果糖、異性化糖にご注意を

果糖の摂取は、心血管疾患や代謝疾患の危険因子を増加させると考えられています。

異性化糖である高果糖コーンシロップ(果糖ブドウ糖液糖)は近年大量に使用されるようになりました。何も考えずに飲み物、スナック、加工食品などを食べていると、果糖を大量に摂取することになってしまいます。

今回の研究では、平均年齢26歳、平均BMI25の145人に、アスパルテーム、グルコース(エネルギー必要量の25%)、果糖(フルクトース)、高果糖コーンシロップ(エネルギー必要量の25%および17.5%)の飲料を2週間飲んでもらいました。(図は原文より、表は原文より改変)

上の図は人工甘味料のアスパルテームまたは糖質入りの飲料を2週間摂取した後の変化量です。Aは24時間中性脂肪曲線下面積、Bは食後ApoCⅢ、Cは24時間尿酸曲線下面積、Dは非HDLコレステロール、EはLDLコレステロール、FはApoBです。横軸は左からアスパルテーム、グルコース25%、高果糖コーンシロップ17.5%、果糖17.5%、高果糖コーンシロップ25%、果糖25%です。
24時間中性脂肪は果糖25%、17.5%で高くなっていました。
食後ApoCⅢは果糖でも高果糖コーンシロップでも高くなりました。
24時間尿酸は果糖と高果糖コーンシロップ25%で増加していました。
高果糖コーンシロップでは、同量の果糖と比較して非HDLコレステロール、LDLコレステロール、ApoBが大幅に増加する傾向がありました。
果糖(F)、グルコース(G)、果糖+グルコース(F+G)によって説明される測定結果の変化は次のようです。
説明される変化の割合P
空腹時非HDL-C
F4.97%[0.4%から11.3%]0.002
G0.75%[0.0%から5.9%]0.209
F+G5.86%[0.7%から14.6%]0.002
食後非HDL-C
F11.20%[10.6%〜21.3%]<0.0001
G1.58%[1.1%から7.7%]0.062
F+G5.39%[4.9%から13.9%]0.002
空腹時LDL-C
F5.84%[0.7%〜14.5%]0.001
G0.08%[0.0%〜3.3%]0.661
F+G6.17%[0.8%〜15.0%]0.001
食後LDL-C
F4.01%[0.1%〜11.9%]0.006
G0.46%[0.0%〜5.0%]0.306
F+G8.43%[1.8%〜18.0%]0.0002
空腹時ApoB
F4.44%[0.2%〜5.6%]0.004
G0.34%[0.0%〜0.5%]0.396
F+G4.51%[0.3%〜12.6%]0.005
食後ApoB
F6.64%[1.0%〜15.6%]0.001
G1.37%[0.0%〜7.3%]0.099
F+G5.21%[0.4%から13.7%]0.003
24時間中性脂肪曲線下面積
F10.90%[3.1%から21.0%]<0.0001
G2.30%[0.0%から9.1%]0.049
F+G0.42%[0.0%から4.9%]0.340
食後ApoCIII
F11.67%[3.6%から21.9%]<0.0001
G1.94%[0.0%から8.4%]0.064
F+G0.03%[0.0%〜2.5%]0.8099
24時間尿酸曲線下面積
F32.72%[20.6%から43.3%]<0.0001
G4.82%[0.3%から13.1%]0.001
F+G0.00%[0.0%〜0.8%]0.943
空腹時酸化LDL
F0.57%[0.0%〜6.5%]0.384
G0.45%[0.0%〜6.1%]0.538
F+G15.26%[4.7%から27.6%]<0.0001

果糖は、酸化LDLを除くすべての測定結果の変化に大きく寄与しましたが、グルコースは、24時間中性脂肪曲線下面積、24時間尿酸曲線下面積にのみ寄与しました。

果糖+グルコースの組み合わせが空腹時および食後のApoB、LDLコレステロール、非HDLコレステロール、空腹時酸化LDLの増加に寄与しました。高果糖コーンシロップ25%の摂取のみが、2週間後に酸化LDLのベースラインから有意な増加を示しました。

果糖は肝臓での中性脂肪の合成を大きく増加させます。(「果糖はその他の糖質よりも肝臓の脂肪を短期間で増加させる」参照)そうすると血中の中性脂肪、尿酸は上昇します。(「果糖は摂れば摂るほど中性脂肪、尿酸値などを大きく増加させる」「ApoCⅢ産生速度の増加が中性脂肪値を高くしているかもしれない」参照)ブドウ糖(グルコース)は血糖値を上昇させ、LDLの糖化を促進し、それにより酸化LDLも増加すると考えられます。(「果糖は中性脂肪を増加させ、小さなLDLや酸化LDLも増加させる」参照)果糖の過剰摂取も危険ですが、果糖とグルコースの組み合わせも非常に危険だと考えられます。

現在、非常に多くの食品で異性化糖、果糖ブドウ糖液糖が使用されています。子供が口にする食品にさえ大量の異性化糖が使われているでしょう。せめて子供が手にできる食品だけでも、このような危険な糖質は使用禁止にすべきでしょう。

糖質制限 糖質過剰症候群

「Synergistic effects of fructose and glucose on lipoprotein risk factors for cardiovascular disease in young adults」

「若年成人の心血管疾患のリポタンパク質危険因子に対するフルクトースとグルコースの相乗効果」(原文はここ

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