糖質制限とむくみ(浮腫)の改善

糖質過剰摂取の人では下肢のむくみ(浮腫)に悩んでいる人も少なくないでしょう。下肢のむくみのある方に糖質制限を勧めたところ、数週間後驚くほど下肢のむくみが減ってびっくりしていました。

今回の研究では、ケトン食によるむくみの改善について示されています。57~70歳、BMIが30以上の肥満で、四肢にリンパ浮腫がある10人が対象です。期間は18週間です。人数が少ないので評価が難しいですが、結果は非常に注目すべきところがあります。(図は原文より)

上の図はベースラインからの体重減少量です。薄いグレーのバーがケトン食の人、黒いバーはケトン食を摂取しなかった人です。

ケトン食では平均体重減少は5.18 kgで、ベースライン体重の4.8%減です。

平均四肢容積減少は698.9 mlで、体重減少と正の相関がありました。

肥満や糖質過剰摂取ではリンパの漏れが増加すると考えられます。このようなリンパ浮腫の減少は、ケトン食、糖質制限食による炎症の低下と関連があるのか、インスリン抵抗性の減少と関係があるのか、またはケトン体の効果なのかはわかりません。しかし、ある方はMCTオイルの摂取だけでむくみが減ったと言っていました。ということはケトン体の効果なのかもしれません。

マウスの研究では、ケトン体の上昇がリンパ管新生を増加させることがわかっています。(ここ参照)この研究ではケトン食によるケトン体の上昇だけでなく、腹腔内に投与されたケトン体によってもリンパ管新生が促進されています。ということはケトン体そのものの効果が最も大きいのかもしれません。リンパ管のインスリン抵抗性が高くなり、エネルギーが届いていないのかもしれません。(リンパ管は脂肪酸は使えないのかな?)

以前の記事「乳がん手術後のリンパ浮腫と肥満」で書いたように、乳がんの手術後のリンパ浮腫でさえ肥満と関連しています。

一般的にはむくみに対して利尿薬が処方されることが多いと思います。しかし、利尿薬はむくみを減らす効果はそこまでではないでしょう。尿量を増やすので脱水になり、その脱水によってむくみが減るだけです。根本的には改善されないだけでなく、脱水という有害性があります。漢方でもむくみを改善すると言われているものもありますが、劇的効果ではないでしょう。

むくみが出てきたら、リンパが漏れるほど糖質過剰摂取をしているのだと思ってください。むくんできたら糖質制限ですね。

「Lifestyle Modification Group for Lymphedema and Obesity Results in Significant Health Outcomes」

「リンパ浮腫と肥満のライフスタイル修正グループは、重大な健康転帰をもたらします」(原文はここ

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コメント

  1. 鈴木武彦 より:

    自宅から離れて生活する機会があるとむくみます。
    外食や、スーパー・コンビニなどで購入して食べることが増えるので、
    どうしても糖質摂取が増えるのだと思います。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      高血糖は毛細血管の血管透過性を増加させるのでしょうね。そして高血糖はリンパ管の機能低下を起こすのでしょう。
      むくんだ間質液はグルコースがたっぷりでしょうかね?

  2. 西村 典彦 より:

    以前、下肢ではないですが、起床時に手指の浮腫みがあり、最初は浮腫みだけでしたが、だんだんと指関節が痛み始めていました。
    整形外科で診てもらっても、原因が分からず、漢方薬などの対症療法では一向に改善せず、その後も少しずつ悪化して手首の関節も少し痛むようになっていました。

    それが、糖質制限(40g/日)を始めて数か月たつと嘘のように浮腫みはなくなり、指関節の痛みもなくなりました。
    糖質量の減少なのかケトン体の増加によるものかは私もはっきりとは分かりません。
    しかし、ケトン体(βヒドロキシ酪酸)が最も多かった時は5100μmol/Lだったこと、いつも1000μmol/Lを越えると有意に体が軽くなる事を併せて考えるとやはりケトン体の影響が大きいのではないかと思います。

    • Dr.Shimizu より:

