LDLコレステロールは低いほど良い?

医療の世界は、以前は「医は仁術」と言われてきました。私自身はそこまで崇高な気持ちを持って医師になったわけではありませんが、しかし、現在の医療は全く真逆の方向に向かっています。新型コロナウイルスの拡大と共に、国は大量の税金を医療業界につぎ込みました。しかも、その用途がよくわかっていないお金が莫大に存在します。多くの赤字だった病院はコロナで大儲け。(この記事参照)儲かったお金は従業員のボーナスになっている病院もあるでしょう。そのボーナスのもとは税金ですよ。コロナの影響で減収分を賄うことは理解できるとしても、プラスになった分は返還すべきでしょう。

大学病院でさえ19億円を過大請求。意図的ではないと言っていますが、医療材料1つでさえ、細かくチェックしているのに、実際よりも高額な病床の単価で申請していることを知らなかったわけがありません。(この記事この記事参照)

岡山大学病院が、新型コロナウイルス患者が入院する病床を確保した医療機関に支給される国の交付金、約19億円を過大に受給していたことが分かりました。

岡山大学病院が過大に受給していたのは、「空床補償」と呼ばれる交付金で、新型コロナ患者のために確保したものの、埋まらなかった病床などに対し、国から都道府県を通じて支給されるものです。

この交付金に対し、岡山大学病院は、2021年1月から2022年3月にかけて、実際よりも高額な病床の単価で申請し、約19億円を過大に受給していたということです。

2021年11月、病院の自主点検で発覚したもので、「意図的な過大請求ではなかった」として、過大に受け取った交付金については、国に返還するとしています。

岡山大学病院の前田嘉信病院長は、「誠に遺憾で心より深くお詫び申し上げます。今後は、事務処理のチェック体制をより一層強化するなど再発防止に全力で取り組んでまいります」とコメントしています。

バレなければそのままだったでしょう。内部のどなたかの良心がこのような返還ということに結びついたのでしょう。

北海道大学でも同様に4億円以上が過大に交付されています。

医療業界はいつの間にか金儲けを第一に考えるようになりました。(昔からかもしれませんが)もちろんそうしないと潰れます。日本では私立の病院や個人のクリニックなどが非常に多く、それらは赤字ではやっていけません。そうすると、検査や投薬等が増えてしまうのも仕方がないのでしょう。

その前に病院を受診させる必要があります。そのためには病気でない人を病気としてしまえば患者は増加します。特に慢性疾患と診断してしまえば、その人は一生患者のままであり、薬を飲み続ける必要があると思い込ませられます。

製薬会社は慢性疾患の薬を製造し、ずっと使ってもらえるようしたいでしょう。そこで、製薬会社とそこからお金をもらっている一部の権力を持った医師は、その薬が非常に有効で、患者の利益になるというエビデンスを何とか構築します。一度エビデンスが構築されると、なかなか検証されません。そのエビデンスが独り歩きをしはじめ、ガイドラインになります。ガイドラインは全ての医師、専門医の治療の基本となってしまうので、ガイドラインに載った薬はしばらくの間安泰です。さらに、検査データにおける異常値を変更すれば、何もしなくても患者が莫大に増加します。高血圧やコレステロールの数値がそれです。

さて、LDLコレステロールは低ければ低いほど良いと考えている人がいます。それは医師の中にも。本気でそう思っている医師もいれば、本当はそうでないけど仕事としてそう言っている医師もいると思います。

PCSK9阻害剤というものがあります。これは強力にLDLコレステロールを低下させます。その有効性を示したFOURIER試験があって、下の図のようにここまでLDLコレステロールが下がりました。(図はここ参照)

アテローム性動脈硬化性心血管疾患でLDLコレステロール値が70 mg/dl 以上のスタチン療法を受けている27,564 人の患者を対象としています。上の図のように、PCSK9阻害剤であるエボロクマブはLDLコレステロールを 59% (ベースラインの中央値 92 mg/dLから30 mg/dL)減少させたのに対し、プラセボ群では LDLコレステロールは変化しませんでした。その結果は次のようです。主要有効性エンドポイントは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院、または冠動脈血行再建術の複合したものでした。重要な副次有効性エンドポイントは、心血管死、心筋梗塞、または脳卒中の複合でした。追跡期間の中央値は2.2年でした。(本当は4.7年だったのに有効性が明らかということで早く終了しました。)

スタチンにPCSK9阻害剤であるエボロクマブを追加すると、主要複合エンドポイントの発生率が15%低下しました (9.8%対11.3%)。死亡率と心血管死は、エボロクマブ群で数値的に増加しました.ほとんどの心血管死 (n=372/491; 75.8%) は、通常、心血管死の中で優勢な心筋梗塞またはうっ血性心不全としてではなく、「その他の心血管死」として分類されました.

