「ヘルシー」な食事というときの、「ヘルシー」って何でしょう?もちろん健康的という意味ですが、どのような尺度で健康的だというのかは決まっていません。必須の栄養素が含まれている種類の多さなのか、必須の栄養素の全体に対する割合なのか、それとも100g当たりの量なのか、全く定義がありません。
しかし、漠然としているにも関わらず、食品業界は消費者に買わせるために「ヘルシー」を乱用しています。それに歯止めをかけるのは本当は栄養学だと思いますが、この栄養学も人間を扱っている以上非常に不確定な学問であることは確かです。
医学は数学や物理学のように、決まった法則などで答えが一つだけ求められるようなものではありません。個体差も大きく、様々な要因で影響を受けることから、絶対的なことが言えません。栄養学も人間の体を作る素になる栄養素の学問であるので、当然個体差、様々な要因に影響を受けてしまいます。
それなのに、「ヘルシー」という言葉を一部の栄養士はメディアなどで乱発しています。そして、いまだに低カロリーや低脂肪が「ヘルシー」だと洗脳を続けています。
ニューヨークタイムズの以前の記事で、アメリカの栄養学会の数百人のメンバーにアンケートを取った内容が載っていました。一般の人との認識の違いを書いています。その結果を見ると、日本だけではなくアメリカの栄養学も非常に貧弱な学問であるかのように見えてしまいます。
栄養士の答えを見ていると、グラノーラは半分近くが健康的な食品と答えていますし、オレンジジュースが健康的と答えたのは6割を超えます。寿司は75%もの栄養士が健康的と答えており、和食は「ヘルシー」というイメージがあるのでしょうか?それとも魚が「ヘルシー」なのでしょうか?わかりませんが、お米をたっぷり食べる寿司はアメリカの栄養士にとっては健康的な食事のようです。
驚くのはポップコーンが健康的と答えている栄養士が6割を超えることです。なぜポップコーンが「ヘルシー」なんでしょうか?
逆に良い意味で驚いたのはWhite bread(白パン)いわゆる食パンについてです。健康的な食品と答えた栄養士は15%であり、一般の人でも18%でした。アメリカでは精製された小麦からできるパンは不健康だということがすでに定着しているようです。日本がまだお米を崇拝しているのとは対照的です。ハンバーガーが健康的と考えている栄養士が28%で一般人が29%であることを考えると、食パンの方が体に悪いと考えられていることがわかります。でも、ハンバーガーのバンズはパンなんですが…?恐らくハンバーガーは一緒に肉と野菜をはさんで食べるので単独のパンよりは「ヘルシー」なんでしょう。
しかし、焼きポテトは7割以上の栄養士が健康的だと答えています。パンとどう違うのか、栄養学的な説明をしてほしいですね。
グラノーラバーを健康的だと答えた一般人が7割を超えており、企業の戦略が上手く行っていることを示しています。メディアももちろんスポンサーが第一ですから、企業の利益に合わせ、一般の人の健康なんてどうでも良いのでしょう。
また、リンゴやオレンジといった果物はほぼ全員が健康的な食品と考えています。果糖がたっぷり入った果物を手放しで「ヘルシー」というのは危険だと思いますが。
(下の図は記事より)図の縦軸は栄養士が健康的と答えた割合で、横軸は一般人が健康的と答えた割合を示しています。日本でもこのような調査をしてみたいですね。
しかし、そろそろ「ヘルシー」「健康的」という言葉を使う際の規定を作るべきではないでしょうか?…いや、作らない方が良いですね。なぜなら、それを作る人たちは恐らく古典栄養学、栄養なんて良くわかっていない医師、自称専門家、企業からお金をもらっている人たちだと思いますから、変な規定ができてしまいます。
やはり、自分で考えましょう。
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