卵を食べよう!認知症の観点から

いまだに卵を避けるように推奨する医師や栄養士がいることには驚かされますが、もしかしたらそのような根拠のない卵摂取制限が認知症と関連しているかもしれません。

血中のコレステロールは、食事によるコレステロール摂取とはほとんど関連していないにもかかわらず、コレステロールの摂り過ぎ、卵の摂り過ぎが心血管疾患や認知症のリスク増加に関連しているのではと考える人もいます。

コレステロールの摂取量や卵の摂取量と認知機能を調べた研究があります。(表は原文より改変)

 

コレステロール摂取量 mg/d卵の摂取量 g/d
1(<331)2(331-387)3(388-458)4(> 458)1(<14)2(14-25)3(26-43)4(> 43)
BMI26.726.627.027.127.026.826.826.8
血清総コレステロールmg/dL223.6227.4229.3232.4230.9229.0225.1227.8
血清LDLコレステロールmg/dL151.4155.6157.9160.2157.5157.5154.8155.6
血清HDLコレステロールmg/dL48.649.849.851.049.449.449.851.0
血清中性脂肪 mg/dL126.5116.8110.6110.6126.5115.9113.3108.8

上の表を見ると、コレステロールの摂取量が最も多い群が、総コレステロール、LDLコレステロールが有意に高いことがわかります。食事の影響はほとんどないと言われていますが、ここで有意差が出ています。

しかし、良く見てみると、コレステロールの摂取量が多いとHDLコレステロールも増加しています。そして中性脂肪は低下しています。これは非常に望ましい変化です。心血管疾患のリスクが低下します。

卵の消費量では総コレステロールやLDLコレステロールの差は認められませんでしたが、コレステロールの摂取量と同様に、卵が多いほどHDLコレステロールが増加し、中性脂肪は低下しています。以前の記事「大量のコレステロールを摂るとどうなるか? その2」で示した通り、卵はHDLコレステロールを増加させると考えられます。

そして、認知機能に関しては卵の摂取量が多いほど、トレイルメイキングテスト(前頭葉機能のテスト)と言語流暢性テスト(前頭葉機能、特に左前頭葉のテスト)のパフォーマンスが向上しました。

また、食事中のコレステロール摂取量の増加も卵消費量の増加も、認知症のリスクの増加との関連していませんでした。

逆に、1日に100mgのコレステロールの摂取量の増加は認知症のリスクを10%低下させ、1日に0.5個の卵(27g)の摂取量増加は認知症のリスクを11%低下させていました。

卵は栄養の宝庫です。そして、コレステロール値は高いほど長生きです。古典栄養学に囚われている医師や栄養士の指導はあなたを健康にするかどうか、よく自分で考えてください。

 

「Association of dietary cholesterol and egg intakes with the risk of incident dementia or Alzheimer disease: the Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study」

「認知症またはアルツハイマー病のリスクと食事からのコレステロールおよび卵の摂取との関連:クオピオ虚血性心疾患リスクファクター研究」(原文はここ

12 thoughts on “卵を食べよう!認知症の観点から

  1. いつも先生のブログで勉強させていただいています。産業保健師をしています。ある運送会社の健康管理をするようになりましたが、日本の未来か心配になります。 肥満、血糖コントロール不良、高中性脂肪、高γgtp。長時間の運転、渋滞時はおにぎり、菓子パン、夜は酒を飲んで寝る!という生活の繰り返し! 先日も健診でa1cが13.4という見たことない数字に寒気がしました。 コンビニ食が全て糖質制限になリますように

    1. ユージーンさん、コメントありがとうございます。

      正直言って、現在の中高年の方の健康状態はかなり厳しい人も多いと思います。
      栄養指導も恐らくは古典栄養学ですから、健康にはなりませんので。
      産業保健師さんが糖質制限を広めて、活躍していただけると日本の未来が明るくなると思います。
      ただ、本人がやる気にならなければ無理ですが…

  2. 96歳の母がいます。7月初め頃から食欲が低下し、寝っ転がる日が多くっていたのですが、卵焼きとトリのムネ肉を少し、毎日食べさせたところ、元気を回復し、掃除と洗濯は自分でする様になりました。卵は卵とじにもします。考えるのも面倒くさそうでしたが、最近は返事も明快です。年寄には卵を実感しました。

