もう一度新型インフルエンザの年を振り返ることにより見えてくるもの

2009年~2010年に新型インフルエンザで世界中がパニック(?)になりました。そのときのインフルエンザに関するデータは非常に詳細に発表されていたので、非常に参考になります。

平成22年5月12日 厚労省発表のデータ

これを見ると、新型と言いながら、実際には15歳以降の人には免疫ができているように見えます。14歳以下の人にとっては新型だったのかもしれません。新型インフルエンザはH1N1でスペイン風邪(1918年)と同じタイプです。スペイン風邪のときに免疫を獲得した高齢者はもうほとんど生きていないことを考えると、その後にもH1N1がどこかで何度か流行していたと思われます。それとも別の理由が考えられますがそれは別の記事で書きます。

このシーズンのワクチンは急造し、リスクが高いということで高齢者にも率先して接種されました。結果的には高齢者の患者は年齢の割には非常に少ない状況でした。新型インフルエンザワクチン接種後の死亡数はどうなったでしょうか?

死亡例 (平成22年3月26日  厚労省発表のデータ)

(11月13日~3月24日報告分) 合計131人(最終的には133人らしい)

性別  男 82人(62.6%) 、女49人(37.4%)

年齢別 

年齢人数 (割合%)
0~9歳3人 (2.3%)
10~19歳1人 (0.8%)
20~29歳0人 (0%)
30~39歳3人 (2.3%)
40~49歳1人 (0.8%)
50~59歳4人 (3.1%)
60~69歳15人 (11.5%)
70~79歳38人 (29%)
80歳以上66人 (50.4%)

つまり、新型インフルエンザそのもので亡くなった方は199人ですが、インフルエンザワクチン接種後に亡くなった方は133人にものぼるのです。もちろんワクチンによる死亡が全て因果関係がわかるわけではありません。(厚労省の見解では、予防接種を受けたことによるものと疑われるとして報告された死亡例はたった3例です。)しかし、死亡者のほとんどが高齢者であり、ほとんどがワクチン接種後数日で亡くなっているのです。

このシーズンのインフルエンザはほとんどが新型インフルエンザと言われていました。日本では通常年間でインフルエンザで亡くなる方は約1万人などと推定されています。しかし、その数字の出所ははっきりしません。厚労省の発表した新型インフルエンザの死亡数は199人です。恐らく2次感染の肺炎などを含めるともっと多いのかもしれませんが、それにしても1万人は多すぎだと思えます。

アメリカでも推計で3万6,000人だそうですが、2010年のインフルエンザによる年間死亡者数は500だという発表もあります。カナダでも年間のインフルエンザ死亡数は350人を超える年はなく、インフルエンザによる入院数が全国で7000人を超えることもありませんでした。

つまり、推計の死亡数はあまりにも実態とかけ離れていると思われます。不安を煽り、パニックに陥れようとしているのかもしれません。それによりワクチン接種数が増えれば、誰が喜ぶのかははっきりしています。

確かに季節性インフルエンザワクチンの効果はゼロではないでしょう。ただ、ワクチンは本当に利益をもたらすのでしょうか?新型インフルエンザのワクチンは、利益より害の方が多かったとしか思えません。

我々医療機関で仕事をしている人は、半強制的にワクチン接種を迫られるところもあります。非常に少ないにしても、死亡例があり、重篤な副作用も認める注射を強制することは問題です。集団免疫ということを言われることがあります。集団免疫とは、多くの人が予防接種によって免疫を獲得することで、感染症の蔓延が防止できる間接的な予防効果のことですが、インフルエンザワクチンで得られる免疫は、感染防止ではないので、症状が軽くなることで逆にインフルエンザ感染に気が付かずに、感染を広めてしまう可能性も否定できません。また、インフルエンザについて集団のために自己を犠牲にする必要もないと思います。

当然私は患者さんに私の方から勧めることは絶対にしません。それぞれが自分で考えて選択すべきです。

例えば「妊婦さんは要注意!インフルエンザワクチンで流産のリスクが急上昇するかもしれない!」で書いたような報告もあります。

どんなことが起きても「因果関係ははっきりしていない」と逃げられてしまいます。実際に因果関係をはっきりさせることは困難です。問題が起きてから救済措置があっても、取り返しがつかないこともあります。だからこそよく考えるべきです。インフルエンザを発症して数日で亡くなればインフルエンザによる死亡となりますが、インフルエンザワクチン接種で数日後に死亡した場合は、因果関係はっきりせずとなります。変ですよね。「ワクチン=安全なもの」と誰かに決められているようです。インフルエンザワクチンは、ほとんどの人には影響は少なく見えるものであるかもしれませんが、一部の人には大きな影響を与える可能性のあるものだという認識が必要だと思います。自分がどちらに当てはまるかはわかりません。非常に少ないながらもごく一部の人には有害なことが起きているのです。

手術も同じです。何かの手術を受けた場合、その手術で有害事象が起きる確率はゼロではありません。一部の人には何か問題が起きているのが現状です。医療行為は不確定なのです。絶対安全ではありません。ましてや人間の免疫機能に影響を与えるワクチンが絶対安全ではありません。だから、それぞれの人が自分にとって必要かどうかを考えるべきでしょう。

インフルエンザワクチンは妊婦さんでも小さな子供でも安全だといわれていますが、上のような妊婦さんの流産の報告を見れば、そうとも言えないのではないでしょうか?また、ワクチンで感染が予防できるわけではないので、リスクをちゃんと知る必要もあると思います。ワクチンによって感染は予防できないが、重症化を防げるということをよく聞きますが、重症化を防げるというエビデンスは見たことがありません。どなたかエビデンスを知っていたら教えてください。

もちろん私は全てのワクチンを否定するつもりはありません。ワクチンによって人類が享受した恩恵は非常に大きいものがあります。

しかし、どうしてもインフルエンザワクチンはしっくりきません。インフルエンザワクチン以外はワクチンというものは一生に1回~数回接種すれば良いのに、インフルエンザワクチンだけはなぜか毎年です。

インフルエンザウイルスは変化のスピードが速くて、それに対応するためだとも言われています。ワクチンは毎年流行を予想して製造されます。本当かどうかはわかりませんが、予想が外れても50%ほどの効果があると言われています。そうであるならば、一度ちゃんとインフルエンザに感染した人は免疫を獲得して、毎年ウイルスが変化しても自己の免疫でも50%ほどの対応ができるはずです。

実際にはインフルエンザワクチンは免疫系に問題を起こす場合もあるようです。以前の記事の妊婦さんの報告でもあったように、連続で接種する方が問題が起きることが多いかもしれません。万が一インフルエンザワクチンが季節性のインフルエンザに対して重症化を防ぐ効果があったとしても、それ以上に問題が起きる可能性もあるのです。それについては後日記事にします。

次回は、実際にワクチンがどれほどの効果があるかを記事にしたいと思っています。

2 thoughts on “もう一度新型インフルエンザの年を振り返ることにより見えてくるもの

    1. ジェームズ中野さん、コメントありがとうございます。

      いわゆる「セカンドミール効果」の話ですね。糖質制限をしていない人であれば、多少は効果がある可能性があります。
      しかし、糖質制限をしている人には全く関係ない話です。いずれにしても大きな効果は期待できないのではないかと思います。
      いつか記事にしたいと思います。

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