2020年の東京オリンピックのマラソンは8月2日(女子)、9日(男子)に行われますが、暑さを考慮して朝7時スタートに決まりました。本当はもっと早い時間の方が良いと思いますが、本当の理由はテレビ中継をするので、視聴率の問題でしょう。選手よりもビジネスでしょう。
しかし、この連日の暑さを考えると7時の時点ですでに30度を超えているのでは?と思ってしまいます。実際の気象庁の情報では2018年7月19日の朝7時で29.2度、8時で29.8度、9時で31.2度でした。つまり今日が本番ならば、後半戦は30度以上の中でレースが行われていることになります。マラソンを行う気温ではありません。
毎年出ている夏のマラソンである北海道マラソンは、夏とは言え、所詮北海道の夏の終わりです。20度中盤前後に気温で、湿度も低いことがほとんどです。20度後半の気温になることもありますが、東京の蒸し暑さとは違います。東京の夏にランニングをしたことがありますが、早朝でも暑い!汗のかき方が違います。
このような異常な暑さの環境でパフォーマンスを発揮できない選手が続出するかもしれません。逆に言えば、日本人にもメダルのチャンスがあるのかもしれません。オリンピックの代表選手の選考会は是非夏に行って欲しいものです。
市民ランナーは無理をせず、走ることを心掛けましょう。
熱中症予防の運動のガイドラインとしては湿球黒球温度(WBGT)というもので分類しています。しかし、これを通常は測定していないので、乾球温度は気温と同じなのでそれで代用します。この乾球温度とWBGTの関係を式にすると、WBGT =0.80 ×(乾球温度)+ 2.81 だそうです。気温30度だとWBGTは約26.8度です。下の図は環境省の熱中症環境保健マニュアルからのものです。若干乾球温度とWBGTの関係式がかみ合っていませんが、気温30度は「警戒」というところに当てはまります。
警戒は30分おきに休憩を取れ、と書いています。オリンピックのマラソンも30分おきにブレイクを入れるべきでしょうか?最近各地で問題になっている35度以上のときの外での活動ですが、運動は原則中止になっています。特に子供は中止にすべきだと。31度以上でも体力がなかったり、暑さに慣れていない場合は運動を中止としています。しかし、暑さに慣れた子供であればこんな時にも走り回っていますね。様々な状況の子供がいるので、学校の行事や授業としては中止の方が今の時代は良いのかもしれません。しかし、高校野球は相変わらず酷暑の中、虐待のように続けられています。こんな夏ではなく、秋にやればいいのに。日本人は根性論がいまだに好きなので、子供たちはその犠牲になっているのでしょう。
上の図は運動時の熱中症発生と気温や湿度の関係を表しています。気温が低い例もありますが、多くは気温が30度を超えると湿度が低くても、かなりの死亡例も出ています。逆に湿度がかなり高い場合には20度台でも熱中症で死亡する場合もあるようです。
いずれにしても、2020年の東京オリンピックは真夏です。マラソン以外にも屋外で行う競技はいっぱいあります。そのどれもが、この酷暑の中で行わなければなりません。どれほどのパフォーマンスが発揮できるかは、もちろん選手次第で、オリンピックに合わせて調整するのでしょうが、選手のことを本当に考えるのであれば、冬のオリンピックに、雪の降らない都市で、屋外競技をやれば良いのではないでしょうか?夏のオリンピックは屋内競技だけです。それとも、夏のオリンピックは南半球の都市しかやらないとかいうのも良い考えではないでしょうか。
東京でオリンピックが行われるので良いのですが、選手にとって何かあまり良い環境で勝負できないのはかわいそうな気がしてなりません。