消費者庁は23日、日本サプリメント(大阪市)が販売する特定保健用食品(トクホ)「ペプチド茶」など6商品について、関与成分が表示通りに含まれていないなどとして、トクホの許可を取り消した。取り消しは1991年にトクホ制度が始まって以来初めて。

 許可取り消しとなったのは「ペプチド茶」「ペプチドストレート」「ペプチドスープEX」「ペプチドエースつぶタイプ」「食前茶」「豆鼓エキスつぶタイプ」の6商品。2001~05年にかけて許可された。

 消費者庁によると、ペプチド茶など4商品について、カツオ節由来の成分が必要量の100分の1程度しか含まれていなかった。同社の調査で14年3月に判明していたが、同社は今月に入って同庁に報告。同庁は悪質性が高いと判断し、許可取り消しに踏み切った。別の2商品では表示成分が含まれていなかった。同社は今月17日、これらの商品の販売を終了した。

 トクホは国が商品の試験結果を審査して許可をする。消費者庁によると、いずれの商品も申請当時は必要な含有量を満たしていたという。トクホの制度は当初、4年更新で国もその都度審査していたが、97年からは永久許可制になり申請時だけの審査に変わっている。

これは悪質な例ですが、本当に効果のある成分がサプリに含まれているか非常に疑問です。また、成分はきちんと含まれていてもそれが吸収されるかどうかはわかりません。吸収されなければ何の効果もありません。また、サプリに頼っている人の中で知らず知らずに過剰摂取になっている場合もあります。また、有効成分の原料もわかりません。中国産の激安のアミノ酸サプリでは「人毛」が使われているという本当かウソかわからない情報もあります。それ以外の普通のサプリでもそこに含まれているのは栄養素ではなく、工業製品です。つまり、人工的に作り出したものが多いのです。その人工的な工業製品である「栄養素」が本物の食品に含まれている栄養素と同じかどうかはわかりません。私は違うものだと思います。

それについての研究があります。サプリメントとしては非常にメジャーな「カルシウム」についてです。以前からカルシウムのサプリの害はいくつかの論文があるのですが、今回は10年間の観察という長期間で比較したものであり、直接の因果関係を証明できるわけではありませんが、十分サプリの危険性がわかります。食事由来のカルシウムであれば心臓に悪影響はないのですが、サプリメント由来のカルシウムでは冠動脈石灰化の度合いが10年間で22%高まったのです。

サプリメント由来のカルシウム、心臓にダメージか

2016.10.17 リンクでダイエットより抜粋

サプリメントからカルシウムを摂取すると、動脈にプラークが蓄積し、心臓にダメージを与えるリスクが高まる可能性があるという。反対に、カルシウムが豊富な食品を多く摂る食生活には心臓の保護効果があるとのこと。米国ジョンズ・ホプキンス大学の研究。

研究者らによると、今回の調査結果はカルシウムサプリメントとアテローム性動脈硬化症について観察したものであり、因果関係の証明には至らないという。とはいえ、サプリメントの潜在的有害性について増えつつある科学的懸念をさらに増すものだとし、カルシウムサプリメントを利用する際には、知識のある医師の診察を受けるよう訴えている。

米国では成人の43%がカルシウムを含むサプリメントを利用している。「ビタミンやミネラルのサプリメント、特にカルシウムは骨の健康のために摂取されており、多くの国民はたくさん摂るほど良いと思っています」と、研究者のマイコス医師は話している。「しかし、私たちの研究では、サプリメントの形態での過剰なカルシウムは、心臓や循環器系の害となるという証拠の根幹になるものです」

先行研究から特に高齢者においては、カルシウムサプリメントを摂取しても、そのカルシウムが骨格までたどりつかなかったり、尿に排出されなかったりした結果、身体の軟部組織に蓄積されていると考えられている。そのため今回の研究者らは心臓や循環器系においてカルシウムがどのような影響を持つのか興味を持っていたという。

なお、これまでに、加齢にともなってカルシウム系プラークが大動脈などの動脈に蓄積し、血流を妨げて心臓発作のリスクを高めることもわかっている。

さて今回の研究では、2700人以上を対象に食事アンケートと、CTスキャンを2回(各回の間隔は10年とした)受けてもらった。被験者の年齢は45-84歳、男女比は約半々だった。

