2型糖尿病に対する糖質制限の効果

2型糖尿病で糖質制限の効果は非常に速やかに現れます。体重減少や血糖値の安定化、薬の減量など通常の治療では起こりえないことがどんどん起こります。

今回の研究では3か月間糖質制限を行った糖尿病の人の変化を通常の治療の人と比較しています。

糖質摂取量は1日20g以下または総エネルギー摂取量の5~10%以下としています。(図は原文より)

上の図は、実線が糖質制限、点線が通常治療の群です。AはHbA1c、Bは体重です。どちらも通常治療では変化をほとんど認めませんが、HbA1cは最初の1か月で8前後から6.5前後まで低下しています。体重も1月ごとにどんどん低下しています。ただ、今回の研究で体重に関しては、糖質制限群の約半数で減量薬フェンテルミンの服用を選択しているので、あまり体重に関しては糖質制限の有利性は示せていない可能性があります。

 

上の図はAがインスリンの投与量です。Bが様々な糖尿病薬の使用についての変化です。(青色が変化なし、緑が増加や追加、薄い水色が減量、濃い紺色が中止です。)インスリン投与量は通常治療では変化なく、糖質制限ではどんどん低下しています。

Bの左側が糖質制限ですが、グラフの一番左のインスリンではほとんどすべての人が中止または減量となっています。糖質制限群では、フォローアップの終わりまでに36.8%がインスリンを中止、63.2%がインスリン投与量を減少しました。対照的に、通常治療群では5.1%だけがフォローアップの終わりまでにインスリンを中止し、18.0%がインスリン投与量を減らしまし、41.0%で変化はなく、35.9%でインスリン投与量の増加がありました。

さらに、すべての糖質制限群の人でスルホニル尿素薬を中止しました。対照的に、通常治療群のの12%のみがこの薬を中止できました。

その他の違いとして、空腹時血糖値は糖質制限群で平均43.5mg/mL減少しましたが、通常治療群では8.5mg/mLの有意でない減少だけでした。中性脂肪の減少は糖質制限で-25.61mg/mLでしたが、通常治療は+18.41mg/mLと有意ではない増加でした。LDLとHDLを含む他の脂質測定値は、両方のグループでほとんど変化なく、ASTの減少は糖質制限群で-3.70mg/mL通常群では1.67mg/mLでした。

このように非常に大きな違いが認められます。

もちろん、今回の研究での糖質摂取量はかなり少なく設定しています。しかし、スーパー糖質制限食でも十分に効果は得られ、体重減少や薬の減量や中止を達成できるでしょう。

これだけ薬を減らせる食事を選択しない日本糖尿病学会は何を考えているのでしょうか?

糖質過剰症候群

「Effects of the Low Carbohydrate, High Fat Diet on Glycemic Control and Body Weight in Patients With Type 2 Diabetes: Experience From a Community-Based Cohort」

「2型糖尿病患者の血糖コントロールと体重に対する低炭水化物、高脂肪食の影響:地域密着型コホートからの経験」(原文はここ

5 thoughts on “2型糖尿病に対する糖質制限の効果

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      全ての医師は患者のことを考えていないわけではないでしょう。
      ただ、自分の行っている薬の治療が正しい、自分の得てきた知識が正しい、という考えから抜け出せないのだろうと思います。
      日本糖尿病学会はわかっていてやっているのでしょうけど。

  1. 日本糖尿病学会が変わる事が最優先での意見です。
    「糖尿病は治らない」があまりにも一人歩きしていると思います。
    治らないならお医者さん、薬頼みで、何も生活習慣(特に食事)を変えない人も安易過ぎる気がします。
    そこにお医者さんからカロリー制限指示で、血液検査の結果が悪いと患者の管理が悪いじゃ救われないですよね。

    糖質制限を選択しようがしまいが体の事は自己責任ですね。
    どんなに苦しくても、痛くても本人しかわからないですから。これはお互い様ですが。

    私はスーパー糖質制限で糖尿病薬全て離脱して、体調はすこぶる良好です。

    ちなみに、糖尿病の先生から「血液検査だけなら心臓担当の先生に話ししておきますから、もういいでしょ」と不愉快な顔で言われました。

    1. 太田さん、コメントありがとうございます。

      スーパー糖質制限で糖尿病薬全て離脱して、体調はすこぶる良好、とは素晴らしいですね。
      日本糖尿病学会としては食事で治ってもらっては困るのでしょうね。

  2. 医師の職業意識の高さ、ハードワークにも関わらず患者第一に考えていらっしゃる姿は認識しております。
    それだけに、糖質制限を怪しい民間療法と同等に、鼻から相手にされようとしない
    (大部分の)医師には、そのギャップに残念に感じてしまうことがあります。

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