糖質過剰摂取と冠動脈疾患

冠動脈性疾患、虚血性心疾患は、世界で最大の死因です。以前の記事「世界の死因トップ10」で書いたように、虚血性心疾患の死者数は圧倒的に多いのです。1年で900万人近くが亡くなっています。

コレステロールは一般的には冠動脈疾患の重要な要素であると考えられています。しかし、平均よりも低いLDLコレステロール値での死亡した人もかなりの割合になるでしょう。

今回の研究では、糖質過剰摂取の代わりとして高グリセミックロードの食事と冠動脈疾患の関連を分析しています。グリセミックロードはグリセミックインデックス(GI値)にその食品の標準摂取量当たりに含まれる炭水化物のグラム数を掛け、100で割ることによって求めた値です。GI自体はあまり信用していませんが、一応高グリセミックロード食は血糖値が大きく上昇しますので、糖質過剰摂取と同様と考えられます。

294コホート研究、1,187,350人のデータを分析しています。(図は原文より)

上の図はそれぞれの値が1SD(標準偏差)増加したときに、冠動脈疾患のリスク比がどうなるかを示しています。上側のバーがリスク増加、下側がリスク低下です。意外なことにIGF-1はリスク低下と関連しています。LDLを見てみると、ここでは確かにリスク増加と関連しています。しかし、それは多くのリスク因子のたった一つであり、最大のリスク因子でもありません。

上の図は高グリセミックロード食によって影響を受けるリスク因子を示しています。冠動脈疾患のリスク因子と考えられるもののうち70%近くが高グリセミックロード、高血糖に起因している可能性があると考えられるのです。そして、冠動脈疾患をはじめ心血管疾患のリスクを高める、血管機能、脂質、代謝、炎症など多岐にわたって高血糖が大きな影響を与えています。

当然、LDLはその中に入っています。高血糖によってLDLのクリアランスは低下しますし、LDLの粒子の小型化、酸化が起こります。

冠動脈疾患、心血管疾患リスクを高ねているのは、いくつもの研究により、高グリセミックロード食によって生じる可能性のある高血糖症と高インスリン血症であることは明らかです。これらの要因は両方とも、冠動脈疾患のリスクの大幅な増加に関連しています。

しかし、LDLコレステロールばかり過度に強調されています。その背景にある糖質過剰摂取には一切触れず、処方する薬物のあるLDLコレステロールを低下させることが唯一の方法であるかのような錯覚を一般の人に植え付けています。そして医療側はLDLコレステロールの数値が下がれば納得し、それでも心血管疾患が起これば、もっとLDLを下げるべきだと主張します。LDLコレステロール数値さえ下げておけば、医師はやるべきことはやった、と思うのかもしれません。

心血管疾患は糖質過剰症候群です。糖質制限をすれば、上のような多くのリスクを回避できます。まずはそこからでしょう。

糖質過剰症候群

「How do high glycemic load diets influence coronary heart disease?」

「高グリセミックロードの食事は冠動脈性心臓病にどのように影響しますか?」(原文はここ