以前の記事「製薬会社や医療機器企業からの主要医学雑誌査読者へのお金の流れ」で書いたように、論文にお墨付きを与える医学雑誌の査読者に大量のお金が流れています。さらに、医学雑誌社は企業のお金なしでは運営は難しく、企業は大きな影響力を持っています。その腐敗した状況を改善すべく、ケネディさんが早速動き始めるようです。(ここ参照)3つの主要医学雑誌、ランセット、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン、JAMAへの国立衛生研究所(NIH)の科学者らによる論文発表を禁止するようです。素晴らしい!
医学出版関係者(研究者、著者、査読者、編集者)と医療業界との間に金銭的な関係があることは誰でも知っているでしょう。もちろん、論文の著者には利益相反の公表を義務付けている医学雑誌は多いでしょう。しかし、利益相反は編集上の決定に影響を与える可能性があるにもかかわらず、雑誌編集者に対して同様の基準と厳格な審査が適用されるケースはほとんどありません。
今回の研究では、アメリカの影響力のある医学雑誌60誌(内科系10誌と、心臓病学、消化器内科、神経学、皮膚科、アレルギー・免疫学の5つの専門分野)の編集者の企業との金銭的関係について分析しています。医師である編集者703人が対象です。(図は原文より)
上の図のように、703人中320人 (46%) が8,659件の支払いを受け、総額は8,120,562ドルでした。編集者1名あたりの支払い回数の中央値は9回で、支払い額の中央値は91ドルで、編集者1人が1年間に受け取った支払総額の中央値は4,364ドルでした。
上の図は編集者への支払いの種類です。支払いを受けた編集者のうち、最も多くの支払い回数を受けたのは飲食費で、287人(90%)の編集者が4,334件の支払い(中央値351ドル、総額214,827ドル)を受けました。最も多くの支払い額を受けたのはコンサルティング費で、183人(57%)の編集者が1,613件の支払い(中央値11,340ドル、総額6,363,952ドル)で、年間1万ドルを超えるコンサルティング料を受け取った編集者は121人(38%)でした。
全体で31人(9.7%)の編集長が報酬を受け取っていました。すべての専門分野の副編集者の多くが75パーセンタイルを超える報酬を受け取っており、50,000ドルを超える報酬を受け取っている人も多くいます。
152人 (48%) の編集者が1年間に5,000ドルを超える支払いを受けており、これは国立衛生研究所(NIH)が重要とみなす閾値です。編集者向けの利益相反ポリシーは34/60誌 (57%) で入手可能でしたが、開示情報を公表したのは7/34誌 (21%) のみで、受領金額を報告したのは2誌 (3%) のみでした。
著者、査読者、編集者などすべてに企業はお金をつぎ込んでいます。そして企業にとって都合の良い論文を、影響力のある医学雑誌に掲載し、それをエビデンスという名のもと、広く流布し、医学の常識であるかのように定着させてしまいます。そして企業に汚染されたエビデンスがガイドラインのベースになり、一般の患者に適応されてしまいます。
医師の多くは雑誌の名前やインパクトファクターを重要視しています。しかし、その多くの有名雑誌が腐敗しているとは思っていないでしょう。
ちょっとくらいお金をもらったからと言って、医師は良心に従い、誠実に治療法、処方を決めていると思っている人も多いでしょう。しかし、医師はちょっとした金額、物で簡単に処方の変更をするし、恐らく無意識にそれが行われることも多いでしょう。それを知っているから、企業は医師にお弁当付きのセミナーや研修、勉強会などという名の、宣伝活動を頻繁に行うのです。
「Conflicts of interest of editors of medical journals」
「医学雑誌編集者の利益相反」(原文はここ)
ハーバード大学に対しても
(良くも悪くも)毅然と対応している
トランプ大統領、
既得権益に胡座をかいていた
人は戦々恐々ですね。
スケールは段違いですが、
米販売既得権益謳歌していた、
日本の農協なども
戦々恐々かと、。