子宮内のプログラミングにより、筋肉の繊維の種類の比率も変わると言われています。
タイプIの繊維は、低速の繊維で、ミトコンドリアの数が多く、疲労しにくい繊維です。好気性代謝サイクルを通して大量のATPを産生することができるので、繰り返しのある低いレベルの収縮、つまり持久力のある筋肉ということになります。マラソンなどの持久力の必要な競技ではこの筋肉が多い方が有利です。
タイプⅡは2種類あり、タイプIIaの繊維は、比較的多数のミトコンドリアがあり、好気性と嫌気性代謝の両方を利用して、速い速度でATPを産生します。速く強い筋肉収縮が可能ですが、タイプI繊維よりも疲労しやく、陸上で言えば中距離タイプです。
タイプⅡx(Ⅱb)は解糖を利用した速い動きの繊維です。ミトコンドリアも非常に少ないと言われています。嫌気的な代謝でATPを生成しするので、短時間で高速のパワーが得られますが、急速な疲労を引き起こします。
低体重で生まれてくると、タイプIIa繊維の減少(22%)の代わりに、IIx繊維の割合の増加(66%)していました。 I型繊維の割合に有意な変化(16%)はありませんでした。さらに、IIa線維の平均面積は増加し(29%)、I型繊維についても同様に増加する傾向(17%)でした。
インスリン感受性はI型繊維の割合と相関すると言われています。肥満は筋繊維の面積と正の相関があり、タイプIおよびIIa繊維の面積の増加はインスリン抵抗性と関連があると考えられています。
筋肉繊維の組成の面からも低体重で生まれてくると、インスリン抵抗性が高く、糖尿病になりやすいと考えられます。
しかし、スポーツの面からみると低体重児はタイプIIx繊維の割合が増加しているので、短距離のスプリンターや重量挙げなどのスポーツに向いているかもしれません。持久走は苦手かもしれません。
もちろん、筋肉の組成は生まれてからのトレーニングでも比率が変わるので一概には言えませんが、生まれながらに向いているスポーツは、実は子宮の中で決まっているのかもしれません。
「Altered Skeletal Muscle Fiber Composition and Size Precede Whole-Body Insulin Resistance in Young Men with Low Birth Weight」
「低体重の若年男性における全身のインスリン抵抗性に先行する骨格筋繊維の組成およびサイズの変化」(原文はここ)