以前の記事「PPI(プロトンポンプ阻害薬)にさよならを! またまたPPIの悪い情報」では、PPIによって脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなることを書きましたが、今回の研究ではPPIによって胃がんのリスクが増加するという内容です。しかも、ちょっと増える程度ではなく、3年間で8倍です!
「Long-term proton pump inhibitors and risk of gastric cancer development after treatment for Helicobacter pylori: a population-based study」
「ヘリコバクターピロリの治療後の長期プロトンポンプ阻害薬と胃癌発生のリスク:集団ベースの研究」(原文はここ)
この研究ではヘリコバクターピロリの感染は胃がんの原因と考えられています。そのヘリコバクターピロリの除菌治療を行った後、胃がんになるリスクがどのようになるかを調べています。
追跡期間の中央値は7.6年です。追跡期間の間に639,397人のうち153例(0.24%)が胃がんを発症しました。胃がんのリスクは、PPIを使っていた人は非使用者と比較して2.44倍でした。H2ブロッカーの使用と胃がんの関連は認められませんでした。さらに、PPIの使用期間で比べると、非使用者と比較して、1年以上のPPIの使用で胃がんのリスクが5.04倍、2年以上で6.65倍、3年以上では何と8.34倍にもなってしまいます。
これでは何のために除菌したかわからなくなります。
もちろん、絶対的なリスクは0.24%と低いです。そして、もしかしたらPPIを使用しなければならないような人はもともと胃がんのリスクの高い人なのかもしれません。
しかし、PPIはがん細胞の増殖を引き起こすガストリンと呼ばれるホルモンを刺激すると考えられています。
今飲んでいるPPIは本当に必要ですか?無駄にダラダラ飲む薬ではありません。胃は胃酸を出すようにできた臓器です。その胃酸は非常に重要なものです。それが出ないように無理やりする薬があなたの体のためになり続けることはありません。