新型コロナウイルス感染の患者の約9割に血小板の塊

先日9日に東大などのチームが、新型コロナウイルス感染患者の87%に血栓症、血小板の塊である「循環血小板凝集塊」を認め、循環血小板凝集塊の出現頻度と新型コロナ患者の重症度、死亡率、呼吸状態、血管内皮機能障害の程度に強い相関があると発表しました。(この記事参照)

もともと、このウイルス感染症のメインの症状は血栓症であり、当然の結果でしょう。東大の発表では「驚くべきことに」という表現をしていますが、何も驚くべきことはありませんし、逆にもっと割合が高くても不思議ではありません。恐らく100%ではないかと思いますが、微量な血栓は捕まえれれなかったんだと思います。

対象は東大病院に入院した新型コロナ感染患者(軽症23名、中等症68名、重症19名、うち男性73名、女性37名、うち生存99名、死亡11名、合計110名)です。(図は東大のリリース文書より)

上の図はそれぞれの程度の症状の循環血小板凝集塊のサイズ分布です。

健常者と比較して新型コロナ感染患者の87.3%に過剰な数の循環血小板凝集塊が存在していましたが、この中には、上の図のように血栓症のスクリーニング検査で広く用いられているDダイマー検査の値が基準値である1µg/mL以下の患者も多数含まれていました。重症でも1以下の人もいますし、軽症でも10以上の人もいますので、Dダイマー検査はあまり鋭敏な検査とは言えませんね。測定の意味があるのかどうかさえよくわかりません。

上の図は循環血小板凝集塊の出現頻度と新型コロナウイルス感染患者の重症度、死亡率の関連です。循環血小板凝集塊の出現頻度と重症度、死亡率は強く相関していました。また、やはり女性よりも男性の方が循環血小板凝集塊の出現頻度が高くなっていました。図のDに示すように、循環血小板凝集塊中の白血球の存在が、重症度や死亡率と関連していました。これは、恐らく拙著「肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群II」でもご紹介した、NETs(Neutrophils extracellular traps:好中球細胞外トラップ)形成が関与していると思います。

上の図は循環血小板凝集塊の出現頻度と検査データとの比較です。白血球数(WBC)、Dダイマー、凝固第VIII因子活性値(FVIII)、von-Willebrand(フォンウィルブランド)因子活性値(VWF:RCo)、トロンボモジュリン(TM)、呼吸状態の重症度(respiratory severity)は、循環血小板凝集塊の出現頻度と強い相関関係がありました。トロンボモジュリンは血管内皮細胞表面に存在し、内皮細胞の障害で血中に出てくるので、血管内皮細胞の障害マーカーと考えられています。

つまり、循環血小板凝集塊が、Dダイマーや凝固第VIII因子活性、フォンウィルブランドなどの血栓のマーカーとトロンボモジュリンという血管内皮細胞の障害マーカーの両方に関連していることを示しています。重症化する人は糖質過剰症候群の人が多いので、血管のグリコカリックスもかなり減少しているので、当然でしょう。血管を守ってくれているグリコカリックスは高血糖で減少します。

上の図は新型コロナ感染患者の循環血小板凝集塊の出現頻度の時系列のモニタリングです。

軽症群の循環血小板凝集塊の出現頻度は、発症後9~12日目にピーク(約2.5%)となり、その後1週間徐々に低下し、16日目には軽症患者全員が退院しました。同様に、中等症群の循環血小板凝集塊の出現頻度は、発症後13~16日目にピーク(約5%)を迎え、その後2週間かけて徐々に減少し、28日目には中等症患者全員が退院しました。

一方、重症患者群の循環血小板凝集塊の出現頻度は、発症後1週間でピーク(約7%)になり、その後3週間にわたって横ばい状態で、その後、死亡または慢性期病院への転院となりました。

すべての患者グループが最初の3〜4日で適度に高い血小板凝集体塊の出現頻度(約2.5%)を示していました。その後重症化するほど出現頻度が高くなり、予後が悪いパターンとなるようです。

さらに血栓症を発症した場合には一部の重症患者よりも長く入院が必要になるようです。また、上の図のBに示すように、発症 1~9 日目と発症 10~18 日目の呼吸状態と循環血小板凝集塊の出現頻度との間に強い相関関係があることから、循環血小板凝集塊が呼吸状態の程度に大きく影響すると考えられます。循環血小板凝集塊が多ければ、肺の血管は詰まって、呼吸状態が悪くなることは容易に想像できます。

興味深いことに、コントロールの健常者にも循環血小板凝集塊がゼロではないということです。私の勝手な想像では、糖質過剰摂取では、血管は不健康でグリコカリックスも低下しており、高血糖になることも多く、血栓ができやすい状態、または既に微量の血栓ができているかもしれません。さらに風邪をひいたり、ワクチン接種などで免疫が活性化するような状況では、血栓ももっとできやすくなるでしょう。

新型コロナウイルスワクチンでも血栓ができる場合もあります。(この論文参照。ただし皮膚が血栓で壊死した生殖器の画像が含まれているので閲覧注意)

糖質制限をして血管の健康を保ちましょう。

「Massive image-based single-cell profiling reveals high levels of circulating platelet aggregates in patients with COVID-19」

「大規模な画像ベースの単一細胞プロファイリングは、COVID-19患者における循環血小板凝集塊の高いレベルを明らかにする」(原文はここ

コメント

  1. 鈴木 武彦 より:

    いわゆる健常者も糖質過剰摂取があれば、免疫などの機能低下し、
    コロナ発症後重症化する可能性は大きいのですね。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      健常者というものは実際には存在しないかもしれません。
      病気が見つかっていない、検査上のデータ異常がないというだけで、健常かどうかはわかりません。
      日によっても時間によっても健常と非健常を行き来しているかもしれません。
      人間の体は定常な状態ではありませんから。

  2. 太田 より:

    清水先生、いつもありがとうございます。

    私の場合は高齢、心疾患、糖尿病ですので、新型コロナの重症リスクはかなりありますが、清水先生のおかげで、この新型コロナ禍にあって、比較的に穏やかに生活出来ています。

    清水先生は新型コロナ禍の当初より血栓症や、後に出て来た肥満のリスクもお話なさってたと思います。
    対処法として糖質制限して免疫力を上げる等までもです。

    専門家の先生は肥満がリスクと言うだけではなく、何故肥満はリスクなのかを説明し、そして痩せ方も教えて欲しいですね。
    無理な相談だとは思いますが。

    新型コロナ禍がいつ頃終息するか分かりませんが、これをきっかけに、高血糖のリスクやインスリン抵抗性と云う言葉が、一般の人達にもう少し認知されたら思う次第です。
    もちろん、私自身もまだまだ勉強不足だと自覚はしています。

    • Dr.Shimizu より:

      太田さん、コメントありがとうございます。

      新型コロナウイルスに関しては、いわゆる専門家と言っても、なぜ現在の日本で新型コロナがこれほど収束してきたのかも説明できないレベルの専門家です。
      マスコミと共にいまだに煽っている専門家もいますが。
      彼らに痩せる方法がわかるとは思えません。明らかに体重が重そうな専門家の方がいますからね。