血中の脂質に対するオメガ3サプリメントと鮮魚の効果の比較

オメガ3は非常に重要な栄養素だと考えられています。多くの魚に含まれているので魚の摂取を推奨していますが、一方で水銀の問題もあるので、ちょっとややこしいです。魚の代わりにサプリメントでオメガ3を摂取している人もいるでしょう。

では、サプリと実際の魚では血中の脂質に与える影響はどのように違うのでしょうか?

今回の研究では2か月間魚を食べる群とサプリ群に分かれて、比較しました。

魚群の人は、週2回2か月間、夕食と昼食に、養殖マスの魚250 g(100 g当たりオメガ3を1.4 g(EPA 280 mgおよびDHA 160 mg)含む)を摂取しました。1週間で14 gのオメガ3 (2.8 g EPAと1.6 g DHA)を摂取することになります。

オメガ3サプリメント群の人は、毎日2gのオメガ3サプリメント(EPA 180mgおよびDHA 120mgを含む)を摂取しました。1週間で14 gのオメガ3(2.5 g EPA と1.7 g DHA)を摂取することになります。

結果は次のようです。(表は原文より改変)

脂質パラメータオメガ3群魚群
変化変化
中性脂肪(mg / dl)270.02239.27−30.75294.71209.63−85.08
総コレステロール(mg / dl)230.20217.5−12.7251.65185.1−66.55
LDL(mg / dl)114.72133.4318.7133.61110.853−22.75
HDL(mg / dl)42.3446.334.4736.1444.658.51
非HDLコレステロール(mg / dl)186.09169.15−16.93215.51140.45−75.06
総コレステロール/HDL比(Castelli Iインデックス)5.424.78−0.777.264.2413.02
LDL/HDL比(Castelli IIインデックス)2.702.860.153.842.52-1.32
対数(中性脂肪/HDL比)(アテローム発生指数)0.710.67−0.040.900.63−0.26

全体的な傾向としてはどちらの群にも共通するのは、中性脂肪の低下、総コレステロールの低下、HDLコレステロールの増加です。しかし、大きく違うのはLDLコレステロールです。オメガ3サプリでは増加ですが、魚では減少です。この現象がなぜ起きるのかはよくわかりません。恐らくは、抽出したり精製したり工業的に作った単体の栄養素と、食材に含まれる他の栄養素と複合して含まれる栄養素では、何らかの働きの違いが出るのだろうと思います。また、血中の脂質に影響するのは何もオメガ3だけではありません。魚そのものにはいろいろと他の成分が含まれるので、それが結果の違いかもしれません。ちょっとナンセンスな研究かもしれないですね。

私はLDLコレステロールの増加はそのものが有害とは思っていないので、その意味ではオメガ3サプリが良くないとは思いません。しかし、同じ程度の量のオメガ3であれば、サプリよりも魚の方が中性脂肪の低下やHDLの増加は大きくなると考えられます。

以前の記事「オメガ3サプリメントの品質は怪しい」で書いたように、サプリの品質は怪しいものもあります。私はやはり魚派です。

「Comparison of the effect of omega-3 supplements and fresh fish on lipid profile: a randomized, open-labeled trial」

「脂質プロファイルに対するオメガ3サプリメントと鮮魚の効果の比較:無作為化非盲検試験」(原文はここ

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