      西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      貴重な体験情報ありがとうございます。ケトン体がリンパ管を増やして、余分な間質液を排出するのでしょうかね?
      糖質過剰摂取では確かに手のむくみの方も多いですね。

  3. ジェームズ中野 より:

    コメント失礼いたします。

    下肢の浮腫はリンパの流れだけの問題ではありません。静脈瘤によっても浮腫は発生します。
    またいくら頑張って糖質制限をしても、下肢静脈瘤は改善されません。
    以上ご案内まで。

    • Dr.Shimizu より:

      ジェームズ中野さん、コメントありがとうございます。

      浮腫は多因子性ですから、全ての浮腫が糖質制限で改善するとは当然思っていません。

  4. 葉月 より:

    今月還暦を迎えました女性です。
    糖質制限5年目ほどになりますが、下肢のむくみが改善されません。
    下肢静脈瘤があるので(確定診断は受けておりませんが、血管の膨らみなどで、ほぼ間違いないかと思われます)、ジェームズ中野さんがおっしゃる様に、糖質制限では改善されないむくみなのだと思いました。
    できてしまった静脈瘤は、過去の高血糖による消せない借金ということでしょうか?
    できてしまったものは仕方ないとして、出来る前であれば、下肢静脈瘤も糖質制限で予防が期待できますでしょうか?

    • Dr.Shimizu より:

      葉月さん、コメントありがとうございます。

      下肢静脈瘤も多因子性であり、遺伝的なものや仕事上の姿勢から、女性では出産なども関連していると言われています。
      しかし、肥満も危険因子ですし、糖質過剰摂取ではグリコカリックスというものも減少し、血管の透過性が高くなってしまうかもしれません。
      また深部静脈血栓症も下肢の静脈瘤の危険因子ですが、深部静脈血栓症は肥満や糖尿病と関連しています。

      破綻した下肢の静脈による浮腫は難しいかもしれませんが、血管から漏れ出た水分はリンパ系で回収されるはずです。
      リンパ系が増加すれば、一部は改善するかもしれません。
      また、一部の静脈瘤は糖質制限で予防できると思います。

      • ジェームズ中野 より:

        〜また、一部の静脈瘤は糖質制限で予防できると思います。〜

        とお書きになっていますが、エビデンスがあってのご回答なのでしょうか?もしエビデンスがあるのならそれも併せてお教えいただけたらと思います。

        下肢静脈瘤自体、弁不全による逆流により発症するわけですし、遺伝的な要素もかなりあるわけです。

        糖質制限により弁不全が改善されると言う立証がなければ単なる気休めに過ぎません。いかがでしょうか?

        • Dr.Shimizu より:

          ジェームズ中野さん

          糖質制限で肥満を回避できれば、危険因子の一つが減少します。
          肥満では下肢静脈瘤は5倍以上です。また、肥満では静脈圧が高く逆流も増加しています。
          静脈圧が下がれば逆流も減少する可能性があると思います。

          • ジェームズ中野 より:

            〜糖質制限で肥満を回避〜

            とお書きになっていますが、
            肥満を回避するには、別に糖質制限をしなくても回避できますよ。

            先生もよくご存じのはずなのでは?

  5. 葉月 より:

    清水先生、ご回答頂きありがとうございます。
    私自身糖尿病や肥満はありませんでしたが(BMIも糖質制限前後であまり変わらず、18.5程度です)、関節リウマチなどの持病も抱えているので、健康のため糖質制限をしております。
    以前より下肢の浮腫はありましたが(特に左脚)、長年の立ち仕事や加齢による筋力低下、静脈瘤の悪化なのか、この数年更に浮腫が悪くなり気になっておりました。
    下肢静脈瘤の治療も考慮しつつ、

    〈 血管から漏れ出た水分はリンパ系で回収されるはずです。
    リンパ系が増加すれば、一部は改善するかもしれません。〉

    とのことなので、
    今後も糖質制限を継続して行きたいと思います。
    今後もご指導のほど、どうぞ宜しくお願いいたします。