製造業者によって作成され、医薬品評価の承認のために提出される文書である臨床研究報告書 (CSR)は、上の論文で公開されたものよりも豊富で詳細な証拠を提供します。それを調べるとこの論文が違ったものに見えてきました。

まずは上の論文の心臓血管死(Cardiovascular deaths)と総死亡(Death from any cause)に関してエボロクマブ群の方がプラセボより数値的には多くなっていました。

CSRの説明では、すべての死亡者は、「心血管系」、「非心血管系」、または「未確定」の3つのカテゴリのいずれかに割り当てられました。この分類を「死亡分類」とします。870人の死亡者のうち226人 (26.0%) について、「死亡分類」と「FOURIER試験の死因」では矛盾していました。たとえば、「死亡分類」で「心血管系」に分類された24人の死亡のうち、「FOURIER試験の死因」は12人が「非心血管系」、12 人が「未確定」でした。「非心血管性」に分類された66人の死亡のうち、「FOURIER試験の死因」は56人が「心血管性」、10人が「未確定」でした。「未確定」に分類された136人の死亡のうち、「FOURIER試験の死因」は101人が「心血管系」、35人が「非心血管系」でした。もう無茶苦茶ですね。総死亡者の870人中360人(41.4%)が違うのですから。

CSRはより詳細な死因が報告されていました。(表は原文より)

EVO
(RA)
EVO (NEJM) PLA
(RA)
PLA (NEJM)
Cardiac death
 Sudden cardiac 43 n.r. 43 n.r.
 Acute myocardial infarction 36 25 27 30
 Heart failure 31 n.r. 16 n.r.
 Acute coronary syndrome 1 n.r. 0 n.r.
 Ischaemic heart disease 1 n.r. 0 n.r.
 Postinfarction cardiosclerosis 1 n.r. 0 n.r.
 Ventricular tachycardia 0 n.r. 1 n.r.
 Other causes 0 n.r. 1 n.r.
 Subtotal 113 n.r. 88 n.r.
Non-cardiac vascular death
 Stroke 23 31 25 33
 Pulmonary embolism 7 n.r. 7 n.r.
 Cardiovascular haemorrhage 5 n.r. 3 n.r.
 Cardiovascular procedures 1 n.r. 1 n.r.
 Intestinal ischaemia 1 n.r. 0 n.r.
 Mesenteric ischaemia 0 n.r. 1 n.r.
 Subtotal 37 n.r. 37 n.r.
Non-cardiovascular death
 Malignancy 80 n.r. 72 n.r.
 Infection; includes sepsis 34 n.r. 32 n.r.
 Pulmonary 7 n.r. 12 n.r.
 Hepatobiliary 3 n.r. 2 n.r.
 Non-cardiovascular haemorrhage 3 n.r. 2 n.r.
 Non-cardiovascular procedure or surgery 3 n.r. 0 n.r.
 Pancreatic 3 n.r. 1 n.r.
 Suicide 3 n.r. 3 n.r.
 Trauma 3 n.r. 6 n.r.
 Renal 2 n.r. 2 n.r.
 Other causes 9 n.r. 5 n.r.
Cause of death after readjudication
 Death—cardiovascular 150 251 125 240
 Death—non-cardiovascular 150 n.r. 137 n.r.
 Death—undetermined 144 n.r. 164 n.r.
 Total 444 444 426 426

・n.r., not reported; RA, data after readjudication.

CSRを分析した再判定後、「未確定」死因は308/870 人 (35.4%)、「非心血管」死は287/870 (33.0%)、「心血管」死は275/870 (31.6%) でした。

CSR情報をFOURIER試験の論文と比較すると、エボロクマブ群では心筋梗塞による死亡が11人多く(36対25)、プラセボ群では3人少ない(27対30)ことがわかりました。再判定によって特定された最も頻繁な死因の1つは「心不全」でした。論文では、この結果は報告されていません。エボロクマブ群の心不全による死亡は、プラセボ群のほぼ2倍でした (31対16)。

そして、心臓死と血管死を別々にカウントすると、再判定後の心臓死はプラセボ群88人よりもエボロクマブ群の方が113人と多いことがわかりました。論文ではエボロクマブ群が心臓血管死リスクが1.05と有意ではありませんでしたが、再判定後はまだ有意ではありませんが、リスク比は1.20(95% CI 0.97–1.69)に増加しました。心臓死だけでも有意ではなりませんが、リスク比は1.28 (95% CI 0.97–1.69)とエボロクマブ群の方が高くなりました。血管死は両群で差はありませんでした。意図的に心臓死と血管死を合わせて心臓血管死とすることで、有害性を隠匿した可能性があります。

再判定の結果、「非心血管」死の主な原因はがんであり、感染症 がそれに続くことがわかりましたが、群間に有意差は認められませんでした。

CSRを詳細に分析しなおすと、論文よりも大幅に心臓血管死の数が少なくなりました。エボロクマブ群で101人、プラセボ群で115人の減少です。意図的に数字合わせをして、試験の不適切な早期終了を行った可能性があります。しかし、この論文が立派なエビデンスとして扱われてしまえば、その背景の詳細な生データが再評価されることはなく、ガイドラインに掲載されるでしょう。

EBM(Evidence-Based Medicine)「根拠に基づく医療」は、このような危うい状況で医療に浸透してしまっています。そして多くの医師たちは「エビデンス」を叫び続けています。

これでもあなたはまだLDLコレステロールが低いほど良いと思い続けますか?

新型コロナウイルスのワクチンの有効性が95%もあるというのを本気で信じてしまった医師も多いでしょう。その裏ではこの研究と同じような操作が行われているはずです。

スポンサーが絡んだ研究は話半分どころか、話10分の1程度に思っていた方が良いかもしれません。医師も一般の人もエビデンスにはもっと懐疑的になるべきでしょう。

 

「Restoring mortality data in the FOURIER cardiovascular outcomes trial of evolocumab in patients with cardiovascular disease: a reanalysis based on regulatory data」

「心血管疾患患者におけるエボロクマブのFOURIER心血管アウトカム試験における死亡率データの復元:規制データに基づく再分析」(原文はここ

One thought on “LDLコレステロールは低いほど良い?

  1. 医療業界に限らず
    既得権益は手放し難いとおもいますが、
    せめて自分自身は納得できる
    生き方を目指したいです。

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