ココナッツオイルやMCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸には抗菌、抗ウイルス作用があることが知られています。母乳が抗菌、抗ウイルス作用を示すのもこのような脂肪酸の作用だと考えられています。
中鎖脂肪酸はエンベロープ(一部のウイルス粒子に見られる膜状の構造)を持つウイルスに非常に活性があり、抗ウイルス作用を示します。エンベロープを持つウイルスには、新型コロナウイルスをはじめとするコロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、エイズウイルスなどがあります。逆にエンベロープを持たないウイルスには効果がないようです。(ここ参照)
また、慢性胃炎や胃がんの原因と考えられているヘリコバクターピロリに対しても、実験的には中鎖脂肪酸は抗菌作用を示します。特に胃のリパーゼによってモノグリセリドになると、それが強い抗菌作用を示すようです。
抗生物質を使用したときの下痢の原因になる、クロストリジウム・ディフィシルに対しても中鎖脂肪酸は抗菌作用を示すようです。(ここ参照)
腸内細菌叢も良くしてくれる可能性もあるでしょう。
ただ人間の臨床では、なかなか研究されておらず、十分なエビデンスはありません。しかし、メカニズム的には十分に有益は効果があると考えられます。ケトン体産生だけでなく、様々な有益な効果があると考えられる中鎖脂肪酸、これからも注目です。
「Susceptibility of Helicobacter pylori to bactericidal properties of medium-chain monoglycerides and free fatty acids」
「中鎖モノグリセリドおよび遊離脂肪酸の殺菌特性に対するヘリコバクターピロリの感受性」(原文はここ)
「Antibacterial actions of fatty acids and monoglycerides against Helicobacter pylori」
「ヘリコバクターピロリ に対する脂肪酸とモノグリセリドの抗菌作用」(原文はここ)
MCTオイルが人間にとって悪影響をもたらす菌やウイルスだけに効果があるのなら素晴らしいと思いますが、もし抗生物質のように善玉悪玉問わず作用があるのなら、それはそれで恐ろしいような気がします。日常的に摂取しても大丈夫なのでしょうか?
まーさん、コメントありがとうございます。
MCTオイルに限らず、すべての細菌を殺すような栄養素はあり得ません。
MCTオイルは腸内細菌叢を良い方向に改変すると思います。