慢性心不全の予後というのは非常に多因子性だと考えられますが、コレステロールが悪者に思っている人にとっては、高コレステロールも心不全にとって悪いのではないかと考えてしまうでしょう。
慢性心不全の人とコレステロールの関連はどのようになっているでしょうか?(図は原文より)
上の図は総コレステロール値で、4つの群に分けたものです。横軸が経過時間(月数)で、縦軸が生存率です。つまりグラフが下に行けば行くほど死亡率が高いことになります。そうすると、明らかにコレステロール値が最も高い群が最も生存率が高いことがわかります。コレステロール値が低い人では3年間で半分近くが無くなっているのに、コレステロールが非常に高い人は3年後でも8割以上が生存しているのです。コレステロールが1mmol/L(38.7mg/dL)減少するごとに、3年以内の死亡リスクが36%増加する計算になります。
同様に総コレステロールを200前後で2つに分けても、コレステロール値が高い方が生存率が高いのがわかります。
さらに、虚血性心疾患の有無で4つに分けています。凡例の上から非虚血性で200.8mg/dL未満、非虚血性で200.8mg/dL以上、虚血性で200.8mg/dL未満、虚血性で200.8mg/dL以上です。最も生存率が高いのが、非虚血性で200.8mg/dL以上です。その次は虚血性で200.8mg/dL以上なんです。つまり虚血性心疾患の有無よりもコレステロールの値の方が生存率に関連していることになります。
高コレステロールは長生きですし、心臓だけでなく、以前の記事「慢性腎臓病とコレステロールと死亡率」にも書いたように腎臓も守ってくれているようです。
もうコレステロールが高いことを恐れる必要はありません。
「The relationship between cholesterol and survival in patients with chronic heart failure」
「慢性心不全患者におけるコレステロールと生存の関係」(原文はここ)