人類は肉食、雑食の動物です。動物性のものを食べてこなかった人類は進化の過程では皆無でしょう。ビーガンやベジタリアンになることは、大人であれば自由です。しかし、子供に強要することは虐待です。(「子供にビーガン?」参照)
今回の研究ではポーランドの子供のビーガンやベジタリアンの体の状態を分析しています。72人の雑食(つまり肉食)、63人のベジタリアン、52人のビーガンの5~10歳(平均年齢7.6歳)子供たちを対象としています。
ビーガンおよびベジタリアンの子供の約30%はビタミンB12のサプリや強化食品を与えられていませんでした。どのグループも3分の1はビタミンDサプリを使用していました。子供なのにビタミンDサプリを使用している子供は意外と多いですね。(外で遊びなさい…)
食事内容はアンケートなので質が低いデータでしかありませんが、一応ビーガンやベジタリアンであることは信用しないと研究として成り立ちません。(図は原文より、表は原文より改変)
雑食が最もタンパク質および脂質摂取量が多く、炭水化物が少ないです。コレステロール摂取量は圧倒的にビーガンが少なくなっています。鉄は雑食で最も少ないのは意外ですね。ビタミンB12とビタミンDはビーガンが少ないですね。
雑食と比較したベジタリアンとビーガンの体の測定と体組成の結果では、ベジタリアンとビーガンの両方が雑食よりも背が低く、ベジタリアンで–1.9cmとビーガンではなんと–3.15cmでした。
雑食と比較して、ベジタリアンとビーガンの両方が太ももが細く、皮下脂肪が低くなっていました。
ベジタリアン | ビーガン | |
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骨の状態 | ||
全身の骨塩量(%) | 11(–1.6、3.8) | –3.7(–7.0、–0.4) |
腰椎の骨塩量(%) | –0.05(–4.6、3.7) | –5.6(–10.6、–0.5) |
心血管リスク | ||
インスリン、µIU/ml | 0.56(–0.39、1.50) | 0.69(–0.31、1.70) |
空腹時血糖値、mg/dL | 3.6(1.4、5.8) | 2.7(–0.3、5.7) |
HOMA-IR、% | 14.1(0.8、27.4) | 14.9(0.1、29.7) |
総コレステロール、mg/dL | –10.2(–21.2、0.9) | –32.1(–45.1、–19.0) |
HDLコレステロール、mg/dL | –6.8(–11.6、–2.0) | –12.7(–18.2、–7.1) |
LDLコレステロール、mg/dL | –5.5(–14.4、3.3) | –20.5(–31.8、–9.2) |
VLDLコレステロール、% | 16.0(2.0、30.0) | 6.0(–12.0、23.0) |
中性脂肪、% | 22.0(7.0、36.0) | 11.0(–8.0、29.0) |
hs-CRP、% | –34.0(–80.0、11.0) | –72.0(–118.0、–26.0) |
体の鉄の状態 | ||
RBC、M/µL | –0.09(–0.18、0.01) | –0.23(–0.33、–0.12) |
HGB、g/dL | –0.24(–0.50、0.02) | –0.38(–0.70、–0.06) |
HTC、% | –83.0(–160.0、–7.0) | –105.0(–203.0、–8.0) |
フェリチン、% | –19.0(–37.0、–1.0) | –28.0(–48.0、–7.0) |
骨塩量、骨密度はビーガンで3.7~5.6%低下していました。ビーガンは骨折リスクが高くなると言われています。(「ビーガンは骨折リスクが高い」参照)インスリンは有意ではありませんが少し高め、空腹時血糖はベジタリアンで有意に上昇、インスリン抵抗性を表すHOMA-IRはベジタリアンとビーガンの両方で増加です。
コレステロール系はビーガンで大きく低下していました。このことからこの研究ではビーガンは心血管系の健康にメリットがあると、おバカな考察をしています。LDLコレステロール=悪玉という考えから抜け出せない人が多いのがわかります。ビーガンとベジタリアンではHDLコレステロールまで大きく低下していて、中性脂肪はベジタリアンでは有意に増加しています。
唯一良いのは炎症を表すCRPの低下くらいでしょう。鉄はビーガンで摂取量が最も多いにもかかわらず、赤血球やフェリチンが低い状態です。フェリチンは炎症が低下していることを反映している可能性もありますが。
ベジタリアン—サプリメントなし | ベジタリアン—サプリメント | ビーガン—サプリメントなし | ビーガン—サプリメント | |
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血清D25(OH)、nmol/L | –7.1(–13.8、–0.3) | 9.2(0.6、17.7) | –13.3(–20.3、–6.2) | –2.5(–11.6、6.6) |
結果 | 雑食 | ベジタリアン | ビーガン |
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ビタミンB12 | |||
不足の高い可能性(<148 pmol/L) | 3.2(0.3、6.0) | 3.8(0.8、6.8) | 13.0(2.6、23.4) |
