これまで何度も書いていますが、また食事とがんとの関連の話題です。閉経前の乳がんリスクが特定の食事で高まるとしたら、子供の頃から食育で教えるべきでしょう。もちろん因果関係は証明できませんし、食事に関しては様々なものを食べるわけで、食材の組み合わせについてはわからないことも多いです。例えば赤肉に関して、摂取量が多いと発がんのリスクが高くなると言われていますが、これは糖質を過剰摂取している状態での報告となるので、糖質と赤肉の組み合わせが悪い可能性があります。今回の研究でもキーワードは「慢性炎症」です。食事によって起こる慢性の炎症が乳がんのリスクを高くすると考えています。炎症を起こす栄養素は糖質とオメガ6脂肪酸です。赤肉は肉、つまりタンパク質が悪いのか、そこに含まれるオメガ6脂肪酸が悪いのかわかりません。炎症という意味で考えると当然オメガ6ということになるでしょう。ですから、グラスフェッドの肉をできる限り食べることが大切になるかもしれません。
the Department of Epidemiology at the UCLA Fielding School of Public Healthのミシェル教授の今回の研究内容です。原文はここ、記事の原文はここ
Nurses’ Health Study II に登録した45,204人の女性のデータを使用し、高校生の頃の食事を思い出してアンケートに答えてもらい、成人の食事については1991年から4年ごとにアンケートに答えました。血液中の炎症マーカーと食事を結びつける炎症スコアで評価しました。追跡期間は22年で、870人が閉経前に乳がんと診断されました。閉経後の乳がんは490人でした。
青年期の食事の炎症スコアに基づいて5つのグループに分けた場合、最高スコアグループの女性たちは、閉経前乳がんのリスクが最低スコアグループのもの女性たちよりも35%高かったのです。成人になってからの早い段階の食事に基づいて同じ分析が行われた場合、最も高い炎症スコアグループの女性たちは、最も低いスコアグループの女性たちと比較して、閉経前乳がんのリスクが41%高かったのです。
食事の炎症スコアは、全体の乳がん発生率または閉経後乳がんと関連していなかったそうです。
これらの結果は、青年期または成人初期に摂取すると慢性炎症を促進する食事が、閉経前の若年女性において乳がんリスクを増大させる可能性があることを示唆しています。
乳児腺が急速に発達する時期で、特に生活習慣の影響を受けやすい青年期と成人初期には、野菜、果物、全粒粉、ナッツ、種子、マメ科植物が豊富な食事を摂り、ソーダと砂糖、精製炭水化物、赤肉、加工肉の摂取を避けることが重要であると述べています。
現在日本の思春期の女性は甘いものを大量に食べています。制限したとしてもそれはダイエットのためです。しかし、根本的に甘いものが健康に良くないということをもっと家でも学校でも教育するべきです。スイーツや糖質豊富な食べ物のコマーシャルや番組の禁止や時間制限、これらの食べ物の販売制限や課税、たばこの箱に肺がんのリスクなどが上がるという警告が載っているように甘い食べ物にもがんや認知症のリスクが高くなる警告の掲載など、真剣に考える時期だと思います。