以前の記事「妊娠中の鉄サプリの使用は慎重に その2 妊娠糖尿病」でも書いたように、妊娠初期のフェリチン値の安全圏は比較的低めで、フェリチンが高いと妊娠糖尿病の可能性が増加してしまいます。貧血を伴わないような場合には、安易に鉄のサプリメントを摂取しない方が良いかもしれません。
あるメタアナリシスでは、(ここ参照、図もここより)下の図のように、フェリチン値が増加するほど妊娠糖尿病リスクは上がり、フェリチン濃度が10ng/mL上昇すると妊娠糖尿病リスクが8%上昇する計算になります。
ある研究では、Hb値と鉄剤が妊娠糖尿病のリスクと関連しているかどうかを調べました。(ここ参照、図もここより)
上の図のように、妊娠初期 (T1) および中期 (T2) のHb値は、妊娠糖尿病の可能性と有意に正の相関関係にありました。鉄サプリを服用していないHb値が11 g/dL未満の妊婦と比べ、T2の時期にHb≥11 g/dLで鉄サプリを服用していた妊婦は、食後1時間血糖値がより高く、T1で鉄サプリを飲んでいた場合妊娠糖尿病の可能性は1.53倍、T2で鉄を飲んでいた場合は1.92倍でした。T1でHb≥11 g/dLでT2で鉄サプリを飲んでいる場合は妊娠糖尿病の可能性は2.15倍でした
貧血を伴わない鉄サプリの摂取は、食後血糖値と妊娠糖尿病リスクを上昇させる可能性があります。
別の研究を見てみましょう。(ここ参照)この研究では妊娠前後の鉄サプリ30mg/日以上を3か月未満または3か月以上服用している妊婦の妊娠糖尿病のリスクを分析しています。その結果、全体の10.5%が妊娠糖尿病となり、鉄サプリ非服用群と比較して、鉄サプリを3か月以上服用群では1.53倍の妊娠糖尿病のリスク増加がありました。
さらに、糖尿病の家族歴のない初産婦および初期のHbが11~13g/dLと十分にある妊婦に限定して解析した場合、鉄サプリを3か月以上服用群では妊娠糖尿病のリスクは1.70倍に増加しました。
鉄サプリを強力に推奨する医師は、スタチンを強力に推奨する医師とどんな違いがあるでしょうか?不用意な鉄の使用はリスクがあります。アメリカなどでは、小麦粉や他の粉製品に鉄が添加されていますが、現状のアメリカ人の健康状態を見ると、本当に鉄がそこまで必要なのか、非常に疑問です。
鉄欠乏はよくありませんが、不必要な鉄は有害です。特に妊娠中の不必要な鉄のサプリメントは有害となる可能性があります。
妊娠糖尿病は胎児、生まれてくる赤ちゃんにも大きな影響を与えます。妊娠前からしっかりと食事をして、自然に体内の鉄を貯蔵しておけば、鉄のサプリは必要ないでしょう。
人類は進化の過程で鉄の塊を飲み込んだことはないはずです。
糖質制限では食べる物が無いとか、お金がかかる等と敬遠されがちです。
食事が健康の基本だと認識すれば、
サプリや医療に依存しなくて済む
糖質制限食の継続が、
結局はコスパ抜群と思います。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
バランスの良い食事をして病気の人がいっぱいいますからね