食事アンケートでは、どのような食品からカルシウムを摂っているかを訊ねるため120の設問に答えてもらった。他に、薬やサプリメントの摂取状況についても記録した。

一日あたりのカルシウム平均摂取量によって被験者を5群に分けたところ、最も摂取量の多い群(1400mg/日)は最も少ない群(400mg/日)よりも、冠動脈石灰化の度合い(カルシウム沈着の目安となる。CT検査で測定)が高くなる可能性が27%少なかった。次に、カルシウムの供給源が食事のみの人と、サプリメントも摂取している人とで、どのような差が生じるかを分析した。

被験者の46%はカルシウムサプリメントを利用していたが、解析の結果、彼らは冠動脈石灰化の度合いが10年間で22%高まったことがわかった。これは心臓病の発症につながることを示唆している。このようなリスクの増加の原因として、研究者は「サプリメントはカルシウム塩を含むこと、または高用量のカルシウムを身体が処理しきれないこと」ではないかとしている。

一方で、食事由来のカルシウム摂取量が最も多かった群の人たちは一日平均1022mg以上だったというが、彼らに心臓病リスクの増加はみられなかったとのこと。研究者は「この証拠によれば、カルシウムの豊富な食品を含む健康的な食事を摂ることは、何の問題もないばかりか心臓に有益だともいえるでしょう。」としている。

原文は下記にあります。

Calcium Intake From Diet and Supplements and the Risk of Coronary Artery Calcification and its Progression Among Older Adults: 10‐Year Follow‐up of the Multi‐Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA)

J Am Heart Assoc. 2016; 5: e003815

Abstract

Background Recent randomized data suggest that calcium supplements may be associated with increased risk of cardiovascular disease (CVD) events. Using a longitudinal cohort study, we assessed the association between calcium intake, from both foods and supplements, and atherosclerosis, as measured by coronary artery calcification (CAC).

Methods and Results We studied 5448 adults free of clinically diagnosed CVD (52% female; aged 45–84 years) from the Multi‐Ethnic Study of Atherosclerosis. Baseline total calcium intake was assessed from diet (using a food frequency questionnaire) and calcium supplements (by a medication inventory) and categorized into quintiles. Baseline CAC was measured by computed tomography, and CAC measurements were repeated in 2742 participants ≈10 years later. At baseline, mean calcium intakes across quintiles were 313.3, 540.3, 783.0, 1168.9, and 2157.4 mg/day. Women had higher calcium intakes than men. After adjustment for potential confounders, among 1567 participants without baseline CAC, the relative risk (RR) of developing incident CAC over 10 years, by quintile 1 to 5 of calcium intake, were 1 (reference), 0.95 (0.79–1.14), 1.02 (0.85–1.23), 0.86 (0.69–1.05), and 0.73 (0.57–0.93). After accounting for total calcium intake, calcium supplement use was associated with increased risk for incident CAC (RR=1.22 [1.07–1.39]). No relation was found between baseline calcium intake and 10‐year changes in log‐transformed CAC among those participants with baseline CAC >0.

Conclusions High total calcium intake was associated with a decreased risk of incident atherosclerosis over long‐term follow‐up, particularly if achieved without supplement use. However, calcium supplement use may increase the risk for incident CAC.

これらのことは何もサプリメントに限ったことではありません。よく、「子供の成長に大切なカルシウムを豊富に配合」のような宣伝文句が書かれた、ドリンクやお菓子などが売られていますが、あれも工業製品の「カルシウム」です。原料そのものに含まれているもの以外は後から添加した工業製品の「栄養素」なのです。エナジーバーも同様です。例えば有名なカロリーメイトは「身体に必要な11種類のビタミンと6種類のミネラル、タンパク質、脂質、糖質がバランスよく含まれています」と謳っています。その内容な下記のとおりです。(公式サイトより)

カロリーメイトブロック
フルーツ味(4本入り)
●エネルギー:400kcal ●タンパク質:8.2g ●脂質:22.2g ●糖質:41g ●食物繊維:2g ●ナトリウム:310mg ●カリウム:100mg ●カルシウム:200mg ●鉄:2.5mg ●マグネシウム:50mg ●リン:80mg ●ビタミンA:225μg ●ビタミンB1:0.5mg ●ビタミンB2:0.6mg ●ビタミンB6:0.5mg ●ビタミンB12:1μg ●ナイアシン:5.5mg ●パントテン酸:2.8mg ●葉酸:100μg ●ビタミンC:40mg ●ビタミンD:2.5μg ●ビタミンE:4mg