不足の可能性(≥148–258 pmol/L) | 16.5(7.5、25.6) | 19.2(10.2、28.2) | 39.9(27.8、52.0) |
ヘモグロビン | |||
中程度の欠乏症(8.00〜10.9 g/dL) | 0 | 1.9(–0.3、4.1) | 1.6(–1.3、4.5) |
軽度の欠乏症(11.0〜11.4 g/dL) | 0 | 6.6(–0.02、13.3) | 5.6(1.0,10.2) |
フェリチン | |||
貯蔵鉄の枯渇(<15μg/L) | 12.8(0.05、20.2) | 18.3(8.5、28.1) | 30.2(16.2、44.3) |
LDLコレステロール | |||
高(≥130mg/dL) | 13.3(2.2、24.5) | 5.7(1.1、10.2) | 0.4(–0.4、1.2) |
境界線(110〜129 mg/dL) | 17.0(9.2、24.9) | 9.7(4.1、15.2) | 0.9(–1.0、2.7) |
許容範囲(<110 mg/dL) | 69.6(55.2、84.0) | 84.7(76.4、92.9) | 98.7(96.1、101.3) |
HDLコレステロール | |||
許容範囲(> 45 mg/dL) | 81.3(70.7、91.9) | 65.9(53.9、78.0) | 49.2(34.3、64.1) |
境界線(40〜45 mg/dL) | 11.8(5.4、18.1) | 19.3(12.2、26.4) | 24.4(16.5、32.4) |
低(<40 mg/dL) | 6.9(1.6、12.1) | 14.8(6.9、22.8) | 26.4(14.0、38.7) |
上の表は異常なビタミンB12、ヘモグロビン、貯蔵鉄の枯渇、およびLDLおよびHDLコレステロール状態の有病率です。
ビーガンでは半分以上がビタミンB12不足であり、鉄の貯蔵が低く、貧血の割合も高く、4分の1は非常に低いHDLコレステロールを持っています。子供なのにHDLコレステロールが45を超えるのは半分弱です。LDLコレステロールはおよそ99%が110未満です。コレステロールが低いことは全くいいことではありません。彼らはこれでちゃんとした細胞膜やホルモンが作れるのでしょうか?
考察で、ベジタリアンは栄養不足に関しては顕著ではなかった一方で心血管系が不健康だと言っています。LDLがそこまで低下しておらず、HDLが低く、中性脂肪やVLDLが高いことを指しているのでしょうか?その理由としてベジタリアンの子たちが加工食品を多く食べていたことが原因である可能性が高いとしていますが、もしそれが本当なら本末転倒ですね。
以前の記事「ビーガンは酸化ストレスが増加する」「ベジタリアンは終末糖化産物(AGEs)が増加してしまう」で書いたようにベジタリアンやビーガンは酸化ストレスおよびAGEsが増加します。
こんな小さなうちから骨密度が低下し、HDLが低下し、インスリン抵抗性が増加するなどしているなんて、大問題の食事でしょう。虐待以外の何ものでもありません。
「Growth, body composition, and cardiovascular and nutritional risk of 5- to 10-y-old children consuming vegetarian, vegan, or omnivore diets」
「ベジタリアン、ビーガン、または雑食の食事を摂取している5〜10歳の子供の成長、体組成、および心血管および栄養上のリスク」(原文はここ)
ビーガン程極端ではありませんが、糖質制限もいわゆる「栄養士推奨のバランスの良い食事」ではないため、カレーや牛丼、「生食パン(??意味不明)」なども食べたい家族からは浮いてしまうこともあります。
きっと糖質制限者アルアルではないでしょうか。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
最適なバランスがわからない以上、「バランスの良い」という言葉は使えません。
仰るように「生食パン」の「生」ってなんでしょうね?
1960年代以降、「動物性脂肪を豊富に含む動物性食品は、健康に悪影響を及ぼす可能性がある」と言われるようになると、栄養学者たちは、「動物の肉(卵もです)には、生命維持に欠かせない全ての必須アミノ酸、全ての必須脂肪酸、13種類ある必須ビタミンのうちの12種類がたくさん含まれている」という事実の指摘を控えるようになりました。
ビタミンDとビタミンB12の両方を含む食べ物は「動物性食品だけ」です。
動物性食品を避ける菜食主義者がビタミン不足に陥るのは当然のことです。
菜食主義者たちは、狩猟採集生活者として暮らしてきた人類は肉・魚・卵・脂肪を食べ続けてきた歴史を全否定しています。
何故でしょうか?彼らは無知なのでしょうか?
「動物がかわいそうだから」?
それがどうした?って話です。肉と卵と脂肪を食べなければ、我々は文字通り「おしまい」です。
人工物であるサプリメントを口に放り込んで栄養を補給する。そんなものに頼らざるを得ないような食生活なんて、まともとは思えません。
ステーキハウスを襲撃する菜食主義者も出てくるほどですし、彼らの頭の中は歪んでいます。
クリードンさん、コメントありがとうございます。
何を食べるかは自由です。我々が肉食動物であるということを忘れることも自由ですが、忘れた親から生まれてきた子供は草食動物ではありません。
歪んだ頭で生きた方が楽な状況の中で生きているのでしょうか、美ー顔の方々。