砂糖たっぷり飲料と体重増加との関連はスポンサー次第?

スポーツドリンクなど砂糖がたっぷり入った飲料を頻繁に飲んでいれば、当然体重が増加すると予想されます。しかし、本当に影響を与えるかを分析してみると、そこにはスポンサーの影が見えてきます。

アクエリアスは現在、大谷翔平選手を起用して、「熱中症対策飲料売上No.1」との宣伝をしていますが、このアクエリアスのホームページの中の「適度な糖分とナトリウムによる水より優れた水分補給」の根拠としている研究(体重に関するものではありませんが)は、スポンサーがゲータレードです。

今回の研究では、砂糖の入った飲料が体重増加や肥満に対して影響するかどうかの研究を集めて、スポンサーの影響を調べました。

18のシステマティックレビューを分析しました。その中の6つでは、一部の食品業界との経済的な利益相反が開示されました。利益相反が報告されていないレビューでは結論の83.3%(10/12)は、砂糖入り飲料の摂取が体重増加の潜在的な危険因子である可能性があるというものでした。対照的に、食品業界との経済的利益相反を開示しているレビューでは、83.3%(5/6)が砂糖入り飲料と体重増加または肥満との正の関連を裏付けるには科学的証拠が不十分であったというものでした。つまり、スポンサーによって真逆の結果が出てしまうのです。

利益相反のあるレビューは、利益相反のないレビューよりも体重増加や肥満と関連性がないという結論を示す可能性が5倍も高かったのです。

スポンサーの力は偉大です。スポンサーがなければ研究はできません。そして研究結果はスポンサーが決めることができます。最初に結果が決まっているかもしれません。結果が思わしくなければ無かったことにするかもしれません。

所詮論文なんてその程度です。システマティックレビューやメタアナリシスはエビデンスレベルの高い研究と考えられていますが、元の研究の利益相反を見えにくくして、その結果だけを提示してエビデンスが高いと言いがちですが、利益相反バリバリの研究をいくつ集めても、その結果は決してエビデンスレベルが高いとは言えません。利益相反さえ開示されておらず、隠されているものもありますし。

薬物や飲食物だけでなく新型コロナウイルスのワクチンにしても同様で、その裏にスポンサーがいれば、研究結果は自ずとスポンサーの意向に沿ったものになります。スポンサーが「安全安心」と言えば、利益相反のある専門家や研究者は「安全安心」と言います。そのような専門家ほどテレビに毎日のように出演しているかもしれません。学会では利益相反があるかどうかを最初に提示してから、発表等を行います。テレビ出演をしている専門家も毎回利益相反を提示するべきです。それか、サッカー選手のようにスポンサーワッペンが付いた衣装で出演してほしいものです。

糖質過剰症候群

「Financial Conflicts of Interest and Reporting Bias Regarding the Association between Sugar-Sweetened Beverages and Weight Gain: A Systematic Review of Systematic Reviews」

「砂糖入り飲料と体重増加との関連に関する経済的利益相反と報告バイアス:系統的レビューの系統的レビュー」(原文はここ

2 thoughts on “砂糖たっぷり飲料と体重増加との関連はスポンサー次第?

  1. ご存知かとは思いますが。サッカーのロナウド選手が、記者会見時スポンサーが準備したコカコーラをよけてあえて「アグア(水)」宣言してました。

    確かにロナウド選手は糖質摂取など厳密に管理してそうですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      もちろん知っています。Twitterではその動画を取り上げています。
      ただ、スポンサーがなければ彼らは大会ができませんが。

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