以前の記事「更年期に出現するホットフラッシュや発汗などの血管運動神経症状はインスリン抵抗性に関連する」でも書いたように、ホットフラッシュは心血管疾患に関連があるようです。
IMTというのを聞いたことがあるかもしれませんが、頚動脈の内膜中膜複合体の厚さを意味しています。中でも頸動脈はアテローム性動脈硬化の好発部位で、その内膜中膜複合体の厚さは動脈硬化の進行程度と比例すると言われています。つまりIMTが厚いほど心血管疾患のリスクが高くなる可能性があるのです。もちろん1回のIMTだけではすべてのことはわかるわけではありませんが。
ひとつの研究では過体重または肥満の女性だけに関連しているようでしたが、もう一つの研究は体重と関連はありません。2つの研究ともホットフラッシュの頻度が高い人ほどIMTが厚いことを示しています。(図は原文より)
上の図では正常の体重は点線で、過体重が□、肥満が▲です。
ホットフラッシュがない人は左、真ん中は週に1~5日、右が週6日以上です。
下の図はホットフラッシュの頻度を4つに分類し、Q1が最も少ない群、Q4が最も頻度の多い群です。
「Hot Flashes and Carotid Intima Media Thickness among Midlife Women」
「中年女性のホットフラッシュと頸動脈内膜中膜複合体の厚さ」(原文はここ)
「Menopausal Hot Flashes and Carotid Intima Media Thickness Among Midlife Women」
「中年女性の更年期のホットフラッシュと頚動脈内膜中膜複合体の厚さ」(原文はここ)
さらに、
「Hot flashes and subclinical cardiovascular disease: Findings from the Study of Women’s Health Across the Nation Heart Study」
「ホットフラッシュおよび無症候性心血管疾患:国家心臓研究における女性の健康研究からの所見」(原文はここ)
では、血管の拡張性の低下、大動脈の石灰化(どちらも心血管疾患のリスクが高いことを示す)とホットフラッシュが関連していました。
更年期のホルモンの変化によって起こるのではと考えられていたホットフラッシュですが、そのホルモンの関連を調整してもなお、ホットフラッシュと心血管系疾患の関連は認められるようです。
ホットフラッシュのメカニズムは未だに正確なところは解明されてはいませんが、前回の記事と合わせて考えると、高インスリン血症と高血糖などによる動脈硬化が十分関連していると考えられます。つまり、糖質過剰摂取が最も疑わしい原因の一つでしょう。もちろん女性ホルモンも十分関連しているはずです。
いずれにせよ、ホットフラッシュの頻度が多い方は十分な注意が必要です。糖質制限で改善する可能性があるので、まずは試してみてください。