一過性の下部食道括約筋の弛緩は胃食道逆流の主要なメカニズムです。糖質過剰摂取では逆流性食道炎が増加します。糖質制限を行うと逆流性食道炎が改善する人が多くいます。
今回の研究では、高血糖が下部食道括約筋に及ぼす影響を調べています。対象は平均BMIが24.2の15人の健康な人(18〜48歳、中央値24歳)です。静脈内にブドウ糖を注入して血糖値を3種類にコントロールしました。血糖値は90、144、270mg/dLです。胃にバルーンを入れて、60分間圧力や容積を制御しています。(図は原文より)
上の図は一過性の下部食道括約筋の弛緩を示した数です。Aは圧力をコントロールしているもので、Bは容積をコントロールしています。○は正常の血糖値(90mg/dL)で●は高血糖(270mg/dL)です。圧力コントロール下では一過性の下部食道括約筋の弛緩を示した数は正常血糖値5回から高血糖で10回に増加しました。容積コントロール下では4回から10.5回に増加しました。
顕著な高血糖が胃拡張に反応して誘発される一過性の下部食道括約筋の弛緩の割合を2倍にすることを示しています。144mg/dLの血糖値の上昇では正常と変化がありませんでした。
この研究は確かに実験上であり、本当の食物が胃に入った場合とは違う可能性がありますが、大きな血糖値スパイクは胃食道逆流を起こす下部食道括約筋を弛緩させる可能性が高いと思われます。
血糖値の急激な変化は、正常な人であっても糖尿病であっても、胃腸運動機能に大きな影響を及ぼします。 胃だけでなく、食道、胆嚢、小腸、大腸、直腸などの運動性に影響を与えます。
糖尿病や糖質過剰摂取が逆流性食道炎を増加させる主要なメカニズムは、高血糖である可能性が高いと思われます。
逆流性食道炎にはPPI(プロトンポンプ阻害薬)ではなく、糖質制限を行いましょう。
糖質過剰症候群
「Effect of hyperglycemia on triggering of transient lower esophageal sphincter relaxations」
「一過性下部食道括約筋弛緩の誘発に対する高血糖の影響」(原文はここ)
糖質制限をする以前は食後の胃腸薬は欠かせませんでした。軽い胸焼けは日常茶飯事でした。糖質制限してからはもう何年もそのような消化剤は飲んでいません。逆流性食道炎で少しでもお悩みでしたら是非糖質制限をしてみて欲しいと思います。
田村治さん、コメントありがとうございます。
まさか糖質が逆流性食道炎の原因とは普通は思っていないでしょうからね。
まずは糖質制限をやってみるべきでしょう。
清水先生、失礼いたします。
糖質制限をする以前、約8年間ほどはPPI阻害剤(パリエット 100ミリグラム)を服用しておりました。
薬に頼らないで逆流性食道炎を改善しようとするのですが、3日薬をやめると胸焼けがし、2週間続けると胸痛がしておりました。
内科の主治医に聞くと、できるだけ脂っこいものを取らないようにしてくださいとの由。
5年前からは糖質制限を始め、脂っこいものを思いっきり食べてます。しかし胸焼けおこってません。当然パリエットは服用をしておりません。
糖質が体の中に入るといろいろ悪さをすると言うことを知っている医師ならばよかったのですが。こちらのほうも知識がなく8年間もプロトンポンプ阻害剤を服用しておりました。
患者自身がしっかり勉強し自分の体は自分で守ると言うことが生きていく上での基本ですね。
逆流性食道炎だけではなくコロナ禍についても同じことが言えますね。
ジェームズ中野さん、コメントありがとうございます。
脂っこいもの=胸やけ、というのが定説になってしまっていますからね。
ほとんどの医師も疑っていないのでしょうが、根拠もなく信じていると思います。
PPIをやめてよかったですね。
私も糖質制限前、健康診断で逆流性食道炎と言われたことがあります。
実際、夜寝ていると胃の内容物が逆流してくることが時々ありました。
脂質は、糖質制限前よりもかなり多いはずですが、糖質制限後は、速やかに解消し、再発もしていません。
結局、逆流性食道炎は服薬も通院もせず、糖質制限のみで治りました。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
本当に糖質制限で逆流性食道炎が改善する方多いですね。
私も糖質過剰摂取のときは酸っぱいものが上がってきましたが、
糖質制限をしてから何も上がってきません。
脂質がコレシストキニンというホルモンを出して噴門が開くという医者が多いです。僕もPPIを処方されて「脂っぽいものは食べないでください。」と言われます。
アラジンさん、コメントありがとうございます。
確かに、コレシストキニンは下部食道括約筋を弛緩させると言われています。
しかし、コレシストキニンは何も脂質だけでなくタンパク質でも分泌量が増加します。
糖質はそれほど増加させませんが分泌されます。人口甘味料でも分泌されます。
しかし、糖尿病の逆流性食道炎では非常にコレシストキニンが増加しているという研究もあります。
血糖値がコレシストキニン分泌にも関連しているのではないかと思います。
どんな食べ物でも恐らくコレシストキニンは分泌され、下部食道括約筋を弛緩させるけれど、消化という過程で必要なのでしょう。
高血糖は食べ物が無くてもそれ自体が下部食道括約筋を弛緩させ、コレシストキニン分泌も変化させるのではないかと思っています。
しかし、コレシストキニンは胃酸分泌抑制をするはずです。
ということは、コレシストキニン分泌だけではなく、それとは別の機序が存在して逆流が起きているのではないかと思います。
ややこしいですね。