投資をしていいますが、ついでに言うと日本の保険会社が売ってる生命保険や医療保険は最悪に近い投資効率の商品なので自分としては保険に入るぐらいなら糖質制限と運動と断食(インターミッテント)で健康的な生活を維持し、より効率的な金融投資で将来に備えたほうがいいと思っています。これから団塊の世代が後期高齢者になる日本ではシルバー民主主義が進みこそすれ「老人の老人による老人の為の政治」が変わることは無いだろうと思っています。

    1. 駐在君さん、コメントありがとうございます。

      「老人の老人による老人の為の政治」、まさにそうですね。
      国会も賄賂問題や、不正問題、問題発言問題などばかりで、日本がどこに向かうかなんて話し合っていないですから。
      日本の社会がこのまま持続するというイメージがどうしても描けません。
      若い世代ものほほんとしていて、危機感もない人が多いように思えます。

  3. 最近のシミズ様のブログは何でもかんでも糖質のせいにする傾向があったので視野が狭くなってるのではないかと感じてました。(スミマセン)
    そんな中、今回の記事はとても面白かったと思い、コメントさせていただきました。
    私自身、40代の独り身で耳が痛いですが、社会が人手を必要としているのであれば多産を奨励する政策があっても良いと思いますし、その負担を受け入れることは構いません。
    只、私は社会の流れはそう簡単に変わるものではないし、政治が社会に及ぼす影響も昔に比べると弱くなり、この先も増々弱くなっていくのではないかと考えています。
    手っ取り早く人口減少を止めるには外国人をどんどん受け入れる他ないのではないでしょうか?
    只、これも日本に経済成長という魅力があってこそであり20年間もデフレが続いてる国に腰を据えて来てくれる外国人がどれくらいいるのか疑問です。
    政治家に限らず、自分さえ良ければ、自分の家族さえ良ければ、自分の会社さえ良ければと考える人がたくさんいた結果がこの国の今であり、将来なんじゃないでしょうか。
    もちろん私自身も、です。

    1. 伊藤さん、コメントありがとうございます。

      拙著でも書いているように、多因子性の疾患は多いと思いますが、非常に多くのことが糖質の有害性が大きくかかわっていると思っています。
      ただ、視野が狭くならないように気を付けます。

      外国人頼みでは、限界があると思います。しかし、今の日本の政治家は全く将来のビジョンを見せてくれません。
      30~40代の政治家が思い切ったことをやってくれればいいですが、全く何もできていません。
      小泉さんもポエムを詠むだけです。
      リスクをとらない国民性も災いしているのでしょうね。若い人も無関心ですし。

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