    1. ユージーンさん

      卵が不健康という洗脳を解くのは非常に難しい場合が多いですが、お母さんがお元気になられて良かったですね。
      患者さんでも卵や肉を食べるようになっただけで、どんどん元気になり、認知症状が改善する方もいらっしゃいます。

  3. 卵には、オメガ6系脂肪酸のアラキドン酸が豊富に含まれているようです。

    アラキドン酸は体内でリノール酸からも合成されますが、現代人はリノール酸を過剰摂取している状態であり、アラキドン酸もたくさん合成されていることでしょう。
    そのうえ、肉や卵をたくさん摂ることで、身体がアラキドン酸が溢れている状態になります。
    多すぎるアラキドン酸は炎症の元となり、あらゆる病気の大きな原因になっていると言われています。
    http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/document/topic8.pdf
    「何事も過ぎたるは及ばざるが如し」と言うように、程々が肝心。

    卵を食べる量も、1日2個とか、そのくらいに留めておくのが安心だと思います。

    1. 庄治さん、コメントありがとうございます。

      もちろん、魚を食べて、オメガ3もたくさん摂取することが重要です。
      卵1個が良いのか、2個が良いのか、5個が良いのかはもちろんわかりません。
      しかし、コレステロールが多いという理由で卵を避ける弊害は非常に大きいと思います。

      また、オメガ6は摂り過ぎですが、アラキドン酸も脳に重要な栄養素ではないかと考えられています。

  4. オメガ3とオメガ6は拮抗関係にあるので、オメガ6摂取量が多すぎると、
    せっかくのオメガ3の健康効果を打ち消してしまいます。
    なので、健康のためにはオメガ3の豊富な食品を意識的に摂るだけでなく、
    あまりにも多すぎるオメガ6摂取量を減らすことが肝要です。

    私は、卵を避けるべき、卵を一切食べるべきではない、とは考えていません。
    コレステロールうんぬんはどうでもいいです。
    ただ、卵の摂取量は程々にしておくべきだと思います。

    何故そんなコメントをしたかというと、この記事が
    「卵はいくら食べても問題がない」「卵を食べる量が多いほど健康に良い」
    という印象を持たせる内容だからです。
    毎日鶏卵を食べると仮定して、1日に何個食べるのが理想だとお考えですか?

    確かに、卵は健康に有益な点が多い栄養価の高い食品ですが、
    「アラキドン酸が豊富」という負の面も留意すべきでしょう。

    1. 庄治さん、

      おっしゃる通りです。オメガ6の摂取量を減らすことは肝要だと思います。
      ただ、卵を何個食べるかは、他に何を食べるか次第です。

  5. もともと蕁麻疹がでやすいのですが、この夏、卵を一日4個ぐらい食べ続けておりましたところ、非常にあちこち痒くなることが多く、なんでだろうと疑問に思っておりました。ちなみに卵アレルギーではありません。オメガ6が過剰になり炎症が起こりやすくなっていたんですね。亜麻仁油を摂取しておりますが、足りなかったのでしょう。納得しました。卵減らします。

    1. Yさん、コメントありがとうございます。

      卵に限らず、グラスフェッド以外の肉はオメガ6の方がかなり多くなりますし、ナッツも同じです。
      魚などの摂取量との兼ね合いが大切かもしれません。

      1. 横やり質問でごめんなさい。
        魚魚魚・・・と、かなり魚摂取に重きを置いていらっしゃるようですが、オメガ3の観点からは、そうかもしれませんが、魚に含まれる水銀については、いかがなものなのでしょうか・・・ものによって差異はあるでしょうが、現在の海洋汚染から鑑みると、毎日食すことに不安があるですが・・・先生はどのようにお考えでしょうか。
        また、毎日食すとして、どのくらいまでが許容範囲とお考えでしょうか?

        1. ponさん、コメントありがとうございます。

          確かにおっしゃる通りです。配慮に欠ける記述もありましたので、申し訳ありません。
          食物連鎖を考えて、マグロなどを毎日食べることは問題だと思いますが、
          水銀の少ない魚介類を1人前程度なら、ほぼ毎日でも問題ないのではと考えていますが、
          心配なら週3日程度にとどめておいてください。

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