加齢とともに下肢の痛みやしびれを伴う腰部脊柱管狭窄症を患う人が増加します。しかし、私は脊柱管狭窄症は老化によるものだとは思っていません。
「「糖質過剰」症候群」でも書いたように、脊柱管狭窄症の原因は糖質過剰摂取にあると考えています。
今回の研究では、日本人を対象に、症状のある脊柱管狭窄症のリスク因子を評価しています。
画像上の評価として、グレード0:狭窄なし、グレード1(軽度):正常領域の3分の1未満の狭窄、グレード2(中程度):正常領域の3分の1から3分の2の狭窄、グレード3(重度):正常領域の3分の2以上の狭窄、としています。(表は原文より改変)
症状あり | 症状なし | p値 | |
---|---|---|---|
n = 92 | n = 876 | ||
性別(男性:女性) | 32:60 | 287:589 | 0.695 |
年齢 | 71.6±10.7 | 65.8±12.5 | <0.0001 |
BMI | 23.5±3.3 | 23.2±3.6 | 0.5153 |
過体重、肥満(BMI≥25) | 25(27.2%) | 256(29.2%) | 0.6803 |
喫煙習慣 | 12(13.0%) | 97(11.1%) | 0.5776 |
アルコール消費 | 26(28.3%) | 284(32.4%) | 0.416 |
HbA1c(JDS%) | 5.35±0.79 | 5.23±0.70 | 0.1066 |
糖尿病(HbA1c≥6.1) | 16(17.4%) | 64(7.3%) | 0.0009 |
ABI(足関節上腕血圧比) | 1.08±0.10 | 1.10±0.09 | 0.0214 |
PAD(末梢動脈疾患)(ABI <0.9) | 6(6.5%) | 12(1.4%) | 0.0045 |
腰椎1/2と腰椎5/仙骨の間の最も重度のグレード | |||
グレード0および1 | 4 | 225 | <0.0001 |
グレード2 | 36 | 415 | |
グレード3 | 52 | 236 |
上の表は症状のある腰部脊柱管狭窄症の人と症状のない腰部脊柱管狭窄症の特徴です。無症状の人でもグレード2や3の人が結構たくさんいますね。
症状のある人では糖尿病や動脈硬化のある人が多いという結果でした。
オッズ比 | 95%CI | p値 | |
---|---|---|---|
年齢(+1歳) | 1.02 | 0.99〜1.05 | 0.3316 |
糖尿病 | 3.92 | 1.52〜9.34 | 0.0059 |
ABI(-1SD) | 1.36 | 1.04〜1.81 | 0.0271 |
上の表は年齢、糖尿病、足関節上腕血圧比(ABI)と、中等度(グレード2)の狭窄の人における症状のある腰部脊柱管狭窄症との関連を示しています。ABIがあると症状を伴う中等度の狭窄症を示し可能性が1.36倍高くなりますが、糖尿病があると約4倍も高くなりました。
糖尿病、高血糖は、骨や軟骨やさまざまな結合組織に影響を与えると考えられます。
もちろん、糖尿病や高血糖がすぐに脊柱管狭窄症を起こすわけではありません。狭窄の主な部位である黄色靱帯などが糖質過剰摂取による高血糖で徐々に肥厚し、狭窄が進むと考えられます。だから、時間経過つまり加齢とともに発症するのでしょう。
そうであるとすると、若いころから糖質制限をしていかないと脊柱管狭窄症は防げないことになります。狭窄が起きてから糖質制限を行っても、狭窄は恐らく減少しないでしょう。ただ、狭窄が重度であっても症状のない人もいっぱいいます。そこには神経周囲の炎症や癒着などが絡んでいる可能性もあるでしょう。そうであれば、ある程度年齢を重ねた後であっても、糖質制限を始める価値は十分にあると思います。
糖質過剰症候群
「Factors associated with lumbar spinal stenosis in a large-scale, population-based cohort: The Wakayama Spine Study」
「大規模な人口ベースのコホートにおける腰部脊柱管狭窄症に関連する要因:和歌山脊椎研究」(原文はここ)
糖質、美味しいんですよねー。
あの手この手でCMも流され(逆に健康的なイメージを付与されていることもあり)、
意識しないと呼吸をするように自然に?糖質過剰摂取になります。
ただ、日常的に糖質制限をしていると体調の良さが実感できるし、糖質摂取した際の異変も気付く事ができるようになります。
ただ「実感」なので、いわゆる普通の「バランスの良い食事」を心掛けている人には理解していただけないことが多いです。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
自らやろうと思わなければ、食事の変更は難しいでしょう。一時的なダイエットと考えてしまうと、続かないと思います。
しかし、体調が悪い人が糖質制限をやるとかなり効果を実感できると思います。
バランスを考えている人では、体験せずに頭で理解することは難しいでしょうね。
>私は脊柱管狭窄症は老化によるものだとは思っていません。
>脊柱管狭窄症の原因は糖質過剰摂取にあると考えています。
>無症状の人でもグレード2や3の人が結構たくさんいますね。
>症状のある人では糖尿病や動脈硬化のある人が多いという結果でした。
脊柱管狭窄症と呼ばれている病気の正体(本質)とは何なのでしょうか?
本当に構造的な変性が痛みしびれの原因になっているのでしょうか?
加齢によるロコモ、サルコペニア&糖質過剰摂取との因果関係の方が強そうに思えますが…。
場末の柔整師さん、コメントありがとうございます。
抗えない加齢と避けることのできる加齢、老化があると思います。糖質過剰摂取を避ければかなりの加齢性の症状が遅くなるのではないかと思います。
脊柱管狭窄症の本質は、私の考えでは、神経の炎症た周りの組織との癒着ではないかと思います。
神経を洗浄、癒着剥離するとかなり症状が改善することが珍しくないからです。