結構久しぶりの糖質制限否定の記事だけど その6 全粒穀物の有益性は?

前回の記事の「その5」までは、この記事の内容について書きましたが、今回はそこを少しはみ出して、玄米と同様に食物繊維などを豊富に含んだ全粒穀物を多く摂取することが有益なのかどうかについて書きたいと思います。

今回の研究はランダム化比較試験のメタアナリシスですから、エビデンス好きな人にとってはエビデンスレベルが非常に高いものと思い込んでいるものです。

全粒穀物を摂取したグループと摂取しないグループでの22 件のランダム化比較試験を分析しています。対象は肥満や過体重の人の研究です。(図は原文より)

その結果は、体重の平均差-0.5およびCRPの平均差-0.36で対照グループと比較して全粒穀物グループで有意に低下していました。しかし、その差は非常にわずかであり、臨床的には何の意味もないでしょう。LDLコレステロール、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖に関しては有意な差が認められませんでした。つまり、全粒穀物の有益性はほとんど認められません。

しかし、上の研究は肥満や過体重の人を対象にしたものでした。対象を肥満に限らない場合はどうでしょう?次のような研究があります。これもメタアナリシスですが、分析した研究が問題です。とりあえず見てみましょう。(図は原文より)

上の図は冠動脈疾患の発生リスクです。全粒穀物摂取量が多いほどリスクが低下しています。90g/日あたりの相対リスクは0.81、つまり19%リスクが低下することになります。

上の図は全てのがんの発生リスクです。全粒穀物摂取量が多いほどリスクが低下しています。90g/日あたりの相対リスクは0.85、つまり15%リスクが低下することになります。

上の図は全原因死亡リスクです。全粒穀物摂取量が多いほどリスクが低下しています。90g/日あたりの相対リスクは0.83、つまり17%リスクが低下することになります。

上の図は糖尿病による死亡リスクです。全粒穀物摂取量が多いほど、とは言えませんがリスクが低下しています。最低ラインは100g程度でしょうか。90g/日あたりの相対リスクは0.49、つまりリスクは半減です。(ただ有意差はないです)

おお、やっぱりあの記事の著者が言うように、全粒穀物の摂取量が多いと、冠状動脈性心疾患、心血管疾患、全がん、およびすべての原因による死亡のリスクが低下するのではないか。(?)また、呼吸器疾患、感染症、糖尿病、およびすべての非循環器疾患、非がん性疾患による死亡率も同様にリスクが低下します。リスクの低下はほとんどの場合、210~225 g/日 (7~7.5 サービング/日) の摂取量まで観察されました。

この結果は、慢性疾患や早期死亡のリスクを減らすために、一般人口の全粒穀物食品の摂取量を増やすという食事の推奨事項を強く支持している、と結論付けていますが本当でしょうか?

このメタアナリシスは45の研究を分析していますが、元の45の研究のほとんどのデータは食事アンケートから得られたものです。何度もブログで書いていますが、食事アンケートは非常に質の低いデータでしかありません。人はウソをつきますし、都合の良いことは大きく言い、都合の悪いことは隠します。そのようなデータをどれだけ集めても質の悪い研究にしかならず、そのような質の悪い研究をどれだけ集めて分析しても質の非常に低いメタアナリシスにしかなりません。

それでも、玄米や全粒穀物が健康的だと思う人は、思えば良いと思います。これらの食材が何と比較して健康的か?それは精製された穀物、白米や小麦粉製品などと比較してのことでしかありません。「白米を食べて血糖値が250だったけど、玄米なら200で済んだ。」これって健康的でしょうか?

「Whole grain food diet slightly reduces cardiovascular risks in obese/overweight adults: a systematic review and meta-analysis」

「全粒穀物の食事は、肥満/太りすぎの成人の心血管リスクをわずかに低下させる: 系統的レビューとメタ分析」(原文はここ

「Whole grain consumption and risk of cardiovascular disease, cancer, and all cause and cause specific mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies」

「全粒穀物の摂取と心血管疾患、がん、およびすべての原因と特定の死亡率のリスク: 系統的レビューと前向き研究の用量反応メタ分析」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 鈴木 武彦 より:

    依存症も様々ですが、共通点は手段を選ばず依存対象物を手に入れようとすることだと思います。
    全粒粉、玄米、もしかしたらビーガン食なども糖質依存症者が罪悪感なく糖質を摂取するためのツールなのではないでしょうか。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木 武彦、コメントありがとうございます。

      糖質依存者はそもそも糖質に対して罪悪感なんて感じていないと思います。「罪悪感なし」というフレーズが流行しているだけでしょう。

  2. 鈴木 武彦 より:

    おっしゃるように、意味の無いコピーに過ぎないですね。「罪悪感なし」。