カルシウムとビタミンDのサプリメントは大腸がんの前段階のポリープのリスクを上昇させるかもしれない

大腸鋸歯状病変は以前は癌化しないと考えられていた時期もありましたが、現在は前癌病変であると捉えられています。大腸の鋸歯状ポリープの病因はまだわかっていないようですが、大腸の鋸歯状病変のリスクをサプリメントが大きく増大させるという研究が発表されました。

しかも、それはカルシウムとビタミンDという、現代人に不足しているとして、サプリメントの摂取を推奨する人も多いものです。

ビタミンDサプリ単独では有意差は認めませんでしたが、カルシウムサプリメント単独ではリスクが2.65倍、ビタミンD+カルシウムサプリではなんと3.81倍にも増加しました。治療段階の間に大腸鋸歯状病変があった人を除いた分析では、さらにリスクが上がり、カルシウムサプリ単独で2.99倍、ビタミンD +カルシウムサプリで4.56倍となりました。

そして、治療段階では、ベースラインのビタミンD濃度、食事中のカルシウム摂取量、性別、人種、BMI、アルコール使用またはNSAIDsまたはアスピリンの使用ではリスクは大きく異なりませんでした。喫煙はカルシウムサプリメントの効果を上昇させ、リスクは2.16倍になりました。

観察段階では、女性のリスクが上昇し、2.62倍になりました。

血清ビタミンD濃度と食物カルシウム摂取量のリスクとの関連性は治療段階でも観察段階でも認められませんでした。

これは現在、骨粗しょう症予防として、女性がカルシウムとビタミンDのサプリを服用している場合があるので非常に注意が必要です。さらに喫煙が重なれば非常にリスクが高いことになります。昨年のJAMAにカルシウムとビタミンDのサプリメントは骨折を予防しないとも報告されていました。(その研究の原文はここ

糖質制限をしているのに、日常でもサプリメントの使用を推奨する方もいらっしゃいます。狩猟採集生活では糖質をほとんど摂っていなかった、と言いながら一方では狩猟採集の時代にはあるはずもないサプリメントを勧めるのはちょっと疑問があります。人間に必要な栄養素だからと言って、それが食材に含まれている状態と、サプリメントで摂った状態では果たして同じでしょうか?食材に含まれている栄養素は量は少ないと考えられますが、サプリメントはその栄養素が非常に高濃度です。非常に大量の単一の栄養素が体に入ってきた場合に、食材として入ってきた栄養素と体の反応や代謝は同じだとは思えません。

工業製品の栄養素と食材に含まれる栄養素は本当に一緒でしょうか?構造式が一緒であれば工業製品でも、食材の栄養素も同じだという人はいますが、本当のところはわかりません。食材の栄養素は他のいろいろなものと混ざっています。その中で何か有益な反応が起こって初めて有効な栄養素となる可能性すらあります。

また、100%に近いビタミンのサプリメントは中国製です。(「ビタミンのサプリメントの「ビタミン」はどこから来るの?」参照)そのほかのサプリメントも似たようなものかもしれません。人間の口に入れるものとは思えないものを平気で売っている中国です。私はちょっと中国製のサプリメントは怖い気がします。さらに、本当にそのサプリの中の栄養素は本物なのでしょうか?純度が高いのでしょうか?一般人には調べようもなく、本当にちゃんと成分が含まれているのかも心配です。

サプリメントなんかに頼らず、ちゃんとした食事をして健康な生活をしましょう。

 

「Calcium and vitamin D supplementation and increased risk of serrated polyps: results from a randomised clinical trial」

「カルシウムとビタミンDサプリメントと鋸歯状ポリープのリスク上昇:無作為化臨床試験の結果」(原文はここ

要約

目的 無茎性の鋸歯状腺腫またはポリープ(SSA / Ps)などの鋸歯状病変は重要な結腸直腸癌前駆細胞であるが、これらの病変の病因はほとんど分かっていない。我々は、一般的な鋸歯状ポリープ(SPs)および過形成性ポリープおよびSSA / Psの発生率に対するカルシウムおよびビタミンDサプリメントの効果を具体的に決定することを目指した。

デザイン ベースラインで1つ以上の腺腫を有する参加者を、1200mg /日のカルシウム、1000IU /日のビタミンD3、いずれかまたは両方のサプリメントを摂取するように無作為化した。治療は3年または5年間継続し、ポリープのリスクが監視のための大腸内視鏡検査(治療段階)から決定された。治療終了後のアウトカムも評価した(観察段階)。SPsの調整されたリスク比は、多変量一般化線形モデルを介して決定された。

結果 SPsと診断されたのは、治療段階の間に2058人の参加者の565人(27.5%)、および観察段階中に329人/ 1108人(29.7%)であった。フォローアップ中に合計211のSSA / Psが同定された。治療段階では、SSA / Psの発生率に対するカルシウムまたはビタミンDの効果はなかった。しかし、後の観察段階では、カルシウム単独およびカルシウム+ビタミンDの投与とSSA / Psの関連では、リスク比が2.65および3.81と上昇した。

結論 カルシウムおよびビタミンDのサプリメントがSSA / Psのリスクを増加させるという証拠が見つかった。これはサプリメント開始後6〜10年という遅発効果であるように思われた。これらの可能性のあるリスクは、カルシウムおよびビタミンDのサプリメントの利益に反して重視されなければならない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です