「シミュラクラ現象」というのをご存じでしょうか?3つの点が「顔」に見える現象を言います。Wikipediaでは次のように書かれています。
シミュラクラ現象とは、人間(ヒト)の目には3つの点が集まった図形を人の顔と見るようにプログラムされている、という脳の働きである。人は他人や動物に出会った場合、敵味方を判断したり、相手の行動、感情などを予測したりする目的で本能的にまず、相手の目を見る習性がある。人や動物の目と口は逆三角形に配置されていることから、点や線などが逆三角形に配置されたものを見ると、脳は顔と判断してしまう。心霊写真と呼ばれる現象の多くが、これで説明できるとされている。
ネットなどで検索してみると無数に写真が出てきます。簡単に表すと下のようです。
● ● ● ●
ああ◆ああああああああ ー
これは本能的なものです。恐らく赤ちゃんでもこのような本能を持っています。(ここ参照)だから、赤ちゃんや小さな子供には目と口が見える状態で接しないと、不安や恐怖を与えてしまう可能性があります。
さて、新型コロナウイルスのせいで世界中がマスクをした人で溢れています。子供たちもマスクをさせられているでしょう。そして、教育現場や小さな子供が集まる保育園や幼稚園でも先生たちもマスクをしています。人によっては家の中でも家族だけしかいないのにマスクをしている家庭もあるようです。
マスクは子供たちにどのような影響があるのでしょうか?ドイツからの報告ですので、日本人の子供にそのまま当てはまるかどうかはわかりませんが、結果を見てみましょう。(この論文はプレプリントです。)
合計25,930人の子供に関するデータを親が入力した結果です。マスクの平均着用時間は1日あたり270分でした。マスクの着用による影響は、68%の親から報告されました。(表は原文より改変)
下の表は親が報告した子供の症状です。
総年齢層 | 0-6歳 | 7-12歳 | 13〜18歳 | |
頭痛 | 13811 (53.3%) | 960 (24.0%) | 7863 (54.6%) | 4988 (66.4%) |
集中力の低下 | 12824 (49.5%) | 961 (24.0%) | 7313 (50.8%) | 4550 (60.5%) |
不快感 | 10907 (42.1%) | 1040 (26.0%) | 6369 (44.2%) | 3498 (46.5%) |
学習障害 | 9845 (38.0%) | 621 (15.5%) | 5604 (38.9%) | 3620 (48.2%) |
眠気/倦怠感 | 9460 (36.5%) | 729 (18.2%) | 5163 (35.8%) | 3568 (47.5%) |
マスクの下の窮屈感 | 9232 (35.6%) | 968 (24.2%) | 5427 (37.7%) | 2837 (37.7%) |
息切れ感 | 7700 (29.7%) | 677 (16.9%) | 4440 (30.8%) | 2583 (34.4%) |
めまい | 6848 (26.4%) | 427 (10.7%) | 3814 (26.5%) | 2607 (34.7%) |
ドライネック(?) | 5883 (22.7%) | 516 (12.9%) | 3313 (23.0%) | 2054 (27.3%) |
失神 | 5365 (20.7%) | 410 (10.2%) | 2881 (20.0%) | 2074 (27.6%) |
動きたくない、遊びたくない | 4629 (17.9%) | 456 (11.4%) | 2824 (19.6%) | 1349 (17.9%) |
鼻のかゆみ | 4431 (17.1%) | 513 (12.8%) | 2550 (17.7%) | 1368 (18.2%) |
吐き気 | 4292 (16.6%) | 310 (7.7%) | 2544 (17.7%) | 1438 (19.1%) |
脱力感 | 3820 (14.7%) | 300 (7.5%) | 2020 (14.0%) | 1500 (20.0%) |
腹痛 | 3492 (13.5%) | 397 (9.9%) | 2292 (15.9%) | 803 (10.7%) |
呼吸促迫 | 3170 (12.2%) | 417 (10.4%) | 1796 (12.5%) | 957 (12.7%) |
病気の感覚 | 2503 (9.7%) | 205 (5.1%) | 1328 (9.2%) | 970 (12.9%) |
胸の圧迫感 | 2074 (8.0%) | 161 (4.0%) | 1122 (7.8%) | 791 (10.5%) |
目のちらつき | 2027 (7.8%) | 149 (3.7%) | 1047 (7.3%) | 831 (11.1%) |
食欲減少 | 1812 (%) | 182 (4.5%) | 1099 (7.6%) | 531 (7.1%) |
頻脈、stumbling heart stings(?) | 1459 (5.6%) | 118 (2.9%) | 766 (5.3%) | 575 (7.6%) |
耳鳴り(耳のノイズ) | 1179 (4.5%) | 107 (2.7%) | 632 (4.4%) | 440 (5.9%) |
短時間の意識障害/失神発作 | 565 (2.2%) | 39 (1.0%) | 274 (1.9%) | 252 (3.4%) |
嘔吐 | 480 (1.9%) | 40 (1.0%) | 296 (2.1%) | 144 (1.9%) |
過敏性が60.4%、幸福感の低下が49.3%、もう学校に行きたくない子供たちが44%いました。
下の表は親の視点から見た、マスクを着用することによって変化した子供の行動
総年齢層 | 0-6歳 | 7-12歳 | 13〜18歳 | |
子供はいつもよりイライラすることが多い | 11364 (60.4%) | 1041 (40.0%) | 6566 (62.1%) | 3757 (66.5%) |
