British Journal of Sports Medicine の記事に次のようなものがありました。
肥満の主因は運動不足ではなく、砂糖と炭水化物、と専門家の見解
2015.5.11 リンクデダイエットより抜粋・改変
運動不足ではなく、過剰な糖分や炭水化物が肥満流行の主因ではないか、というエディトリアルが『British Journal of Sports Medicine』に発表された。
著者らは書いている。「定期的な運動は、深刻な疾患、たとえば糖尿病、心血管疾患、認知症などのリスクを低下させるための鍵となる因子であるが、我々の高カロリーな食事が、不活発であることや飲酒、喫煙などの組み合わせ以上に健康悪化の要因を作り出している。」
最新のエビデンスはいまや普通体重の者でも40%近くが肥満に特徴的だったはずの代謝異常にみまわれる可能性を示唆しているという。
だが、このことに気付いている人はほとんどおらず、大部分の人が間違って肥満(に関連する疾患)は運動の欠如だけが原因だと信じており、これは企業によるマーケティングにルーツがあるという。
著者らによれば、これは肺がんはタバコと関係がないことを国民に納得させるための努力を続けているたばこ産業に似ているという。
「セレブと加糖飲料、スポーツイベントとジャンクフードといった関係は終わりにしなければならない」と著者らは述べている。「健康ハロー効果による栄養の欠如した製品の正当化は、誤った認識を消費者に植え付けるし、非科学的でもある。」
公衆衛生上のメッセージは、健康な体重を維持するためにあまり役に立たないという。問題はカロリーの元になる食べ物であると著者らは指摘する。「糖分由来のカロリーは体脂肪の蓄積と飢餓感を増幅する。脂肪由来のカロリーは満腹感をもたらしてくれる。」
同カロリーの脂質と比べて、糖分は150kcal増えるごとに糖尿病の有病率が11倍上昇する、と著者らは述べている。
いまや、炭水化物なら良いというわけではなくなった、と著者らは言う。研究の示すところでは、炭水化物の摂取制限は、単一の最も効果的なメタボリック症候群の改善法であり、糖尿病の最初治療戦略としても優れている。たとえ体重が減らなくても有益だというのである。
別の研究では、運動選手でも運動前の炭水化物より高脂肪低炭水化物食の方が効果的であることが示されているという。
「いまや、運動不足と肥満の神話を打ち壊す時だ」と著者らは結論している。
糖質制限をしているので、内容としては当たり前のことばかり書いてありますが、ちゃんとしたスポーツ医学の雑誌にこのような内容が書かれることが重要です。
よく、外来で診察していると、肥満について「最近あまり動いてないからね」とか「運動不足だから」という言い訳を言う人が非常に多いです。しかし、話の分かりそうな人には「運動じゃなく、食事のせいですよ。炭水化物・糖質を減らせば体重は減りますよ。」と説明している。
ここで書かれた内容で特に興味深いのは、糖質由来のカロリーは飢餓感を増幅するという部分。糖質制限をしていると、結構いっぱい食べた後にちょっとだけ糖質を摂ると、非常にお腹が減るのです。糖質はさらなる糖質摂取を促している気がします。こうしてみんな糖質を摂りすぎて太っていくんですね。
もういい加減、「脂肪を摂ると太る」というフレーズはやめましょう。現実を見ましょう。利益最優先の企業や頭が古い医者の言うことは聞き流してください。