子供はあまり陽気ではない | 9286 (49.3%) | 959 (36.9%) | 5640 (53.3%) | 2687 (47.6%) |
子供はもう学校/幼稚園に行きたくない | 8280 (44.%) | 824 (31.7%) | 5168 (48.9%) | 2288 (40.5%) |
子供はいつもより落ち着きがない | 5494 (29.2%) | 773 (29.7%) | 3515 (33.2%) | 1206 (21.4%) |
子供はいつもよりよく眠れない | 5849 (31.1%) | 633 (24.3%) | 3507 (33.2%) | 1709 (30.3%) |
その他の異常はない | 7103 (27.4%) | 1400 (35.0%) | 3834 (26.6%) | 1869 (24.9%) |
子供は新しい恐怖を感じている | 4762 (25.3%) | 713 (27.4%) | 2935 (27.8%) | 1114 (19.7%) |
子供はいつもより眠る | 4710 (25.0%) | 319 (12.3%) | 2183 (20.6%) | 2208 (39.1%) |
子供はあまり遊ばない | 2912 (15.5%) | 400 (15.4%) | 1998 (18.9%) | 514 (9.1%) |
子供はいつもよりも動きたいという強い衝動を持っている | 1615 (8.6%) | 253 (9.7%) | 1124 (10.6%) | 238 (4.2%) |
子供自身がマスクをしていることによる症状もあると思いますが、周りの人たちがマスクをしている影響もあると思います。もちろん、これらの症状などはマスクだけの問題ではなく、感染に対する不安、ウイルスそのものへの不安、環境の変化なども大きくかかわるので一概には言えないかもしれません。
いずれにしても、ほとんどの子供たちは新型コロナウイルスに対して重篤な状況にならないにもかかわらず、大きな犠牲を被っています。
大人であればある程度マスクで覆われていても、その人の表情や感情を推測できるかもしれません。しかし、子供は果たしてマスクをしている人の表情や感情を理解できるでしょうか?表情が見えない周りの人たちに囲まれ、子供たちは何を感じているのでしょうか?本当にどのような影響があるのでしょうか?人間の本能に逆らった表情を隠すマスクの子供への影響を真剣に考えるべきなのかもしれません。
「Corona children studies “Co-Ki”: First results of a Germany-wide registry on mouth and nose covering (mask) in children」
「コロナの子供たちの研究「Co-Ki」:子供たちの口と鼻の覆い(マスク)に関するドイツ全土の登録の最初の結果」(原文はここ)
実は今年4月から転職。勿論マスク必須の為、いまだにこの人はどんな顔なのか(お互い) 掴みかねています。
大人なら、表情が悟られずに逆にストレス軽減の状況も多いかもですが、この異常事態が 発達途上の子供に与える影響は計り知れないですね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
私も10月に異動しましたが、スタッフの目だけしか見ていません。
早く顔を覚えたいのですが…
西洋人は新型コロナまでマスクをほとんどしませんでしたが、これは口元を隠すとその人の表情が分からなくなり不安を感じるためだそうです。
日本人は口元よりも目で表情を感じるのでマスクをすることに違和感が少ないと言うのを聞いたことがあります。
だから日本人は以前からマスクはよくしますが、目を隠すサングラスは西洋人のようにあまりかけないのでしょう。
西洋のギャングは口元をハンカチで隠すイメージですが、日本の悪人のイメージはサングラスです。どちらも表情を隠す手段です。
赤ちゃんに「いないいないばー」をすると喜びますが、これは喜んでいるのではなく、隠れていた顔が現れて安心するのだと何かで読んだことがあります。
顔を隠すことは少なからず影響がありそうですね。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
日本人と西洋人の違いは、本当なのかどうかはわかりません。
しかし、少なくとも小さな子供は顔全体の表情を読み取っているような気がします。
マスクは計り知れない影響があるのではと危惧しています。
いつも勉強させていただいてます。ありがとうございます。最近知ったのでますが 「新型のコロナ感染症予防対策についての共同宣言 | WeRise 」署名活動などもされていますがそのなかでも「感染予防対策としてのマスク着用の推奨を停止することを求めます」とあります。
みやさん、コメントありがとうございます。
こんな共同宣言が出ているのですね。知りませんでした。おおむね賛同します。
マスクの項目には同じような子供のことが書かれていますが、
「マスク内部には自分の体内から放出された二酸化炭素や不要物質が溜まり、それをまた吸い込んでいるので慢性的な酸欠状態となり様々な不調や免疫力低下の原因となる。」
と断定しています。これには根拠があるのでしょうか?
今年の6月の初めに軽井沢に旅行した際にしみじみと感じたことですが、街ブラやショッピングモールで出会う人のほぼ100%がマスク装着という事実、正確に言うと乳母車の赤ちゃん以外のすべての人がマスク人。
長野県あたりではさほど「陽性」者が出ていない現状であるにかかわらず、何かにとりつかれたような有様です。でかいマスクの上に深々と帽子をかぶり、サングラスでもかけられたら、ほぼほぼ誰が誰だかわかりません。年齢不詳、美人不美人まったく判断不能。
ちなみに僕はエチケットとして屋内レストランや施設内に入るとき以外はノーマスクを通しています。はれて他人の顔が拝めるようになるのは何年先になるのでしょうね。
タンザニアさん、コメントありがとうございます。
日本人は欧米人よりも、もともとマスクに対する抵抗感が少ない人が多いと思います。
屋内でのノーマスクは相当先になるのではないでしょうか?